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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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急ぐ神

「とある人物からこの世界の成り立ちを聞いた時、なるほどと思いましてねぇ。あなたの提唱した説が正しいならば、能力の制限には説明が」

「そうかい!」


 話を遮るようにクロウはテオドールへ向けて突進した。考えてみればクロウというこの世界の創造神がいるのに、異世界人とはいえ別の人間が神様を作れたりするのは違和感がある。


イエミアが昔からこの星にいたのなら自分でそれを試したろうけど、イーシャさんや奥様は強い個体ではあるが神ではない。アリーザさんと自分の遺伝子を受け継いだ子が神になるというのは、イエミアにとっては計算だとしても違う気がした。


こちらばかりが掌の上で踊らされている気がしていたが、ひょっとするとクロウ自身も同じなのかもしれない。


なにより不動明王様という、この世界的には異世界の神様による干渉が可能になっているのは、とても気になる点だ。


こちらとしてはとても助かるけど、やはりバランサーの調整が働いているのではないだろうか。


―ジンよ、それを考えても答えは得られん。もし本当にその答えが知りたいのなら、別の道を用意するが今は戦いに集中するがよかろう。


 ミシュッドガルド先生が思念を飛ばしてくれたので、気になる点を尋ねてみるもやはり答えられないという。テオドールの言った絶対神の立場から堕ちるというのは、倒せない立場ではなくなることを意味するのか、という点を問うとその通りだと教えてくれる。


―はっきり言ってしまえば、人間の前に現れた時点で倒すことが可能な状態になる、とワシは考えている。なにしろ基本的に見えない触れられない者が同じ地、次元に立つのだからな。


 回避するテオドールに対する攻撃の余波を避けながら、ウルに乗り移っているクロウを見た。同じ地に立ち倒されるかもしれない危険を冒してでも、イエミアの成したことを研究したい。


欲求の先にあるのは間違いなく亡くなった息子さんの復活だろう。魂を長期間保管出来ないとすれば、器に入れて新しい人生を送らせることくらいしかない。


クロウの息子さんはどこか別の星にいるんですかと聞くも、先生も詳しくは分からないと言う。お孫さんの存在は知っているかと聞いたところ、ミレーユから聞いているよと答える。


―ただ確かなことはジンから孫の名前を聞いただけでなく、魔法使いとしての素養を感じてから計画を急いでいるような、そんな感じがしておる。


 何を急ぐ必要があるのだろうかと考えていたところに、シンラからこちらに対して檄が飛ぶ。たしかに先生やシンラの言う通り、今直ぐ出ない答えよりも目の前の敵を倒すことが先決だ、と思い直し攻撃を開始した。


「クロウ、天使(あまつか)先生は凄い人だったよ。園の経営で豊かではなかったけど、それにも負けず勉学に励み医者となっただけでなく、俺たちの面倒もよく見てくれた。大先生(おおせんせい)天使(あまつか)先生の人柄の良さか、荒れがちな環境なのに少し道を逸れたくらいで、後は真っ直ぐ歩いてこれたんだ」

「一体何の話だい?」


 テオドールやシンラと共にクロウに対し攻撃を仕掛けながら、彼に天使(あまつか)先生のことを伝える。以前は隙を突くために仕方なく話をしたが今回は違った。ミシュッドガルド先生はクロウの師匠なので、他の人間よりも彼の異変に気付きやすいと思う。


先ほど話していたことは恐らく間違いないだろうし、そうなれば良きにつけ悪しきにつけ天使(あまつか)先生に影響が及ぶ。自分が見知らぬ誰かに轢かれたことで先生の病院に運ばれなければ、先生は今でも病院で医者をしていたと思っている。


医者の身分を捨ててまで救ってくれただけでなく、自分の身に危険が及ぶかもしれない情報までくれた彼に対し、少しでも恩を返したかった。


「テオドール! シンラ!」


 やはり先生たちの話をされると放っておけないのか、こちらに視線を向け突っ込んで来たクロウに対し、偽・火焔光背(ぎかえんこうはい)へ気を流し込んで避けると同時に尻尾へ向かい飛んだ。


狙いに気付いたのか尻尾を大きく動かし逸らしたものの、それを誰かの風神拳が遮って押し戻してくれる。戻ってきた尻尾を掴むと体を回転させながら振り回す。


乗っ取っている体であり製造者でもあるので、三半規管を切るくらいのことはしてくるだろうが、物理ダメージを無効化出来ない。


地形を変えてしまって申し訳ないなと思いつつ、回転しながら山へぶつかり削っていく。さらに先ほど考えていたように偽・火焔光背(ぎかえんこうはい)から手、そしてクロウの体へと焔を流し込んでみた。


「ぐぉおおおお! 手を離せぇえええ!」


 情けない声を上げて暴れてはいるものの、まだ体力は削りきれてはおらず焔の影響は出ていない。こうなると後は口へ直接焔を叩き込む以外に方法はないと考え、上空へ向けて投げ放つ。


落下して来るのを待たずにそのまま追いかけたところ、夜空が見える位置まで飛んでクロウは止まる。


「ジン、なぜ邪魔をする? 僕は用が済めば大人しく帰ると言っているんだよ?」


 ダメージを負い直ぐには体勢を立て直せずにいたので、急いで口の前へ移動したがあと一歩のところで目を覚ましてしまう。


こちらへ噛みついて来たので避けた後で、本当に分からない感じで聞いて来た。自分のして来たことを思い返してみろと言うも首を傾げる。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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