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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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神との攻防

目を座らせたクロウは体を縦横無尽にくねらた後で、こちらへ向かって突っ込んで来た。顔を受け止めてしまうとあの体が周囲を取り囲んでくると読み、真っ直ぐ下がって距離を取り動きが無くなるをの待とうと考える。


しばらく一定の距離を保ったまま移動していたが、クロウはくねらせる動きを止めなかった。こちらはなるべく早くケリを付けたいものの、彼は別に時間が掛かっても構わないように見える。


考えれば時間が掛かれば掛かるほどイエミアは悪だくみをする、それを付き合いの長いクロウは誰よりも分かっているはずだ。実際に今イエミアは不審な動きを見せているし、事が大きくなればそれに集中し周りが見え辛くないるだろう。


相手の狙いがなんとなくつかめた今、のんびりと距離を取っていてはこちらが不利になるばかりだ。どうしたものかと考えあぐねていると、下から何か飛んで来た。避けた時に見たところそれは剣身の無い剣で、知る限り一つしかない。


急いで飛んで行った後を追い手に取ってみたが次元断絶剣であり、どうやらいつの間にかこの星を一周させられ戻って来たと気付く。


「余裕だね!」


 動きを止めたこちらを見逃さず、クロウは噛みついてくる。彼の思惑通りに時間を稼がせてしまったが、お陰でシンラから良い物を借りることが出来た。次元断絶剣さえあればこっちのものだ。


噛みつきを避け顎を蹴り上げ、素早く頭の上に移動し眉間を強打する。目を見開き驚いていたのを見るに、万全の状態であれば司祭の攻撃にびくともしなかったので、こちらの攻撃も平気だろうと踏んでいたのだろう。


「っあ!」


 激痛に顔を歪め蹴り上げて閉じた口を開いた。チャンスだと思い右掌に焔を集め、それを球にして口の中へ投げ入れる。クロウは叫び声をあげながらのたうち回り始めた。


―ジン、次元断絶剣で穴をあけるんじゃ!


 ミシュッドガルド先生からのアドバイスにはっとなる。先ほどシンラが噛まれた時に剣を使い、クロウの体の中へ魔王風神拳を叩き込んだのを思い出した。


囲まれた時の抜け出し用にと考えていたが、体に穴をあけ焔を入れれば追撃できる。暴れるクロウを避けながら次元断絶剣の柄を当てると穴が空き、そこから焔を流し込んでみた。


こちらの狙い通りの効果があったようで、絶叫しながらさらに暴れ出す。見れば体の鱗が徐々に剥がれ落ちて行き、地上に雪のように降り始める。


このまま攻撃を続ければ倒せると確信し、剣を次々当てては焔を流し込んで行く。


「おのれぇえええええ!」


 やがて体の至る所から焔が漏れ出し始めた。暴れまわっていても意味が無いと悟ったのか、痛みを堪えて攻撃しようとしてきたものの、こちらの方が体が小さくしかも白蓮花モードに移行しており、余裕で避けられ攻撃は当たらない。


「くそぉ……こうなったら!」


 自らの体を球のように丸くした次の瞬間、強い光を放ち少しすると地面に落ちた音がする。光も同時に収まり音の方を見ると巨大化ウルの状態に戻っていた。


こちらを見て口を開けたのを見て、ビームを放ってくると読み身構えていると


塵芥に帰るべし(レイオブホープ)!」


 読み通りビームを放ってきたのでゆっくりと回避する。攻撃に転じようとしたところクロウの背中が割れており、中に同じような体が見えた。


急速に体全体がひび割れて行くのを見て、脱皮をしているのではないかと思いそうはさせるかと急いで向かう。


「遅い! 塵芥に帰るべし(レイオブホープ)!」


 あと一歩のところで脱皮が終わってしまい、新しい体となったクロウはこちらへビームを放ってくる。ギリギリで避け距離を取って気を探ってみたが、前と同じように全回復していた。


少しずつ削っていたのでは、脱皮をされてすべて無かったことにされてしまう。やるなら焔を溜めに溜めて、でかい一撃を口へ放り込むしかない。


「おやぁジン、左のスの国の方を見てみると良い。どうやら僕に流れは向いて来ているようだよ?」


 見たい気持ちは山々だが先ほどそれで痛い目を見ているので、見ずにバレない様に気を溜め始める。しばらくはニヤニヤしてスの方向を見ていたものの、こちらが動かないことを不審に思ったのか口を開け、ビームを打とうとしてきた。


「どうした? スの国の様子を教えてくれよ」


 クロウが喋りたくなるようなことは何かと考えた結果、意地の悪いことが大好きな彼なら、こちらが窮地に陥りそうな事象を見れば勝手に話すだろう、という結論に達する。


「いやぁどうしようかなぁ……教えて欲しいかい?」


 にんまりとした顔でそう問いかけてくるも、こちらはあえて答えずに睨みつけるだけに留めた。表情を見て上機嫌になったクロウは、君がどうしてもというなら教えてあげても良いよ、と嬉しそうに声を弾ませる。


出来れば一分一秒でも貯める時間が惜しいし、集中したいので喋ることも避けたかった。演技力には自信がないがやるしかないと考え、目を閉じ顔を背ける。


「いいねいいね! 君もイエミアのことは分かっていたはずだから、この事態を想像できなかったとは言わさないよ!? 今からでも遅くはない、僕に協力してくれよ! 君は娘を助け僕はイエミアを確保しこの星から去らせる。こんな良い取引はないんじゃないかな!」


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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