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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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襲撃戦初日の夜に

教会に荷物を運び入れたのも束の間、モンスターの襲撃を知らせる兵士が飛び込んできて、あわてて皆で現場へ向かう。初回と同程度のモンスターが現れたが、二回目ともなると少し慣れてきたのか若干早めに終了した。


以降も襲撃初日だが手加減なしで昼夜を問わず、間隔もまばらにモンスターは攻撃を仕掛けてくる。夜もだいぶ過ぎたところで短時間睡眠でいける自分を覗き、皆にはしっかりと寝てもらうことにしてその間は一人で対応した。


対応できた要因として日中活動するモンスターを強引に動かせないのか、悪霊系がメインになっていたことだろう。悪霊系であれば除災招福(じょさいしょうふく)が特攻となり、数が多くても瞬時に葬り去ることが可能になる。


お陰で討伐時間が短時間で済み相手側も戦力が潤沢では無いのか、長い時は四時間も静かだったので十分睡眠がとれた。


「そう言えば最近静かだな、シシリー」


 胸元で眠る自称母親の妖精に対しそう話し掛けるも、気持ち良さそうに寝ている。具合が悪いのではないのかと心配したが、顔色は良いし気も充実していた。目が開いてる時に聞いても大丈夫だというので、それ以上は変化が無い限り追求しない様にしている。


―僕の心配はしてくれないのかい?


 ウルの鳴き声の音程でクロウが思念を飛ばしてきた。コイツも最近静かだなと思っていたものの、神様が具合が悪くなることもないだろうと考え放置している。具合はどうですか? 神様と聞くも問題無いと即答して来るので、なら言うなと思いながら朝日が昇るのを眺めた。


―シシリーも僕も最後の戦いに備えて充電中だ。連中には僕を敵に回したことを後悔させてやるつもりだから、ジンも楽しみにしててくれ。


 どうやらシシリーの爆睡状態は神様の差し金らしい。若干不安になったが今は信じようという結論に達し、ゆっくりと早朝のひと時を過ごす。やがて日が完全に登ると襲撃が始まり、一掃して戻ってくると皆起床し食事の準備をしていたので手伝う。


食事が終わると同時に一日のスケジュールを発表したところ、皆から夜も交代制でやってはどうかと提案された。夜戦の経験もした方が良いのか迷ったものの、戦い方に慣れるまではこの体制でやっていくと方針を告げる。


こちらの方針に対し色々意見を出されるも、敵襲の知らせを受けたことで終了となり出撃した。この後も断続的に襲撃がされたが、合間に稽古や食事をしていく。鍛えに鍛えた後はしっかり休むのが成長に一番大切だ。


今伸び盛りの皆に夜も戦えというのは酷なので、改めて提案を受けたが断り夜を迎える。夜勤担当として屋根で敵襲を待ちつつうたたねしようとしたところ、最後まで一緒に夜勤をしようとハユルさんは粘って来たが、休むのも仕事と押し付け寝かせる。


夜空は雲一つなく月が輝き星も瞬いていた。元の世界では見上げたところでなにも思うことは無かったけど、こうして眺めているとアリーザさんとの楽しかった日々が空に映り、感傷的な気分になる。いずれ再会した時には良い報告が出来るよう頑張ろうと思いながら、ゆっくり目を閉じた。


「相変わらず楽しそうで良かったですねぇ」


 気持ち良く寝ていたところに何か飛んで来たので、寝ころがりながら風神拳を放ち迎撃する。少しして聞きなれた声が聞こえてきて目を開けると、テオドールが夜の空に浮かんでこちらを見ていた。よく見るとここ最近の定番である不機嫌そうな顔に加えて、おでこに絆創膏を貼ってあり驚く。


医者であり魔法使いでもあるのだからすぐ治せるだろうに、それをしないのは余裕がないからだろうか。聞こうかと考えるもこちらも疲れているし、長話で愚痴をこぼされても嫌なので止める。


「お遊戯会の期間はどのくらいになりますかねぇ?」


 会話するのも面倒なので、追い払うように手を動かしながら寝返りを打って見えないようにした。間を開けずまたなにかを放ってきたが、先ほどと同じように対処し放置する。


「私は案外根に持つ方なんですよ? あまりぞんざいに扱わない方が良い」


 案外もクソも根に持つ人間にしか見えないが、本人は気付いていないのかと思い笑ってしまう。これはこちらの負けだと考え目を開け上半身を起こし、こちらが行けるようになると判断するまで動かないが、なにか問題があるのかと答える。


「お前たちはよくても国民たちが音を上げるのではないかね?」

「俺とシスター以外はこっちもボロボロさ。なにせ町は壊され司祭もやられた上に、師匠まで人質に取られてるしぃ……せめて師匠だけでも返ってくればなぁ! 困ったもんだよなぁ人手が足りなくて攻めに行くことすら出来なやぁ!」


 感情を込めずに大きな声で言ってみた。結構響いたらしく眉間にしわを寄せ、テオドールは震え出す。これまでのことを考えれば、この程度の仕返しは利子にすらならない。自分が嫌がらせをされる側に立ったのを理解し、これを機会に反省を促したいところだ。


こちらの被害を話していて思ったが、彼がイラついているのは前にラの国へ向けて焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)を放った際、着弾して出た被害の影響がかなりあるのではないだろうか。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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