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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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整いつつある戦力

「魔法なら体に障らないと思うけど」


 エレミアも表には出さないが気持ちが高ぶっているように見える。実は今日からイーシャさんも加わっており、彼女の成長を聞いて身内としてじっとしてはいられないのだろう。こちらとしても対イエミア戦でのペアとして二人を考えており、エレミアの反応からして相乗効果が得られる可能性を感じていた。


「気持ちは分かるけど、まだ駄目だ」


 ここはまだ彼女にも気合を溜めておいてもらい、ノーブルと共に調子を整えてから稽古してもらいたいので、はっきりと許可しないと口にした。前回のような奇襲とも強硬策とも言えない、無謀に近い攻め方をして来たのを見るに、テオドールとイエミアも限界に近いのだろう。


神様と面と向かって付き合って平気でいられる、そんな人間は居ないと思っている。あの二人もそういう意味では普通の人間と変わらないと証明された。敵であっても同情する余地があれば行動をおこすだろうけど、そうでないなら急ぐどころかのんびりする。


「さぁ皆、今日も頑張っていこう!」

「「おー!」」


 二人が帰ってきたことで他の皆も盛り上がり稽古は熱を帯びた。一人ずつ稽古をし二巡目というところで襲撃の知らせが入り、現場に急行する。前回よりも敵の数が少なく質も悪くなり、素早く討伐に成功し稽古に戻ることが出来た。


怪我も体力の消耗もなかったのでそのまま稽古を再開したものの、また二巡目で襲撃の知らせが入る。以降の襲撃は時間の間隔が短くなり数も質もランダムになった。相手が攻め方を変えてきたことから、こちらもそれに対応するべく夜以外はシフトを組んで対抗する。


襲撃を参加せず見守っていたノーブルとエレミアから、稽古は無理でもシフトを入れて欲しいとせがまれた。エレミアとイーシャさんのコンビをいきなり実戦でやるよりも、余裕がある今から組んで試してみるのも良いかと思い、前へ出ないのを条件に組むことにする。


討伐と稽古を繰り返し夜を迎え、いつものように屋根の上で一人で警護を始めた。前回も夜にテオドールたちが来たし、あれだけやられて黙ってはいないだろう。来るとすればまた夜だろうなと考えうたた寝しつつ待つことにする。


何度か襲撃がありそのたびに警戒したものの、結局テオドールたちは現れずそのまま朝を迎えた。いよいよもって相手も厳しいのかなと思いつつ、下に降りて教会に入り皆が起きてくるまで長椅子に座って待ち、起きて来たタイミングで朝食をとる。


この日も朝から襲撃があったが、シフトを組んだお陰でよりスムーズに対処出来た。一対一からチームプレイ、そしてコンビプレイと伸び盛りの皆にとっては良い糧となっている。


特に課題のあるハユルさんは相手がモンスターと言うこともあり、目覚ましい活躍をしていた。本人もそれを感じてかノリノリで動き味方のフォローもし始める。


ノーブルのようなお調子者なら一呼吸置くよういうところだが、控えめなハユルさんに対しては止めない方が伸びるとみて見守った。


気になるエレミアとイーシャさんのコンビだが、まだ組んだばかりなので動きがぎこちないものの、あとは回数をこなしていけば何とかなると思い黙って見守る。


 襲撃が始まってひと月が経とうとした日の朝、久し振りに外で朝食を取ろうと向かったお店の前で、偶然にもレイメイたちと再会した。新しい戦い方を模索するべく旅立った二人だったが、ようやく会得して戻って来たという。


どこで修業したのかと聞いくと山籠もりしてもいまいち埒が明かず、冒険者ギルドに登録し依頼をこなしながら戦っていたらしい。


今まで暗闇の夜明けに所属していたが御給金制だったようで、誰かの依頼を受けて稼ぐというスタイルが新鮮で刺激となり、新しい発想が次々出て来て大変だったと二人は盛り上がる。


ベアトリスが業を煮やしどういうスタイルに落ち着いたのか聞くも、ニヤニヤしただけで答えない。イライラしたベアトリスが詰め寄ろうとしたところで、外から兵士が飛び込んでくる。


レイメイたち以外の皆は何か直ぐに察し兵士と共に現場へ向かった。


「よっしゃ! ワシらの出番じゃ!」

「おう!」


 今回は巨大狼の群れが山から下りてきて人々に襲い掛かっている。一般国民の退路を確保しつつ撃退せよと指示を出しつつ、数が多いので最初に前に出てある程度減らそうとしたところ、レイメイたちが前に出て任せろという。


なら任せるよと告げると頷き、独鈷となったジロウを狼の群れに投げ放った。投擲して当てるのかと思いきや、狼には当たらず群れの中ほどまで何事もなく通過する。


「雷撃!」


 レイメイは空を指さしてから狼の群れを指さすと、中心へ雷が落ちそれが群れへと広がった。恐らく雷が落ちた地点にはジロウがいて、雷を受けてそれを周りへ放っているのだろう。ジロウは回転しながら戻って来てレイメイが右手でキャッチすると、独鈷の先を狼の群れへ向ける。


「雷帝招来!」


 電気を帯びて動きが止まった狼の群れの左右に巨大な手が現れ、包むように合掌すると狼は一匹残らずその場に倒れ込んだ。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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