16話-6
「………さようなら、エンド」
弓から放たれた矢は
静かにその光を収束させ
徐々に徐々に加速していった
(質量を大きくしながら加速するのか?!)
エンドがそう思考した瞬間
巨大な光の球体がエンドの目の前に現れた
『――――!!』
爆音とともにエンドは光に抱かれた
「………」
爆煙が広がっていた
だが、その爆煙の中から何かの陰が飛び出した
そして、次の瞬間
その陰はリリィの目の前に現れた
『…さようならだ、リリィ』
「!!」
リリィが考えるより先に
エンドの蹴りがリリィを捉えた
リリィ吹っ飛んだ
しかし、エンドはその吹っ飛んだスピードに追い付いていた
『幕引きと行こうか…』
エンドの斬撃が何重にもなってリリィに加えられる
リリィの弓は折れていた
「…が……はッ…」
『……終わりだ!』
エンドは一瞬動きが止まったかと思うと
次の瞬間
リリィの後ろに背を向け立っていた
「……エンドの勝ちだね」
そう言うとリリィの身体から血が吹き出した
リリィは倒れるようにエンドにもたれかかる
「…エンド、今更だけど
私…前の世界が好きだったけど……
この世界も嫌いじゃなかったよ…
……じゃあね」
-ズル…ドサッ…-
『…そうか
……俺もすぐ
そっちに行く……』
-ドサッ-
二人は背中合わせで
互いに背中を任せるようにして
死んでいた
寄り添いながら
全く反対を見ていた
…その姿はまるで
二人の選んだ道の違いを表すようだった
第16話 交わらぬ道