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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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蘇る竜

触らぬ神に祟りなしと思い視線を前に戻し、除災招福(じょさいしょうふく)を唱える。ベアトリスたちがもう大丈夫だというので、ウィーゼルチームを戻しエレミアチームと共に妲己を抑えてもらう。


向こうの動きに合わせてスムーズに入れ替われるのは、イエミアたちが仕掛けてきた襲撃のお陰だ。一日に何度も襲撃され最後の方は稽古を付けながらそれをこなした。


忙しさに慣れ工夫し余裕を作れるようになれた経験が生きている。戻ってきたウィーゼルチームにも復気(リペア)を掛けながら休ませ、こちらによってくる敵をレイメイたちに処理してもらう。


このままいければ完全に立て直すことが可能だが、イエミアがそれを黙ってみているの気になった。なにか次の手を準備しているのではないかと思った時、クロウの先ほどの言葉が頭を過ぎり左肩を見ると頷く。


どうやらイエミアの隠し玉の一つが出てくるらしい。皆に警戒するように呼び掛けたいところだけど、ただ警戒するようにでは漠然とし過ぎて混乱を招いてしまう。


具体的な隠し玉が分からないので、周囲に変化が起こった場合は一旦引くようにしよう、そう考え皆にも伝える。


―さて、そろそろ私の隠し玉を出しちゃおうかな。


 シスターチームを戻し回復している途中で、イエミアは声を弾ませながら告げた。わざわざ予告しても問題ないほど凄いものなのだろうと思い、皆に一旦下がるよう指示を出す。


下がる皆を援護するべく自分は除災招福(じょさいしょうふく)を唱えるから、レイメイには寄る雑魚を広い範囲で処理してもらうよう頼んだ。


皆が下がりきったところで地面が揺れ始める。周囲を警戒しながらエレミアチームにも復気(リペア)を掛けた。


―振り出しに戻せたつもりでしょうけどそうはいかないわ。私はまだ本気の欠片もだしていないんだもの……そしてこれが本気の欠片! いでよ、死せる愛しき我が愛犬(カースドラゴン)


 激しくなってきた揺れが一瞬収まった後で、除災招福(じょさいしょうふく)によって消えていた瘴気が現れ一気に周辺に充満する。視界を奪われるほど濃い瘴気に危険を感じ急いで除災招福(じょさいしょうふく)を唱えた。


「+`@[p-#%6)=!」


 少し間があってから機械音のような金切声のような鳴き声が聞こえてくる。


―なるほど、システムに手を突っ込める人間がお前に手を貸している訳だね。


 クロウはよくわからない言葉を思念で飛ばしてきた。どういうことなのか聞こうとしたところ、突然ウルの声で鳴き声を上げる。鳴き声と鳴き声がぶつかって凄まじい騒音となり皆耳を塞いだ。


「あ、あれはなに!?」


 充満していた瘴気が一気に奥へ吸い込まれるように消えて行き、空気が軽く綺麗になった。様子を見るべく進もうとした瞬間、森を突き抜け瘴気を纏った巨大な動物の骸骨らしきものが現れる。


骸骨の顔はこちらを向くと口を開け、先ほどの機械音のような鳴き声を上げた。


死せる愛しき我が愛犬(カースドラゴン)の正体は、この世界に魂を移し竜に乗り移らせた、彼女の愛犬の遺骸だ。


 クロウの説明に言葉を失う。元の世界で殺害しこの世界でも亡くなったヤスヒサ王にこだわり、強引にここにまで愛犬の魂を呼び寄せ今また蘇らせる。イエミアの執念に対し背筋が寒くなるも、黙って立っている場合ではない。


焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)!」


 どの技が有効か分からず、先ずはこの技をと焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)を放ってみた。顔に直撃するかと思いきや、右手を素早く上げ遮ると横へ薙いで逸らせてしまう。巨体に似合わず動きが素早い上に、不動明王様の焔を逸らすとは驚愕せざるを得ない。


―ひょっとしてこれだけを相手にすれば良いと思っているのかしら?


 死せる愛しき我が愛犬(カースドラゴン)の鳴き声に合わせ、師匠たち敵将がこちらへ向かって突っ込んでくる。一人一人強敵なのにその上あんな化け物とも戦うことになるとは、と心の中で吐き捨てながら担当があるものはそれに当たるように、それ以外は死せる愛しき我が愛犬(カースドラゴン)に当たるよう指示を出した。


「さて、それじゃあ私も出ようかしら。エレミアそれにイーシャ、エスコートを頼むわ」


 未だに舞踏会の設定を引っ張っているらしく、そう言いながらこちらの上空へイエミアは現れる。彼女が前に出て来ると言うことは、あの竜の骸骨はイエミアが直接コントロールしなくてもいいのだろう。


独立してイエミアの指示通りに動くなら、彼女を倒してもあれが止まることは無い可能性があり、こちらで倒すしかない。ヤマナンさんたちを取り戻した時はこちらに追い風がと思ったが、一瞬にして向かい風に変えられてしまった。


さすが最終戦であり彼女たちの本拠地に近いところだと感心しつつ、こちらも負けてなるものかと皆に檄を飛ばす。各自の担当に対しては処置を任せているので、担当外の皆と共にこちらはフォローしつつ、あの竜の骸骨へ技をぶつけていくしかない。


声に出して皆にも伝えながら行動を開始する。偽・火焔光背(ぎかえんこうはい)を背負って対空時間を増やし、上空へと上がり焔を三鈷剣(さんこけん)に纏わせ


火焔斬(かえんざん)!」


 剣技を竜の骸骨に対し放ってみた。さすがに瘴気を纏っているからといって焔は掻き消せないのか、頭への直撃を嫌がり手で受けるも痛いのか鳴き声を上げる。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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