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16話-3
リリィの
何もせずとも引かれたまま固定されていた弓が
放たれた
エンドの思考は真っ白になった
…………
(………う…
う…ぐ…ぐ…)
エンドはかろうじて生きていた
とはいえ
あの瞬間
体育館全体に現れた光の矢を受けたのだ
天神と言う存在でなければ粉々の肉片になっていてもおかしくない
(……かろうじて…急所が外れたか…)
エンドは自らのナイフに手を伸ばす
-カシャンッ-
ナイフを誰かが踏んだ
…それが誰かなど
考えるまでもなかった
(…いや…
あえて、外したという事かもな)
『…リリィ』
エンドは自嘲じみた笑みを浮かべた
「…エンド
ここが貴方の終着点みたいだね」
-フォンッ-
リリィは剣の刃先をエンドに突き立てるように向けた
『…………』
-ツー…-
エンドの額から一筋の血が流れた
目元を通り流れ落ちた
…涙のように見えた
『……何故だ、リリィ
何故、前の世界がいい…?
教えてくれよ…リリィ…』
俯せではいつくばったまま…願うようにエンドはリリィにそう言っていた