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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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攻略法を探して

「テオドールに力を貸した人物が貸してくれたという、この次元断絶剣なら攻撃は通る。通るが先ほどのお前のように、切り離すのは出来ないようだ」


 どうやら次元断絶剣はミシュッドガルド先生が貸し出した剣らしい。今身に着けている篭手もそうだが、先生は魔法使いとしてだけでなく鍛冶屋としても最高峰なんだな、と脱帽する。


以前アイラさんの鍛冶仕事を手伝ったことがあるけど、ノーマルな鉄の篭手と脛当てを作るだけでも大変だったのを思い出す。


デザインも凝ってて強度もあるマジックアイテムを作り出すなんて、凄いとしか言いようが無かった。


 先生お手製の剣はその名の通りの武器で、本体は次元の狭間の彼方にいるにもかかわらず、魔法で魂だけを無理やり送ったクロウに効果絶大らしい。 


シンラとしては先ほどクロウを追い出すことに成功したので、今度も行けるかと思い斬ってみたものの穴が空いたのみだった。あれはクロウが特に念入りに製作した魔法生物で、なにかあった時に自分専用の体として使おうとしていたようだ、とテオドールは教えてくれる。


通常体に定着した魂は死か死にかけの時以外、抜けたりすることは不可能なものであり、クロウだからこ成せる技らしい。


恐らくだが先生は次元を超えて来るであろうクロウを想定し、次元断絶剣を用意したのだろう。読みは完璧だったがそれに対してさらに対策を取られてしまったよ、と先生は思念を飛ばしてきた。


なにかアドバイスはありませんかとたずねたところ、他人の体でないのなら通常の方法で戦い勝利する他無いかもしれん、と答える。


神であるクロウがウルの体に入ることで、本来この世界の神を認識できないシシリーたちも認識していた。


同じラインには立っているものの神の力そのものは健在である以上、倒すことは可能だとしても難易度はウルトラハードである。


「巨大化前といえば、あれはジン・サガラのペットですよねぇ? 好物とか無いんですか?」


 これといった方法が浮かばないまま唸っていたが、テオドールに問われ急いで記憶を辿った。鉱山で出会い宝石を食べて巨大化した話、サラティ様を閉じ込めた風来石(ふうらいせき)雷光石(らいこうせき)を生成してくれた話をした。


話し終えた瞬間にテオドールは口に人差し指を当て、皆に目配せする。喋るとクロウに聞こえるからというのは分かるが、今の話からクロウ攻略の糸口になるようなものはあっただろうか。


「先ずはジン・サガラとシンラにはアレを引きつけておいてください。アリーザ様とエレミアは私に付いて来てください」


 なぜアリーザさんだけ様なのかと首を傾げるも、今はそんなことにこだわっている場合ではない。シンラに視線を送ると頷いたので、二人で先行して境界線の前にいるクロウに近付く。


「相談はもう終わったのかな? 解決策なんて僕を倒すというシンプルな事しかないだろうに、随分と長い間話していたようだね。お陰で眠くなってきたよ」


 クロウは大きな欠伸をしながら右前足で目を擦った。見た目は可愛いのになぁと呟くとシンラがこちらを見てくる。どうしたのかとたずねると今何て言ったのかと聞かれ、もう一度同じことを伝えると眉間にしわを寄せた。


「ジン、シンラにそんな話をしても通じないよ? 彼には美的センスなんてないからさ。見なよあの厨二病臭い鎧。僕ならそんなデザインの鎧は恥ずかしくて着れないね」


 改めてシンラの鎧を見たが、今の彼のイメージというか背負ってるものとか、そういう諸々を汲み取ったデザインをしているなと思ったので、サムズアップしたが親指を折ろうとしてくる。


慌てて引っ込めて後ろに手を隠したものの、なぜか執拗に折ろうとしてきた。気に障ったのだろうかと思っていると、クロウがゴロゴロ転がり始める。


なにかの攻撃が始まるのかと思いきや、数回転がった後で元の寝そべっていた格好に戻り、こちらを見てにこりとした。


まさか可愛いアピールしてるのか!? と驚愕しているこちらを他所に、シンラはわざとらしくでかい溜息を吐く。


「貴様の方がセンスが無いのは一目瞭然だ。この星の皆に聞いてもそれが可愛いなどというのは、お前たち以外にいない。脳の処理に不具合が生じている可能性がある。うちには腕の良い医者がいるぞ?」

「それヤブじゃん」


 食い気味のクロウのツッコミに場は一気に重くなる。理解は出来ないが二人にとって互いのセンスにはかなりの自信があり、それをこき下ろされたことに対して過去一激怒しているようだ。


思わずのんきかとツッコミたくなったが、まぁ二人にとってそれが戦う理由に値するというのなら、止める必要もないので放っておくことにした。


「今度こそあの世に送ってやる」

「やれるものならやってごらん、厨二病おじさん」


 シンラに厨二病なんて単語は理解出来ないだろうけど、明らかに嘲笑し侮辱されていることは顔を見ればわかる。ウルの顔は可愛いがあの顔で鼻で笑われ見下ろされるのは、イラっとくるを通り越すものがあった。


ゆっくりと地面から浮きクロウの顔の前まで移動したシンラは、無言で顔に近付き眉間を殴りつける。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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