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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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最後の戦いへ

「では始めましょうか」

「分かりました。では先ずは私から」


 走ろうとした二人に気を送る方法は分かるかたずねたところ、アリーザさんは先生から聞いたので大丈夫ですと答えて走り始める。


アリーザさんを助けてくれたことから始まり、この世界に入る手段や気を送る方法など、先生の力添えがあったからこそここまで来れた。


八岐大蛇へ向かい走っていくアリーザさんの背中を見送りながら呟く。


「あなたがいくら特別な異世界人だったとしても、元はただの人ですからね。クロウやイエミアは前の世界でも魔術が使え遥か格上でしたが、彼らが神になった世界で一般人がまともにやりあえる訳ないでしょ?」


 ミシュッドガルドはそれをイーブンにしただけで、過剰な力添えはしていない。ここから先勝つか負けるかは私たち次第ですと言って走り始める。


改めてそう聞くと確かによく一般人が戦えたなと、他人事のように感心してしまうし、不動明王様の加護があっても互角というのは呆れもした。


異世界に来たらチートで楽々、強敵たちもばったばったと薙ぎ倒しというのが鉄板だろうけど、最後までそうならなかったなぁと思いつつ空を仰ぎ見て、一息吐き気を高めてから走り始める。


「よう! 相談は終わったか?」


 一人八岐大蛇と戦ってくれていたライドウに対し、遅れてすまないというと笑顔でそう返した。


「アーテ、目を覚まして! お母さんよ!」


 アリーザさんがアーテが囚われている首元目掛けて飛び上がり、近付くのを防がんと八つの首が襲い掛かってくる。急いでライドウと共に援護に向かい、襲い来る首全てを殴り蹴り飛ばした。


部下たちも退けている間にアリーザさんは水の玉まで無事到達し、手が水の玉に触れると強い光を放ち始める。


反撃があるかと警戒するも八岐大蛇とイエミアが召喚した部下は、アーテの変化に反応したのか一瞬動きを止めた。


光は直ぐに収まり中にいるアーテは表情を歪めたのを見て、気が届いているのを確認しテオドールに視線を向ける。


「アーテ様、ジイも迎えに来ましたよ! 目を覚ましてください!」


 こちらを見て頷き跳躍しアリーザさんと同じように触れ、同じように光り表情を二度歪めた。ライドウにも気を流すよう頼むも、部外者が触れるよりも父親のお前が行った方が良いから預ける、そう言って手を握り気を送ってくる。


「俺は元々強い奴と戦いに来たんだ。お前が二人分流し込んで起こしてやれば良い。その代わりデカブツは任せろ!」


 かなりの量の気をこちらに送ったにも関わらず、さらに気を発し纏い次々と部下たちを消していった。


「ジン殿!」

「ジン・サガラ!」


 正直迷いが無いといえば嘘になる。また最初の頃のように拒絶されたらどうしよう、そう思うと足が竦む。


「ジン、行こう!」


 シシリーの声に自分を奮い立たせ、何が起こってもそれに対処してみせると誓い、気を増幅させながら水の玉へ向かう。


「アーテ、目を覚ましてくれ……俺……いや、皆待っている!」


 ライドウに貰った気に自分の気を乗せて水の玉へ流し込む。徐々に強い光を放ち始めたので手を離しゆっくりと距離を取り、シシリーも胸元から出て右肩に移動し光が収まるのを待った。


しばらくして光が収まりアーテを見るとあちらも目をゆっくり開け、こちらを見ると驚き再度水の玉を両手で叩き始める。


「ジン・サガラ、アリーザ様を抱えて水の玉へ! ライドウと私が援護します!」


 テオドールの言葉に促されアリーザさんを探し、直ぐに移動して抱えて飛び上がった。八岐大蛇はこちらを迎撃するために水を吐きつつ、首でも絡め取らんとしてくる。


二人に警護されながらなんとか潜り抜け水の玉の前へ来ると、アリーザさんが竜殺し(ベオウルフ)を握り構えたのを見て放り投げ、イエミアの気配が背後に近付いていたので背を向けた。


肥河鳥髪土砂下り(ダイダルウェーブ)!」

穢れることのない白アブソリュート・ホワイト!」


 八つの首がすべてこちらの前へ来ており、大量の水を吐き出し始める。アーテを切り離しても水に押し流されてはまた回収されかねない。


気を振り絞り全力で水を押し留めるべく最強の盾を張った。不動明王様から更なる加護をもらった御蔭か、八岐大蛇の巨体を覆うほどの穢れることのない白アブソリュート・ホワイトが現れ、水を押し留めることに成功する。


「アリーザさん!」

「アリーザ! 早く!」


「確保しました!」


―ジン、水の玉は確保したよ!


 二人からの成功報告にほっとしたものの、腹の中に隠すのを止め目立つ位置に持ってきたイエミアが、全く取り乱していないのが気になった。


アーテは水の中から出ていないのかと聞いたところ、まだ中に入ったままだという。嫌な予感がするも今はこの技が終わるのを待つのが先決と堪える。


「水の玉を切り離せておめでとう諸君。わざわざ自ら時間を早めるなんてかわいそう」


 技が終わったのか水が消え去ると同時にイエミアはそう告げた。どういうことなのかと問うも、先ほどから言ってる通り時間稼ぎよとだけ答える。


埒が明かない為急いで水の玉のところへ移動し確認するが、アーテは目を覚ましており特に異常は感じられなかった。


「よく考えてみなさいよ。私が誰かに仕えて大人しくしているタイプだと思う? この世界の神であるクロウにすら反逆したのに? どういう冗談よ」


 なんとか水の中から助け出そうと試みていたところで、その中にいるアーテの口が動きイエミアの声が聞こえてくる。アリーザさんやテオドールそれにライデンと見合い、まさかと思っていると水の玉が割れゆっくりとアーテが浮遊し始めた。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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