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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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修行の日々へ

「な、なるべく早く帰るから!」


 粘る二人を振り切って町を出て南南西へ向かう。五日と考えていたがやはり放ってはおけないので、三日くらいに短縮しようと思っている。本当なら皆と稽古したいところだけど、パワーアップしているらしい自分自身の能力が全く分からない。


ぶっつけ本番でやるには相手が極悪なので、どうしてもある程度は知っておきたかった。パワーが上がったは良いものの加減が分からず目も付いて行かずでは、間違ってアリーザさんを倒してしまいかねない。


彼女を倒すのは有り得ないのは勿論のこと、最後に待ち構えている相手は倒すのではなく、繰り出す技を全て打ち破る必要がある。皆には悪いが数日だけ自分のために使わせて欲しい、そう心の中で呟きながら道を走った。


最初は森の中をランニングする感じで走っていたが、徐々にスピードを上げてみる。徐々に景色も流れて行き……


「うわっ!?」


 などと呑気に実況している訳にもいかなくなった。自分では少し走っただけのつもりだったのに、あっという間に先の方にあった木が目の前に現れる。今までの感覚で走ると危ないことが確認出来た。次はと力を試そうと現れた木に対し、ノーブルとハイタッチする時の感じで触れてみる。


「えぇ……」


 メキメキメキッと音を立てて木が倒れる。まさかここまで威力がアップしているとは思わず、あまりの威力に驚いた。確かめずにハイタッチをしていたらと想像しただけで肝が冷える。想像以上のパワーアップに自分自身驚いているが、日数も限られているのでさっそく力加減の調整に入った。


最初は岩を砕いたり直線を走ったりしていたものの、山を駆け上がり跳躍して下りたりしていき、モンスターたちに襲われ始めたので実戦を開始する。こちらの倍はあろうかという恐竜を投げ飛ばした時、体から出ている気の多さに驚いた。


この力が最初からあればどんな事件も間を開けず解決できただろう、そう思わないでもないがそれを今さら言っても仕方がない。最後の相手に対しては足りない可能性があるからこそ、与えられたのだろうなと自分を納得させ修行を続ける。


「くっ!?」

「ほう……ついには視界がなくとも微弱な気を捉え防いだか」


 走って戦ってと繰り返しているうちに寄るが訪れたが、視界が悪い中で戦う場合を想定し足を止めてモンスターと戦っていた。徐々に目を閉じ気だけを頼り戦っていた時、感覚では大きいはずなのに小さな気がこちらに向かって来る。


明らかな違和感を感じ警戒していたものの、間合いに入った瞬間に気が膨れ上がり拳が唸りを上げて迫ってきた。腕を交差させて防ぎ事なきを得たものの、よく防げたなと自分でも驚いている。ショウの篭手のお陰もあるだろうが、防御力も確実に上がっているなと実感した。


改めて拳を放ってきた相手の気を探ってみたところ、なんとライドウの気でありまさか屋敷まで来てしまったかと焦る。彼にここはどこかと確認して見たが知らんと即答された。こんなところでなにをしていたのかと聞くも、それはこっちの台詞だと言われる。


「骨のあるやつを探して南下していたら、モンスターが所々で倒されているのを発見してな。誰も死んでおらず気絶だけさせている、そんな凄い奴がいるのかとそのまま跡を追って来たらお前がいた」


 力がある程度把握できたあとは化勁に重きを置いていたため、相手を疲れさせたあとで気を失う程度加えただけに留めていた。ライドウに評価されて嬉しいよと告げると、俺は修行終わりの時もちゃんと評価したぞと怒られる。


修行終わりからのことをこちらが色々説明し、聞き終えるとライドウは大きく頷き笑った。ひとしきり笑い終えた後で、相変わらず楽しそうで良いなという。無駄だとは思ったが暇なら参戦するかと提案するも、弱い連中の戦いには混ざらんのが信条だと語る。


「弱い連中の戦いには興味はないが、お前の強さには興味があるな。どうだ? 俺とあの日の続きをせんか?」


 あの日の続きと言われ、恐らく竜人形態のライデンとの組手の事だろうと思った。怖いがこの状態で組手をした場合どうなるかとても興味がある。思い上がりかもしれないが、と前置きした上で頼んだところ間を置かず攻撃してきた。


最初は鋭く力強い攻撃に冷や汗を掻きながら回避していたものの、徐々に感覚が慣れて行き少し余裕を持てるようになってくる。


「余裕と言った顔だな……だがこういう手もあるぞ!?」


 小さく飛び上がったと思ったら空中で一時停止し、そこから突っ込んで来た。ギリギリ避けられたあとでバサバサと音がし、ライドウの方を見るとうっすらと翼が広がっているのが見える。竜人形態の真の力を発揮かと問うも、まだまだだと言う。


「だが喜べジン。この形態で翼まで使って戦うのは、ゲンシ以来久し振りだ!」

「司祭とは戦っていないのか?」


「ああそうだ。お前はアイツをかなり評価していて叔父としては嬉しいが、俺からすればお前の方が今は強い」


 冗談だろう? 聞くが答えず攻撃を再開した。目を閉じて戦っているが、見えなくても音や体から出る気から情報を得ることで、ここまで戦えるんだなと感激している。そのままライデンの攻撃を回避し続けているうちに、やがて陽は昇り始めた。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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