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おぢさんパーティ結成?

 そう言われ頭を深く下げた。中々良い王様がこの国には居るもんだなと思っていると、腕を引っ張られ強引に連れ出される。そのまま別の部屋へと移動し入るなりシンタさんに怒られた。


本来なら打ち首されても文句は言えない僭越すぎると。以後気を付けますと言って謝り続けたが怒り心頭で、後はやっておくから今日は帰りなさいと追い返された。


「今日はよく怒られるなぁ」

「空気読めないんじゃないか? お前」


 城の正門から出て振り返り、城を見上げながらそう呟くと不意に左から失礼な発言が届く。見ればコウガが立っていた。確かギルドで職探しをすると言っていたけど目ぼしい案件は無かったのかもしれない。


商人の情報網に暗闇の夜明けがここで活動しているというのが出回ればこの国に来るのを後回しにしたりするだろうし、そうなると護衛の仕事も減る。周辺のモンスター退治も危険とギルドが判定すれば価格が上がり依頼人も出し辛くなるだろう。そうなると自然と出来る依頼も減るから奪いあいになる。


「良い依頼は無かったか……残念だろうけど仕方ない」

「そうでも無いぞ? もう依頼を幾つか終えて来た」


 見れば三十ゴールド手にしていて驚く。コウガ曰く急ぎの配達の仕事を複数こなした御蔭だそうだ。元々盗賊なので身軽で屋根の上に登るのも問題無いし走るのも早いのが功を奏したと言う。一件目を素早く終えたのを他の依頼主が見て指名を受けたと胸を張るコウガ。


「案外何とかなるもんだな。流石盗賊団の元首領」

「まぁな。だがこれもそう長くは出来まい。本来ならサガやカノンが受けるようなものだ。あの二人にもお前から冒険者として始めるなら進めてやってくれ。……っとそう言えばお前鉱山に採掘に行くと聞いたが本当か。出来れば同行したいのだが」


 それを聞いて俺は冷や汗が吹き出す。国の許可が居るって町長から聞いてたのにそれをお願いするのを忘れてた。まぁそんなのより村の人たちがゆっくり眠れるような墓地が出来る方が大事だし良いか。


「忘れた」

「忘れるなよ、防具大事だろ? 別にもう一回入って申請すりゃ良いんじゃね?」


「そこまで聞いてるのか……ってどうやって聞いたんだ? コウガは防具屋の親父さんと知り合いだったっけ?」

「お前の友人だと言って防具を割り引いて貰おうと思った」


 ホントちゃっかりしてるよなぁコウガは。そう言うところをカノンが真似たから俺と出会えたのかもしれないなとは思うが、それにしてもサガの真面目さは兄故なのだろうか。食べたい物のリクエストは無いし真面目に勉強してるし妹の面倒はしっかり見るし。


「ほらほらジッとしてたら日が暮れるぜ」

「……やっべ! 行ってくる!」


 そうは言ったものの気が重く、溜息を一つ吐き改めて中に入り兵士の人にシンタさんを呼んでもらう。歩き方からして怒ってるシンタさんに申し訳なそうな感じで鉱山の採掘許可を二人分頼むと、一旦奥へ行き紙を一枚持って帰って来て俺に突き付け受け取るとそのまま部屋へ戻って行った。


「困ったな。御前まで国に睨まれてると商売がやり辛い」

「俺をあまり当てにされても困るが」


「つれない事を言うな。お前たちに協力したんだから当てにさせろ」

「町長に言った方が現実的だ。俺はあくまで冒険者だし」


「まぁ只の冒険者では城の中には入れんから期待はしてる。それに採掘許可書を二人分も貰ってくれたんだ、その分は働いて返すよ」

「そうしてくれると助かる。防具結構値が張るんだよなぁ……貯金してたつもりだけど足りない」


「ジン、あの防具屋を基準にしたら駄目だぞ? あそこは特別良い物が揃っててあの価格でも勉強されてるレベルだ。違うところなら二倍はしてる。あの親父さん中々やりてだ」


 コウガは首領をしていた時に、部下の為に武器や防具を仕入れていただけでなく盗品を売ったりもしていたので価格がある程度分かると言う。更にその盗品を取引していた商人が、首都の防具屋と比べても高級品が無いだけでそれ以外は同程度の品を扱っていて、価格は低く抑えられている良心的な防具屋だと言っていたらしい。


「この国まで態々買いに来たりしないから商売に影響は無いが、知られたら商売あがったりだとも言ってた。その話を聞いて俺はあの親父さんの店関連の物は手を出さないよう部下に言っておいたんだよ。何かあれば世話になると思ってたからな」

「自慢げに言う事じゃ無いだろ。取り合えず親父さんのところに戻ろうか。ピッケルとかその辺りの装備を揃えないと」


「三十ゴールドで足りるかな……」

「先行投資するよ」


「流石相棒!」

「誰が相棒だ」


 俺たちは城の前から防具屋へ移動した。店には居ると親父さんたちはお客さんの相手をしていたので、俺たちはピッケルなどが並んでいるコーナーを見る。


「中々の金額だな……」

「あれ一つで十ゴールドだもんな。昼食とかランタンとか鉱石を入れるリュックとか揃えるとコウガの今の御金は吹っ飛ぶな」


「まぁしょうがない。これも防具を揃える為だ。稼ぐならモンスター退治をしなきゃならんし、名を上げて腕を上げなきゃ部下の弔いも出来ない。ここは潔く全部払う! ……だが宿代と食事代は投資して頂きたい!」


 勇ましい奢り要求に苦笑いすると、コウガも笑いおっさん二人は防具屋で笑い合う。







読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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