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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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神による不具合修正

―さて、そろそろ僕とお話ししようよ。


 中庭から受付に移動し城を出た途端、クロウが思念を飛ばしてきた。いつも断りも無しに思念を飛ばしてくるくせに、改まってそういうってことはなにか特別な話があるのだろう。どこか指定はあるのかと思念を飛ばしてみると、今は町は駄目だから山の中腹が良いとリクエストしてくる。


のんびり移動しだしたが、出来ればシシリーが寝ている間に済ませたいと急かして来た。見ればシシリーはいつのまにか、胸元で気持ち良さそうにスヤスヤ寝ている。彼女が起きていたら不味いのかと問うも、起きていても問題ないが暇になればうるさいからねと答えた。


―ありがとう、じゃあ少し目を閉じてくれ。


 言われた通り城の裏手にある山の中腹に着くと、さらにリクエストされ仕方なしに目を閉じる。少し間があったとでおでこの辺りでバチッと静電気が起きた。驚き目を開けると同時に、クロウから終わったよと思念が飛んで来る。


説明を求めたところ、孫の発動させた魔法の修正をしたとあっさり教えてくれた。まさか素人が本を読んだだけでこんな魔法を発動させられるなんて、とクロウは感激している。魔法のことはよく知らないが、天使(あまつか)先生は凄い人で知る限り名医と呼ばれていたと教えたところ、さすがだねとさらに上機嫌になった。


―君には本来かかるべき補正が掛からず、不幸体質と言うか騒動を巻き起こす体質に変換させられていた。それ故に次から次に不利な状況が積み重なっていたんだ。だから僕はそれを修正したんだよ。


 まさか元の世界で殺されただけでなく、こちらに来ても得られる予定だったチートすら得られてなかった、と今さら教えられ空笑いしか出てこない。クロウの修正によって俺は掛かるべき補正が掛かったのか最強だな、そう思念を飛ばしたこちらに対しそれは無いと即答する。


―不幸体質を無くし補正が正しく掛かるようにしたが、未熟な魔法使いが施した魔法では本来の上限より低くなってしまう。不運や不幸は回避できるがあとは君次第だ。


 未熟じゃない魔法使いが施した場合、とんでもないことになっていたんだなと思い驚愕した。今ですら十分な力を得ているのになと考えていたところ、それは僕や不動明王の加護があってこそだ、と食い気味で思念を飛ばしてくる。


不動明王様はまだしも、すべての元凶に自分のお陰だとか言われたくはなかった。力を貸してくれて助かってはいるが、そもそもテオドールとイエミアがいなければ、こんな事態にはなっていなかったはずだ。


戦乱が拡大してしまった以上抗議しても意味が無いので、この騒動の落とし前を付けてもらう。


―言いたいことは大体伝わってるし、僕としても放っておけないから最後まで同行するよ。それより少し山の頂まで登ろう。


 神様に隠し事は無意味だと言わんばかりの回答をし、今度は山の頂まで行けと言う。バツが悪いので言われた通りに移動し辺りを見回すと、夜空に散らばる星々が瞬いておりとても心が安らいだ。町を見ると消火活動が進み火も見えなくなってきていてホッとする。


―ジン、あそこ目掛けて焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)とかいう技を打ってみてくれないか?


 左肩を見るとラの国があると思われる方向を指さしそう言った。イエミアやテオドールが対策をしていないとは思えないし、打ったところで弾かれるのが関の山な気がするけど、言われた通りに放ってみる。


夜の闇を引き裂くように焔を乗せた風は突き進み、地面に当たる前になにかにぶつかった。想定して防壁を張っていたんだろうなと察したのも束の間、轟音を立ててそれは焔を乗せた風に破壊され地面に下り辺りを包み、しばらくして幻だったかのようにすぅっと消える。


―うーんやり過ぎたのかな……それとも僕が計算を間違ったのかな。普通に修正しただけだったはずなんだけど?


 クロウは何やら早口で言い訳をするような思念を発した。どうやら破壊するだけで終わりだろうと考えていたようだが、破壊し地面に到達するとは思っていなかったようだ。よくわからないが、うちの先生は天才なんだよ甘く見過ぎたんじゃないのか、というと戸惑いながら空笑いする。


先生は俺との約束を守ってくれる、クロウのひ孫が出来たら大変だなと意地悪気味に行ってみたが、どういう約束をしたのかと必死な感じで聞き返された。死なせてしまったことを後悔してくれていたようだったので、自分の分まで幸せになって欲しい家族を持って欲しい、そう伝えたと言うと黙り込む。


―そうか……そうか。やり過ぎかと思ったけど足りなかった気がする。もう一度修正させてくれ。


 どこか嬉しそうに納得した後でとんでもないことを言い出す。これ以上能力が上がったらもうそれはただの蹂躙じゃないかと抗議し断る。


―僕の気が済まないんだ。色々知っていればこんな事には……ああ僕は自分が許せなくなってきたよ。修正させてくれ。


 他人の体をよじ登りウルクロウは頭に張り付いて来た。鬱陶しいのでウルには悪いがラの国方面へ思い切り放り投げる。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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