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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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降り注ぐは日差しでなく雨

先ほどまでなら恐怖しただろうが焔も通じるようになった今


「最大出力……焔祓風神円舞ぜんふつふうじんえんぶ!」


 恐れることはない。鬱憤を晴らすように気で焔を増幅させ剣を握る拳を雲へ叩きつける。焔は渦を巻き広範囲に広がって悪を焼き尽くす。


復活した傀儡のニニギさんたちを葬ったものの、力を込めすぎたのか雲に穴が空いてしまい急いで飛び退き退避した。


攻撃により出来た穴から下へと焔は流れて行き、流れ終えたら穴は閉じるのかと思ったけど閉じず、開いたままになっている。


穴を閉じずにイエミアは再度兵を復活させてきたので、穴の下へ落としたらどうなるのかと好奇心が湧き、向かって来る兵たちを次々に蹴り落としてみた。


さすがに全てを落とせず剣で斬って倒し終えると同時に、イエミアは復活させてきたが心なしか数が減っている気がする。


「……いったい何が起こっているというのだ」


 意図した訳ではなかったがニニギさんを落とすことに成功した後は、復活する兵が明確に減っただけでなく、オモイカネさんたちの能力も著しく低下していた。


イエミアに分かりやすく穴へと放り投げているのを見せたところ、慌てて穴を塞いでくる。目ざとい彼女らしからぬミスだなと思ったが、ひょっとしたらアーテが突然語り掛けて来たことは、こちら以上に驚いておりその影響が出ている気がした。


このまま距離を詰めて一気に決めることも出来るだろうけど、イエミアも護ってくれないと落ち込む娘に対し、こちらまで斬りつけてはさらに追い詰めてしまいかねない。


殺さずにイエミアを弱体化するにはどうすれば良いか考えた時、焔でこの世界を壊す寸前まで行けたことを思い出す。


アーテとイエミアにズレが生まれた今ならば、この世界を壊せるかもう一度試してみる価値はある。


火焔散弾(かえんさんだん)!」


 いきなり分かりやすく初めては対処される可能性が大きいため、直接攻撃に見せかけた焔の拡散を試みるべく、両手に焔を宿した後握り投げつけた。


多くはイエミアを目指して飛んでいったものの、狙い通りバラバラと焔は散らばりながら広範囲に飛んで行く。


直撃を避けるべく先ほど風の渦を吸い込んだように、イエミアは首にぶら下げている鏡を突き出してくる。


「くそぅ……!」


 鏡に向かい焔は集まったが吸い込まれずに弾かれ空間に散らばる。アーテとの意思疎通が上手くいかなくなる前なら、鏡に焔を吸収できたかもしれないが、正当な持ち主であろう彼女と仲違いをすれば使用できないのだろう。


「ば、馬鹿な!?」


 吸い込めなかったことを不審に思ったイエミアは、鏡を覗き込むと驚きの声を上げた。何が起こったのか確認したいところだが今は焔を撒くのが先決だ。


再度火焔散弾(かえんさんだん)を放つと彼女は鏡から視線を前に戻し、もう一度鏡を突き出してくる。


目を凝らして見ると鏡にはひびが入っており、このまま放ち続ければあれを破壊できるかもしれない、そう考え連発するべく急いで気を溜めた。


「まだだ、まだこちらには手が残っている! いでよ出来損ないの偽物たちよ!」


 また雲の下から黒い煙が現れ辺りを覆い、しばらくするとそれは成人くらいの背丈の赤ん坊の大群に変化する。


次から次へと出て来るなと辟易しながら、言葉から予想するにアーテの前に実験を試みた結果なのだろう、そう考え苦しまないよう天へと返すべく


焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)!」


 不動明王様の焔を宿した風を放った。多くの巨大な赤ん坊を飲み込んだものの、体だけでなく数も多く一度では返しきれない。


風の影響で倒され泣き叫ぶ声が周囲に木霊し、シシリーと共に耳を塞ぐも余裕で貫通してくる。しばらくすると彼らは立ち上がり、こちらへ向かって泣きながら走ってきた。


「容赦しないのなら一気に叩きなさい!」

「ジン殿、お待たせしました!」


 あと少しでタックルを受けそうになったところで、横から誰かが蹴り飛ばし難を逃れる。蹴った人物は直ぐにこちらの横に来たので見ると、テオドールとアリーザさんだった。


八岐大蛇を倒したとライデンから聞いていたので、二人は無事なのは知っている。アーテを助けるために来たのだろうけど、状況が不安定なので危険だと告げた。


「そんなことは見ればわかりますよ。どうせここから逃げたところで逃げ場などありません。だったらアーテ様を助けるために最後まで戦います!」

「アーテがピンチなのに、母親として放ってはおけません」


―お母さんもテオも、私を攻撃するの?


 参加するにしても少し下がってもらおうと提案しようとした時、アーテの声が聞こえてくる。アリーザさんとテオドールは顔を見合った後で、あなたを助けに来たんですよというも返答がない。


なんだかとても嫌な予感がして仕方が無かった。星を支配するという野望の主であるイエミアを倒せば終わる、そう考えていたがそれはもう過去のものになった気がしてくる。


ここはやはりイエミアは後回しにし、この世界を破壊することを優先するべきだアーテの声を聴いた今下がれという提案は暴走を生みかねないし、イエミアを後回しにしろというのも承服しがたいだろう。


ならば赤ん坊を倒すことに専念してもらおうと考え提案してみた。


「先ずは敵を減らして確実に仕留めるのですね? 分かりましたジン殿!」

「良いでしょう従いましょう!」


 あっさり受け入れてくれてほっとしたが安心は出来ない。赤ん坊たちは体が大きいだけでなく身体能力も高く、下手をするとアリーザさんたちも倒される危険がある。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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