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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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エレミアの復調

美しき女神(ディオサ)!」


 皆から少し離れた場所にある空き地に移動し、エレミアは 美しき女神(ディオサ)を呼び出した。彼女と直接殴り合うのではなく、彼女の分身とも言える 美しき女神(ディオサ)と稽古をする形になる。


普通の魔法使いであれば稽古は難しいが、彼女の場合あれが剣の代わりになっているので可能だった。こうして向かい合うのはかなり久し振りな気がする。不可侵領域で神であるクロウを倒すべく共に旅立ち、今日までずっとエレミアに背中を任せ頼りにして来た。


任せすぎ頼り過ぎた結果、彼女は重傷を負うことになってしまう。自分としてはかなりそこが反省点であり、なんとか最後の方はなるべく苦労を掛けないようにしたい、そう考えている。イーシャさんとコンビを組ませたのも血の繋がりだけでなく、負担を軽減する狙いもあった。


ラの国では自分はテオドールを受け持ち封じ、イーシャさんとエレミアにはイエミアを封じてもらう。師匠はシスターにその他はイサミさんとノーブルに指揮を執ってもらい、動いてもらう計画でいる。


「ここから旅立つ前を思い出すわね」


 お互いに色々な思いを抱いてここまで来た。彼女は自分を不死にした神を倒すという目的を一度果たしている。死んだはずの姉であるイエミアが現れなければ、どこかで余生を送っていたかもしれない。本当にあの姉はろくなことをしないなと思いながら頷き構えた。


エレミアが魔法で生み出した流体金属である美しき女神(ディオサ)は、魔法生命体のようなもので彼女の魔力を動力源に動いている。怪我から復帰したばかりではあるが魔力は上がっており、以前対戦した時よりもパワーも素早さも増していた。


唸り声をあげ地面を叩いた次の瞬間、こちらの足元に流体金属のトゲが複数生えてくる。すべて回避して距離を取ろうとするも追尾してきた。イエミア対策としてこの能力を強化したのだろうかと考え、ならばと顕現不動(けんげんふどう)モードへ移行し回避しながらエレミアへ向け走る。


イエミアもエレミアに一撃必殺技が無いことを予想し、捕らえようとしてくることは想定しているだろう。仮想イエミアとして動くべく走っていたが、エレミアもそれに気付いたのか両手を伸ばし、美しき女神(ディオサ)の動きを変えようとしてきた。


伸ばした掌を閉じると同時に流体金属のトゲが覆うようにして現れる。速度を上げて振りきろうとするも振りきれず、稽古なのでここは囚われてみようと思い気を高めて体の周りを覆う。


光が消えて闇に覆われた以外に何か変化はあるかと探るべく、気を解いたところ体全体に冷たいものを感じ急いで再度気を纏った。想像の域を出ないが恐らく流体金属の中に漬けられたと思われる。


ここから出るにはどうしたら良いものかと考えたものの、素晴らしい名案は浮かばず一から試して見ることにした。先ずは風神拳を放って見ようとするも、動きがスローモーションのようになり放てない。


次に呪術法衣を纏い青白い炎を出して燃やしてみようと試みたが、空間は揺らぎもせず体力が消耗するだけだと思い引っ込める。通常の炎を出し且つ自分の身に燃え移らなければ、ひょっとしたら行けるのかもしれない。


残念なことに魔法使いでは無いので試しようもなかった。不動明王様の焔があるがこれは自分に与えて頂いた加護なので、エレミアからしても想定外だろう。


稽古だし脱出する方法が一応あるっていう経験にしてもらおうと考え、三鈷剣(さんこけん)を呼び出し偽・火焔光背(ぎかえんこうはい)を出す。


「さすがね」

「いや、これは自分が頂いている加護だから。一応脱出する方法もあるよってことで」


 不動明王様の焔は流体金属を少しずつ押し広げていったものの、ある程度の大きさになると流れるように溶けて行き光が戻る。行こうと思えばかなりの大きさまで広げられるが、町に被害が出てしまうので止めたのだろう。


エレミアは余裕の表情で両手を腰に当てて立っていた。美しき女神(ディオサ)もまったくダメージが無いようで隣で同じ格好をしている。自分では役不足じゃないかと問うも、ジンが中で試してくれたことはかなり助かったと答えた。


彼女の言う試してくれたこととは、ノガミの青白い炎のことだろう。いくら血が繋がっているとはいえ、あれはイエミアの中の春原來音(すのはららいね)によるものだ。


イエミアというこの世界の人間に備わったものではないので、妹のエレミアは使えない。イーシャさんが使える理由は、魂がイエミアとしっかり合わさったことで成されたのではないか、と仮定している。


元々魂が何度も移動出来るのが裏技中の裏技なので、仮定から先は神様にでも聞いた方が早い。視線を向けるとこの世界の神様の器は、気持ち良さそうに眠り続けていたので無理そうだ。


「私的には確実に捕らえることを最優先にしていく、これが間違っていないだろうということが分かっただけでも大きいわ。ありがとう、ジン」


 エレミアは笑みを浮かべそう言った。彼女の余裕そうな顔からして、イエミアを追い詰め足止めさせる何かがあるのだろうなと思い、聞きそうになるもそれを今出すのは不味いと気付き口を閉じる。


「さぁもう少し付き合って頂戴ね。リハビリしたくて仕方なかったのよ」


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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