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17話-7
『千歌ちゃんっ!』
「あ…」
マリアは千歌を庇うように光に背を向け
千歌に抱き着いた
光が二人の身体にたたき付けられた
(……ごめん
由月君……私は…ここまでみたい
……貴方に……世界を託す事になってしまった…
世界を…私達の意志を……お願い
…藍坂……由月……)
-千歌視点-
『う……く……部長…?』
マリアは千歌に抱き着くようになったまま
動かない
前髪に隠れて眼は見えない
額から一筋、血が流れた
『部長……部長!
マリアさんッ!』
呼びかけても無駄だと言う事は分かっていた
真実を見る瞳を千歌は持っていたのだから
けど、どうしても信じられなかった
「最後の命を使って貴様を守ったか
案外、いい上官だったのだろう」
『シル…ヴァ…!』
「…だが、無駄な事だ」
シルヴァは指で再び円を描く
千歌はその瞳でシルヴァはどんな力を使ったのか知っていた
たいていの物には元の状態に戻ろうとする力が働く
意図的に空間を歪める事で
その力…反発力を発生させ
シルヴァの力により半物理的な
光の衝撃波に変換し打ち出したのだ
空間を正すほどの力だ
僅かな空間であったとしてもそれは多大な威力になった