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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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パーティが始まる

「じゃあ手加減はもうしなくてもイジメにはならないわよね?」

「どうぞどうぞ」


 煽るクロウに対しイエミアは両手を突き出すと、先ほどのはタイミングなどが悪かっただけと思ったのか、炎の蛇を二匹放ってくる。


すぐに掻き消すことも出来たがそれでは面白くないと考え、彼はわざと直撃してみせた。外殻装着による軽減やバリアなどではなく、やはり魔法使いとしてのレベルが遥か上だからか、炎の牙は届かず止まる。


二匹の蛇は口を開け見えない何かに阻まれながらも、抱えて地面に叩きつけたり森の中を走り回った。どうするのがイエミアの隙を生み出せるか考えた結果、懲りずに魔法を使って来たのだからまだいけるだろうと、炎の蛇によってダメージを受け爆発したように見せることにする。


爆発を見れば彼女は疑いもせず喜び勇んで近付いてくるはずだ。クロウは心の中でほくそ笑みながら、考えを実行に移すべく自らの周囲を魔法により爆発させた。


周囲の木々は消え去り逃げ遅れた動物や虫たちも灰となっていく。彼ならすぐに蘇らせられるのだろうが、一人を倒すためになんの関係も無い命が消えていくのを見るのは、心にくるものがある。


自分の体を使って虐殺が行われているのだから、悲しんでいる場合ではない。皆殺し宣言をされたからには大人しくしている理由はないし、大地の守護者としてこれ以上やらせるかと思い、全力で抵抗することにした。


「止めだ!」

「くふっ」


 外殻装着をわざと汚して大の字で寝転がっているところに、突っ込んで来たイエミアの言葉を聞きクロウから笑い声が漏れる。イエミアが異変に気付いたタイミングと同じくらいで、クロウの右拳がイエミアの鳩尾に直撃する、はずだった。


「危っ」

「チッ」


 当然こちらとしては思惑通りにさせる訳にはいかないので、全力で抵抗し腕が伸び切るのを阻止する。回避行動をとっていたイエミアはそのまま下がり体勢を立て直した。


「どうやら魔法は効いていなかったようね」

「いやいやそんなことはないよ。偶々偶然ダメージを受けていないだけさ」


 ゆっくりと上半身を起こしてから立ち上がり、体のホコリを払いながらクロウは慰めるように言う。具体的な言葉は聞かなくとも効かないと理解し、イエミアは近接戦闘へと方針を変更する。


「早計早計」


 クロウは右手を空へ掲げるとさらに上にまた裂け目が現れ、一振りの剣を吐き出した。


「ただの剣で何が出来るのかしら?」


 たしかに見た目はシンプルで飾り気も無い剣だが、これはミカボシさんが母であるラティ王妃から送られた、竜殺し(ベオウルフ)という宝剣だ。イエミアは竜ではないので特攻はないだろうが、切れ味は抜群で下手をすると一撃で葬られてしまう。


なんとか知らせたいが知らせる術がなく、先ほどと同じように全力で遅らせ避けてもらうしかない。


「ジン、頑張って邪魔するといい」


 余裕なクロウに嫌な予感がし先ほどよりも早めに力もうとしたものの、モーションも最小限に小さく振られた剣から衝撃波が生まれ、イエミアに襲い掛かる。


なんとか一撃目は避けたがそれで止まるはずもなく、次々と衝撃波を飛ばし森に住む命全てを絶つように攻撃をし続けた。


「さぁさぁ、のんびりしてて良いのかな? 早く僕を倒してくれないとこの星に生物が居なくなってしまうよ?」


 イエミアが見える見えないお構いなしに、クロウは衝撃波を飛ばし続ける。このままでは本当に彼の言う通りこの星の生き物がすべて死に絶えてしまう。


誰か、誰か力を貸してくれ……!


「今日は別のパーティがあると聞いて来たんだけど、君は誰だい? いや、まぁどうでもいいか。取り合えず小うるさい攻撃を止めるために殺すね?」


 斬撃を片手で弾きながら現れたのは、紺色の蝙蝠の羽にゴツゴツした甲殻の外殻装着をした、ティーオ司祭だった。手紙は受け取っていたものの、まさかこのタイミングで現れるとは思っておらず、クロウも少し驚いている。


イエミアは逃げるしかなかった衝撃波を、右手のみで弾いてしまう司祭を見て、さすがのクロウも警戒を強めていく。


「二、三人まだ来ていない客がいるがパーティを始めてしまったよ? 随分とのんびりとした御登場だね。タイミングを見計らっていたのかな?」

「御名答。つまらない相手なら僕がやる必要は無い。お前なら少しは楽しめそうだから出て来たのさ。シンラと戦う前の良いウォーミングアップになる」


 どうやらここまでのあらましは把握しているらしい。相変わらずだなと思いながらも彼を見たところ、以前あったどす黒さが消え澄んだ瞳に変わり自信に満ち溢れていた。


「赤ん坊ごっこの成果があったから強気なのか。せいぜい出オチにならないよう頑張ってみせてくれ。でないと本当にこの星の生物は」

「そんなことはどうでも良い。お前は強いんだろうな」


 食い気味に問う司祭に対し、この星最強という可笑しな目標に未だにこだわっているのか、とクロウは思い笑い出す。司祭はそれに対して返答することなく攻撃を開始する。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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