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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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持久戦の先にあるもの

「そうか、シャイネンにも報告してくれて助かった。感謝する」


 陛下はお休みになっていたので、宰相閣下が代わりに報告を受けてくれるという話になり、少しの間受付前で待つことになる。待っている間、タクノとハユルさんがぐったりしていたので、シシリーに案内を頼み先に宿へ戻ってもらった。


応接間に案内され入るといつもの格好の宰相が椅子に座っている。夜分遅くに申し訳ありませんというも、偵察隊からマの国にあった妙な物体が消えたと報告があったので、報告があるだろうと待っていたという。


一礼し中へ入ると向かいの席を進められ、着席しさっそく報告を始めた。マの国の国民は生きてはいたものの、日常を取り戻すのにどれだけ時間がかかるか分からない状況だと報告したところ、マの国も駄目かと宰相は項垂れる。


こちらの報告が終わるとヨシズミ国の動きに関してお話があり、現在は防衛に兵士をすべて回しており国内は安定しているという。周辺国が安定していないので流通が不安定だが、シャイネンやスロートの協力のお陰でなんとかなっているらしい。


リベンに対してもシャイネンを通して協力を要請した結果、ナビール氏から全面的に協力するという力強い返答を得られた。戦いが集結すれば時間はかかってもヨシズミ国は元に戻るだろう、と宰相は複雑な顔をしながら話す。


アの国そしてマの国が潰れた今、残り三国の救出も厳しいとお考えなのだろう。すべて駄目であった場合、復旧に関して時間がかかるどころか放棄せざるを得なくなる。戦いの余波で自分たちの国を安定させるだけでも厳しいのに、他国の修繕などはしていられない。


放棄した場合、そこを根城とした盗賊やモンスターなどが跋扈(ばっこ )する可能性があり、ヨシズミ国の安全度は下がってしまう。シャイネンとしても自分たちの国を維持しなければならず、リベンにおいても同様だ。


シャイネンはこの大陸における秩序を護り魔法も管理しているし、リベンはそれプラスノガミ一族の管理もしなければならない。治療や修繕そして管理をしながらスの国に辿り着く頃には、それぞれの国は目一杯になり救援も望めなくなるだろう。


イエミアとテオドールの作戦だと思うが舌を巻くしかなかった。暗闇の夜明けという少数精鋭の組織が国と戦うのであれば、真正面から戦うのではなく相手を消耗させるこの作戦は正しい。


俺の妻であるアリーザさんを人質に取るだけでなく、ニコ様の夫でありノガミの重要人物である師匠を人質にとる。


これでこちらだけでなくシャイネンや果ては竜神教、ノガミ一族も攻めざるを得なくなった。消耗し被害が拡大すると分かっていてもこちらは一歩も引けず、さらに相手には隠し玉が用意されている。


クロウの読み通りなら、最強の戦士が襲い掛かってくるのは間違いない。


「あまり考えても仕方がなかろう。我々は我々で崩れぬよう足場を固めて進むしかあるまい」


 手の内の詳細が分からない以上、こちらに出来ることは宰相の言う通りのことしかなかった。夜ももう遅いため、またなにかあれば双方連絡を取ることにして解散する。


「隠し玉の安定のための持久戦だから意味はない、ということに気付いたようだね」


 帰り道夜空を見上げながら歩いていると、左肩に乗っていたウルクロウが喋り出す。胸元を見ると天敵であるシシリーはぐっすり寝ていたので、タイミングを見計らって出てきたなと思った。


スの国まで捨て駒との戦いかと呟くも、さすがに今回の件で作戦を変更して来ると思うよ、と肩に乗っかるこの世界の神は言う。


こちらからすればまだあと二国だが、相手からすればもう二国になってしまっている。マの国での引っ張るような戦い方からして、あの時点での襲撃も予想外だった。


さらに最速とも言えるスピードで崩されてしまい、予想外も予想外だったろうとも話す。


「隠し玉の全容はわからないけど、僕ですら神様なんて作れないのにやろうとしている。およそ考え付く最悪を考えていた方が、精神的に楽だと思うよ?」


 クロウの言うことは信じられないが、最悪を考えていた方が動揺を少なく出来るというのは同意見だ。イエミアとテオドールという最悪のコンビが、人に優しい星に優しいことをするなんてありえないと断言できる。


地獄を好んで演出することにかけては、あの二人とクロウの右に出る者は居なかった。そう考えると同じ思考のクロウが言うなら、間違いなく最悪を超えてくるに違いない。


確信を得たこちらの思考を読んだのか、君は失礼だ僕は君に対して地獄を演出した覚えはない、と抗議してくる。


誰のせいで今この状況になったのかというのを、懇切丁寧に説明したいところだったが、今日は色々疲れたので止めた。説明を求めると食い下がってきたが、はいはいと言ってあしらい宿へ戻り就寝する。


「先生! またですか!」


 寝室のドアが勢いよく開くと同時にどでかい声が響き渡り、強制的に目を覚まさせられた。誰の声かは見なくてもわかるため、あとで説明するからというも強引にベッドから引きずり出される。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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