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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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神さえ煽る男

今回は両手を広げて左右の指を鳴らし、その音に反応して地面から吉綱公がざっと見た感じ二十人程現れた。吉綱公たちは皆同じ表情をしており、ぱっと見ただけでは見分けがつかない。この中に一人だけ本物がいて、吸血効果と毒効果を付与する村正を持っている。


人数的には圧倒的不利だが、三鈷剣(さんこけん)で斬れば間違いなく斬れるだろうから、一人ずつ片付けて行くしかない。


―ジン、少しだけ時間をくれるかな?


 肩に乗るウルクロウが思念を飛ばして来たので構わないと告げ、シスターたちにも少し時間をくれるよう頼んだ。


「皆様、大変恐縮ですが少しお時間下さいねぇ」


 テオドールもそう言って一旦吉綱公たちを下げ、それを見たウルクロウがテオドールに願いを叶えると伝えたところ、今はまだ復活させなくて良いと言う。まさか作った神の中に入れたいとか言わないだろうね、とクロウが問うも即答しない。


神の中に入れる場合は協力できないと宣告すると、ようやく違うと答える。間があったのをクロウが突っ込んだところ、私もあなたと同じように生き返らせるなら完璧にしたいからだ、と言った。テオドールの言葉にクロウは低めのトーンで、僕は神様にしようなどとは考えていないと反論する。


「それは今のあなたの意見でしょう? この世界の神よ。蘇ればきっとあなたも願うはずだ、愛する者に最強を保証したいと、誰よりも無双してほしいと!」


―それがイコール神になるのは理解しがたいがね。神になったところでなにも面白くはない。面白いのは一時だけで、そのあとずっと悠久の時が続くだけだ。


「体験した者だけが退屈だと思えるのですよ!」


 論破したと考えたのか、テオドールは天を仰ぎながら甲高い声を上げて笑った。クロウが交渉決裂だねと確認したものの、互いに楽しみつくした後でまた語り合いましょうと、交渉はまた今度でと言い出す。


僕を怒らせておいて交渉できるとでも? というクロウの問いに対しては微笑むだけで答えない。そんな機会があれば良いけどねと告げ、こちらに対しテオドールごと倒してもいいと告げる。


交渉は終わったらしいので戦いを再開したいが、ほぼほぼテオドールが独り言を言っている状態になっていたので、神との交信は終了したか気が済んだかと問う。口角が目じりにつかんばかりにあげ目をひん剥き、こちらを見ながら指を再度鳴らして吉綱公たちを呼び出した。


「最早今語ること無し……約束の地までお付き合い願おうかジン・サガラ!」


 語ること無しとか言いつつ、どうせまたなにか喋り出すだろうなと思いつつ構える。テオドールの行けという掛け声を受けて、二十人の吉綱公がこちらへ斬りかかってきた。一旦間を空けることに同意してしたので、責任を取るべく自分が先陣を切る。


「「この時を待っていたぞ、ジン・サガラ!」」


 二十人が同時に叫び声を上げ、胸元のシシリーだけでなくウルクロウまで顔の側面を抑えた。こちらも抑えたいところだが攻撃が迫っていたので堪える。感覚を研ぎ澄ませ回避し捌くことに専念し、


「皆、後ろに行った奴の処理を頼む!」


 通り過ぎた吉綱公たちを後ろで控えるシスターたちに任せた。


―ジン、そいつだ!


 正面から仕掛けてきた吉綱公は斬りかかるのではなく、鍔迫り合いに持ち込もうとしてくる。受けて後ろのとまとめて吹き飛ばそうとしたところ、その後ろからテオドールのように妙な動きをしながら飛びあがり、斬りかかってくる者がいた。


地面を叩いて砕けた岩をぶつけたところで意味がないと考え、焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)を放とうとするも、鍔迫り合いをしているので時間が無い。


砕破拳(さいはけん)!」


 三鈷剣は鍔迫り合いをしているので焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)は使えず、ただの風神拳では堪えられてしまう気がしたため、完全に集中しきれていない状態だが砕破拳を放ってみる。完全な状態よりも大きさは小さいものの、白い炎が渦を巻き妙な動きをして斬りかかってくる吉綱公へ飛び、そのまま彼を吹き飛ばした。


「一応私もいますのでね」


 ほっとしたいのを見逃さず、テオドールがぬるって右側に現れ拳を突き出してくる。一撃もらう覚悟をしたが左肩にいたウルクロウが火の球を吐き出し、テオドールの顔面にヒットし転がりながら下がっていく。


ウルクロウに感謝すると思念を飛ばしてから、今のうちに残りの吉綱公を倒し尽くしてしまおうと声を上げた。なるべく多く受け持とうと奮闘しているとシスターが横へ並び、こちらが避けたり剣で受けた相手を殴り飛ばすという、即席のコンビプレイであっというまに数を減らすことに成功する。


「さすがと言わざるを得ませんな……お二人は元より他の方もお強い。ならばお代わりがあって然るべきですね!」


 またテオドールが指を鳴らすと先ほどのと同じ数の吉綱公が現れた。まさか無限増殖して来るのかと思ったところで、細胞にも限りがあり魔法石を通して増殖させていて限界はある、とクロウからアドバイスを受ける。


限りがあると知れば前向きに戦えると思い、皆にも相手の数には限りがあるから頑張ろうと檄を飛ばした。


「やはりクロウがそちらに付いているというのは、思った以上に厄介ですねぇ」


 二度目の全滅をさせた時、テオドールは舌打ちした後でそう呟く。僕を倒して見るかいというクロウの挑発に対し、テオドールは微笑みながら首を横に振り、それでも勝ちますよとうそぶいてみせる。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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