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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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いざ、神の領域へ

―相分かった。お前たちが向こうに乗り込み戦えば、その間こちらの浸食はストップするじゃろう。世界を書き換えるに等しい作業は、例え神と言えども相当な労力が必要になるからの。


 自分を奮い立たせ終えるとミシュッドガルド先生がそう教えてくれ、さらに気合が入った。戦いを始める前に決めていたように、なるべく多くの人たちを生きて返したいし、皆が愛し日々を営んでいる世界を護りたい。


完璧には程遠い世界ではあるものの、大切なアリーザさんや仲間と出会い過ごしたこの世界を、まだ見ぬ娘にも生きてもらいたいと思っている。


生まれてから大した知識も得ず経験もせずに神様になり、一人孤独に上から見下ろすような子にしないためにも、是が非でも勝ちを取りに行く。


―シシリー、そこから出てペンダントを上へ放り投げ、ジンとペンダントを挟む形になる位置に移動し、高天原への扉よ開けと念じておくれ。


「はい!」


 先生の指示に従うべく彼女は胸元から飛び出し、上へ向けてペンダントを放り投げてから少し離れ、こちらを向いて手を組んで目を瞑り俯く。


念じている間にペンダントがこちらへ落ちてくるも、途中で玄関ドアくらいの大きさの岩へと変わり、シシリーとの間まで来るとピタッと止まった。


―本来は皆で楽しい踊りでも踊った方が良いし、開くならネオ・カイテンにあるコウテンゲンの地が最高なんじゃが、贅沢も言っておられん。恐らくこの条件下では岩戸を開くのは一分が精々じゃから、開いたらすぐに入るように。あとワシは一旦引くが、なにか言いたいことがあれば聞いておくぞ。


 せっかくクロウの師でもあるミシュッドガルド先生に頼めるならと、すべてが終わったら娘のことを見守って欲しい、この赤ん坊を出来れば普通のサイズにし育ててほしいとお願いする。


心得たと答えた後でこの赤ん坊の名は何とする、と言われそこまで考えていなかったので慌てた。


「やっぱりここはジンタが良いんじゃない? ジンが助けて命をつなぐんだからさ」


 なぜジンタなのかわからないし、名前の聞こえは良いけど大人になったら怒らないかな、とは思ったがゆっくり考える時間がないのが悔やまれる。


先生からは名前だけでも繋がりがあるのは大切なことじゃと言われ、こんな自分でも繋がりを感じて喜んでくれたら良いなと考えつつ、どうか頼みますと頭を下げた。大きくなった時にどうなるかは分からんが、出来る限りのことはしようと約束してくれホッとする。


―では開くぞ……この星を頼んだ!


「行ってきます!」

「行こー!」


 岩が大きな音を立てて横へずれると同時に、眩い光が漏れ出して来た。光はスの国に入ってきた時に浴びた、戦意を失わせるものだったが下っ端らに力をいれて堪える。


恐らくこの先に神の領域があるのだろうけど、こっちだって神様の力を借りているのだから臆することはない。


胸元に戻ってきたシシリーを見ると頷いたのでこちらも頷き、完全に岩が消え楕円形の光が残ったのを見ると、目を閉じそこへ飛び込んだ。


「な、なにここ……」


 飛び込んで直ぐに着地したのを確認し、足場があることにほっとしたのも束の間、シシリーの声に不安になりながら目を開ける。


着地した足元から遥か彼方まで雲が地面のようになっており、さらに先には太陽が少し頭を出しているのが見えた。


さらに目の前には赤い大きな鳥居があり、潜るよう言われているような気がしたので一礼し、左端へ移動し潜る。


シシリーになぜ頭を下げるのか端を通るのか聞かれたが、育ての親の先生に言われたのでそうしてる、としか答えられなかった。


―あらまぁ来たのね、ジン・サガラ。


 当てはなかったが太陽に向かって歩いていると、イエミアの声がどこからか聞こえてくる。待たせて悪いなと謝罪したところ、爆笑されてしまった。


―てっきり俺には無理ですぅぅうううう! って言って来ないと思ってたから待ってはいないわよ。それに来ても直ぐに終わらせてあげるわ。遺物が入っているとアマテラスの作業が止まるし。


 彼女からすればそう思うのも当然だし、事実ついさっきまではそうなっていたのだから否定できない。敢えてそれについては言及せず彼女の言葉を反芻する。


ミシュッドガルド先生の言っていたように、こちらが神の領域へ入ったことで侵食する作業は止まったらしい。


ふとアリーザさんたちは影響で眠ってしまったものの、高位体である竜などはオーロラから離れていれば動けるのか、という点が気になった。


イエミアに最後に雑談でもしようと持ち掛けたところ、あっさりと了承しさっそく気になった点を問いかけてみる。


―さぁね。私自身竜自体を深く知っている訳じゃないし? まぁシンラやテオドールですらうごけないのだから、期待するだけ無駄じゃない?


 期待って何かと聞くも知らんと一蹴された。ただの興味本位で聞いただけなのにと思いつつ、自分もこんな場所まで来て呑気だなと自然と笑みが零れる。


―随分と余裕があるじゃない? あなたたち的に言うならばここはラスボスの前よ? それも強大な本気のクロウと同レベルの神との最終戦なワケ。お分かり?


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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