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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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事態は最悪の局面に近付く

出来る限り処理しもれた敵をカバーしてもらおうと思ったが、あまりにも数が多い上に兵たちも混ざっていて、焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)で吹き飛ばしても多く漏れてしまう。


テオドールもアリーザさんも強いとはいえ、さすがに神の兵とイエミアお手製の兵複数相手では厳しい。


大技で吹き飛ばしていくも、勢いを取り戻そうとしたイエミアは乱れを見逃さず、こちらを無視してテオドールたちを攻めるよう命じた。


「フフフ……私にも運が向いてきたと言うことだ、ジン・サガラ!」


 これまでこちらの思惑通りよりも、イエミアの思惑通りの方が多かったろうになと思いつつ、技を連発し数を減らすことに苦心する。


数がだいぶ減った頃、イエミアが再度召喚するタイミングで素早く二人を見ると、こちらで減らしたことが功を奏してか余裕をもって処理で来ていた。


上手くこの局面で二人のレベルが上がり対処出来るようになれば、一人で戦うよりもイエミアを追い詰められるはずだ。


ライデンも帰って来てくれればいよいよ王手をかけられる、それまでの辛抱だと気を吐き再召喚された兵たちと戦闘を再開する。


「うぉおおおお! アーテ様、今ジイが参りますぞ!」

「アーテ、お母さんが行くから待っててね!」


 戦いにも慣れて来たのか二人がそう声を上げると、イエミアの表情が一瞬真顔になり慌てて両手で頬を叩いた。


反応を見る限りアーテは目覚めてこの状況を見ているようだが、二人の言葉に喜んでいないのが気になる。


特にアリーザさんと言う母親が来て声を掛けているのに、真顔だったのが引っ掛かった。アーテを取り戻す方法はこれで正しいのか、誰かに問いたいところだが敵が多く聞く暇も作れない。


今彼女はイエミアに攻撃されたことで、皆に攻撃されていると思い込むスイッチが入っている。事実としない為にもここはこの人数のまま堪え、そうではないと訴えかけるしかないだろう。


「埒があきませんな」

「そうですね。他の皆が手を貸してくれれば、と思わずにはいられません」


「他の皆、ですか」

「いやテオドール、今は俺たちだけで耐えてアーテに訴えかけるんだ」


「なぜです?」

「それは……」


 召喚のタイムラグの間に言葉を交わしたが、長い時間は出来ず中途半端に終わった。他の皆を呼ぶ方法などないだろうけど、万が一呼んでしまって戦いになればアーテはより殻に閉じこもる。最悪の場合この世界を破壊しかねない気がした。


「お前たちだけで良いのか!? このままでは私の勝ちは揺るがないぞ!?」


 テオドールの言葉が聞こえたのかイエミアは煽ってくる。彼女にとっては世界を支配するのも破壊するのも、同じだということなのか?


「……試してみる価値はあるかもしれませんね」


 誰かを呼ぶ方法があるのかテオドールはそう言い出した。止めろと言いたかったがまるでそれを見透かしたかのように、兵と赤ん坊たちが一斉にこちらに向かって突っ込んで来る。


一瞬でも気を逸らせば一気に飲み込まれ全滅してしまう。戦いながらテオドールが失敗するよう願うことしか出来なかった。


「試すなら時間が無いぞ!? ジン・サガラもそうは持つまい!」

「良いでしょう、一か八か掛けてみましょう! アリーザ様、少しの間お願いします」


「やめろテオドール!」


 声を遮るように赤ん坊たちの泣き声が発せられてしまい、見た時にはテオドールは後ろに下がってしまっている。こうなったら急いで殲滅しタイムラグの間に止めなければ、そう考え消耗を考えずに大技を連発した。


「仲間を呼ぶ邪魔をしてやるな、ジン・サガラ。一世一代の大勝負だから黙って見守ろうではないか!」


 こちらの危惧していることを見透かし、それが正解だ言わんばかりにイエミアは攻撃を仕掛けてくる。


焔を撒いたことで世界の破壊は始まったものの、壊れるまでにはほど遠い。もはやテオドールの失敗にすべてが掛かっている、そんなとんでもない状況になってしまった。


「以前の私では無理でしたが、人を捨てた身なら可能なはず……ここにすべての魔力を注ぎ発動す! 指定転移魔法!」


 イエミアの攻撃を捌きながら兵たちを倒し、赤ん坊たちを吹き飛ばしているとテオドールの叫ぶ声が聞こえる。


失敗してくれと祈りながら戦い続けていたところ、背後から青い光が発生しイエミアはそれを見て引いた。


急いでカットに行きたいところだったが、イエミア以外はまだ残っていて手を止められない。


「成功しましたぞ! アリーザ様!」


 光が収まると同時にテオドールは喜びの声を上げる。こちらは気が気では無いが、まだ最悪の事態を回避する可能性は残されていた。


ここは神の領域であり一般人は脳の処理が追い付かず目覚めない、それを解消できなければ来れても目覚めることは出来ない。


「こ、ここはいったい……」


 丁度相手をすべて倒し終えたところで、眠っていたはずのシンラの声が聞こえてくる。振り向きたくない気持ちで一杯だが、状況確認のためには振り向かない訳にはいかなかった。


「なぜ我々が雲の上に!?」


 シンラだけでなくノーブルなどこちらの仲間も全ており、徐々に目覚め起き上がり始める。いったいなぜだと思いつつ辺りを見回していると


「私の世界は壊れかけているわね、お前の焔によって。それに私もアーテとのリンクが切れかけていて制御する力が弱まった、かもねぇ!?」


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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