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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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神となった男の足掻き

「調子に……乗るな!」


 クロウは煽るイエミアに対し反撃を試みるも、空振りに終わっただけでなくカウンターをまた鳩尾に入れられ、なすすべなく上空へ飛ばされる。


勢いを利用し距離を取ろうとしたが、屍竜が上に現れ体にぶつかり地面へ押し戻された。クロウは地面に激突しながら、なぜこうまで圧倒されるのか原因を探し始める。


こちらが妨害している可能性を考えたものの、心静かにしているため無理があった。他の原因を考えようとしたところで、ジン以外なら黒幕が分からなければ正解には辿り着かないと察し、先ずはこちらも彼女たちに対抗しようと頭を切り替える。


我を倒すこと能わず(ハレルヤ)!」

「能うの……よ!」


 拳を振り被り間合いを詰めてきたイエミアに対し、屍竜の息を掻き消した技を繰り出すも、姿を一瞬消しただけで直ぐに現れ殴りつけられた。


なぜ絶対神である自分の攻撃が通じないのかと困惑しながらも、このままでは殴り殺されると理解し、同じように外殻装着をするしかないという考えに至る。


クロウの解説によれば外殻装着は、装着時と脱着時に死に等しい状態になるという。適性があるとは思えずこのままでは殺されてしまうと考え、なんとか逃れられないかと力を入れて体を動かした。


「ジン、大人しく」

「隙あり!」


 少しだけ体の動きを止められたことで隙が生まれ、一撃目が左頬に入るとそのままラッシュが始まる。防御の態勢を取ろうとするもすべて掻い潜らてしまい、攻撃をひたすら受け続けた。


このままでは体を取り戻す前に殺されてしまうが、クロウの思い通りになるくらいならそれも仕方ない。せっかく恨みも消え去りこの世を旅立とうとした人に対し、嘘を吹き込み悪意を増大させた結果、多くの人を不幸にしている。


アリーザさんや子どもをことを想えば無念だけど、自分の増長が招いたものだからあの世で謝ろうと覚悟を決め、動きを封じることに全力を傾ける。


「クソッ……ウル、来い!」


 突然クロウはウルの名を叫ぶ。いったい何をする気かと思ったところ、どうやら風来石(ふうらいせき)雷光石(らいこうせき)をウルに出させ、次元の裂け目を出現させるらしい。


クロウは遠隔操作でウルを操っていたと思っていたが、こちらの体を乗っ取っているあたり魂は戻っており、次元の裂け目には元寄生していたミカボシさんの遺体があるだけだ。


わざわざ出現させようとしているのは、ミカボシさんの体に戻り外殻装着しようとしているからだろうか。


「この世界の全ての生き物の体の作者は僕だからね、何でもできるのさ」


 どういうことなのか問いかけているこちらを無視し、後方に視線を向けた。見れば遠くから空を飛んでウルがやってくるではないか。


無事だったのかと一瞬喜んだものの瞳孔も口も開いており、明らかに生きているようには見えなかった。少し離れた場所で停止し、嘔吐もせず口の中から大きな二つの球が転がり落ちる。


「させるか!」


 不可思議な動きをする生き物をイエミアも見逃さず、右腕を突き出し炎の蛇を放った。クロウはそれを見て心の中でほくそ笑む。考えればクロウは魔法使いだ。


いくらイエミアが優秀でチートを受けていたとしても、この世界の全てを創造するほどの魔法使いには通じないだろう。


先ほどまで封じ込めていた肉弾戦で追い込むべきところだが、元々魔法を主体としていたのだから魔法で攻撃するのも無理はない。


 炎の蛇に飲まれたと見せかけてそのままウルのところまで行き、二つの球を手に取ると開けと命じる。手を離れた球は頭上に移動し、左右に離れた後でバチバチと音を立て始めた。


時間がかかるのかと思いきやあっという間に裂け目が現れ、直ぐにミカボシさんの体を吐き出して消えてしまう。


「外殻装着!」


 落ちてくるミカボシさんの体へ向け右手を掲げながらそう叫ぶと、彼の体は光の粒子となりこちらの体へと降り注ぎ、高速で回転しながら全身を覆う。


魔法では駄目だと気付いたイエミアが近接攻撃を仕掛けるも、光によってすべて遮られる。やがて光はこちらの体に吸い込まれて行き、服を通り越して皮膚に付着していく。


「待たせたね……じゃあ始めようか」


 一際大きな光を放ち始めたので目を瞑り、収まった後で体を見ると真っ赤なフルプレートアーマーに身を包んでいた。


間違いなくこれは不可侵領域で戦った際に、クロウが身に着けていた外殻装着そのものだ。


「お手製の洋服に着替えてご機嫌かしら? 坊ちゃん」

「この上なくご機嫌になったよ……だから君たち全員皆殺しにするね? ジンには悪いけど、これは僕に対して非協力的だった自分の罪だ、と受け止めてほしい。なぁに心配はいらない、君には別の星を用意するからさ」


 形勢逆転できるとなって悲壮感や不安などは消え去り、これまでの不敬や侮辱に対し激怒し始めている。同じ体にいるから分かるが、不可侵領域で戦った最後の方よりも激怒しており、宣言通りにしても収まらないだろう。


星を破壊するのは彼の中では確定しているようで、破壊した後にイエミアとついでにアルブラムの剣も回収しよう、それでこの星の役目は終わりだと考えていた。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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