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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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助っ人たち

アリーザさんはなぜ平気なのかテオドールに聞いてみるも、手でハートマークを作りながらお母さんですから、と真面目に答えない。


外殻装着から戻れず現実逃避中なのかなと呆れていたところ、アリーザさんが彼の言う通りかもしれませんと言ってきた。


意識を失いそうになり抵抗したが抗いきれず目を閉じた彼女は、お母さんという言葉を聞き目を覚ましたという。


母は強しですねと満足げに言うテオドールに対し、神様として作られたとはいえまだ子どもであり、助けを求められたら応えねばなりませんと同調する。


神様であるアーテがアリーザさんに助けを求めたのであれば、拘束していた力から解放されても可笑しくはないだろう。


「先ほども言ったように、離れ過ぎた場所や別の次元からではいくら神力とはいえ、星に住まうすべての者の洗脳は出来ません。そこで転移魔法で侵入しようとしたのですが……」


 改めてどうやって来たのか聞いたところテオドールはそう言い、最後の方でライデンをジト目で見た。


「いや気で探りゃあ一発で場所は分かるし、穴が空いて気が漏れてたからそこから入れば楽だろうと思っただけだよ。魔法なんて使えば反応されてた可能性がある」

「じゃあそう説明してくださいよ! 何も言わずに行くぞと言って、我々二人を抱えて飛んだじゃないですか!」


「面倒だろそんなの」

「それだけじゃない、この場所が大気圏内にあるのを説明もしないで突っ込んだ! 私は良いですけどアリーザ様は普通の人間ですよ!?」


「神様を作るような奴と戦うのにそんな程度で死んでどうする? それに意識があるっていうことは只者じゃないってことだろうが。ならばたかが気温の変化や重さ如き何とでもなるはずだ!」

「……なるほど脳筋だ。話が通じない」


 ライデンらしい言葉を聞き吹き出してしまう。理屈をねじ伏せるだけの強さが彼にあるのは分かったが、アリーザさんが無事なのは驚きだと言ったところ、彼女の持つ剣の力かも知らんとライデンは答える。


アリーザさんが帯刀する竜殺し(ベオウルフ)は、ラティ王妃が逝去した息子のミカボシさんの棺に入れた剣だ。ラティ王妃も出自が不明な人らしく、竜族であること以外は確実なことはなにもないらしい。


師匠とニコ様たちが竜族を退けた後で、竜族の大陸のど真ん中に鎮座する竜王を封じる壁を作り、封じ込めたと言われておりそれは今も解けていないという。


「最愛の長男の為に死後も加護のある剣を残したとしても可笑しくはない」


 腕を組みながらそう話すライデンを見ながら、クロウに体を利用され戦ったことを思い出す。ラティ王妃の願いを踏み躙り、自らの欲の為に利用したこの世界の神に対し、改めて怒りを覚えた。


幸いと言って良いか分からないが、ミカボシさんの遺骸はクロウによって光の粒子に変えられ、もう利用されることは無くなり剣だけが残っている。


ラティ王妃とミカボシさんに心の中で感謝しつつ剣を見ていると


―役に立てて良かったよ。


 どこからともなく成人男性の優しい声が聞こえてきた。辺りを見回すも誰も居らず、他の皆はこちらを見て首を傾げている。


―なぜかわからないけど、僕の魂は今剣に宿っているようなんだ。可能性があるとすれば、母上の力によって生成された剣にクロウが触れ気を通した、その影響かなと思うんだけど。


 剣は声が聞こえている間、小さく輝きを放ち終わると止んだ。レイメイの持つ独鈷に宿るジロウがいるし、異世界に来て魔法だモンスターだ神様だと不思議にあってきたので、いまさら剣が喋っても驚かない。


こうしてゆっくり話せるだけでなく、妻を助けて頂きありがとうございますと思念を飛ばすと、


―とんでもない。元はと言えばノガミ一族の争いに君と奥さんを巻き込んでしまった。僕が健在なら一族を指揮して戦うんだけど、もうそれは叶わない。だけどこういう形で協力できることを嬉しく思っている。


「ぐ……くっ……」

「ようやくデカブツのお目覚めだ」


 こちらが話している間も気を失っていたイエミアこと八岐大蛇は、ようやく目を覚ましゆっくり体を起こした。八岐大蛇の首元にいるアーテはまだ気を失っており、それを見てアリーザさんは悲痛な叫び声を上げる。


ミカボシさんに手短に事情を説明し、娘を助けるための良い案は無いかと尋ねたところ、竜と娘さんの連携を絶てば行けると思うと言った。


―意識を失わせているのは拒絶されない為だろう。全員で気を送り目覚めさせ、改めて拒絶する意思を示させると同時に、あの水の玉周辺を切って物理的にも絶てば連携も解消されるはずだ。


 斬る役目は僕に任せてほしいと付け加えられたので、そうするべく皆に対してミカボシさんの案を説明する。


「まぁ正直それくらいしか案はないだろうな。神様とやるなんて俺ぁ初めてだからよ。お前の指示に従おう」

「頼みますよ本当に……アーテ様を救うためにここまで来た、それを肝に銘じて下さいね!?」


「大役を任せて頂き感謝します。必ずや娘を助けましょう!」

「な、なぜここに他の人間がいる……!? き、貴様はテオドール!? アリーザまで起きているとはどういうことだ!? もうひとり知らん奴がいるが貴様は誰だ!?」


 こちらを目を細めてみた後で驚愕し、イエミアは巨体を一歩下がらせた。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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