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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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ふえる生徒

「以後宜しくお願いします、先生!」


 なぜかイーシャさんにまで先生と呼ばれ戸惑う。理由をたずねたところ、師匠というにはちょっと若く先生のほうが合っていたからだ、と言われる。自分の年齢が若いと言われるのは違和感があるが、見た人がそういうなら咎めることもない。


畏まる必要は無いので適当な時間帯にしましょう提案したものの、食い気味で食事の前後にやりますと低いトーンで言われてしまった。最初からそれでは疲れてしまいますよというも、時間が無いのでこれでもたりないという。


焦っているようだが、アリーザさんを祖母が連れ去ったことを気に病んでいるからだろうか。イエミアに関しては謎が多すぎるし、ミカボシさんのようにひょっとするとイーシャさんのお祖母さんとは別人かもしれない。


イーシャさんの気持ちはわかるが、今や暗闇の夜明けの上層部として暗躍している人物であり、慎重に事を進めないと間違いなく死ぬことになる。お祖母さんのことで参加したい気持ちはわかるし応援するが、一朝一夕で強くはならないし冷静になるべきだと説得を試みた。


「ジン様はこの数年で天と地の差ほど強くなられましたわ」


 笑顔でねっとりいうイーシャさん。お前に言われたくないと言いたい気持ちも、まぁ理解出来なくはない。それでも数年かかってますよねと言うも、人間から化け物に数年でなれる人もいるのだから、数日で強くなってもおかしくはないのでは? と言われる。


はっきりと化け物と面と向かって言われて打ちひしがれたが、それはそれで事実なので置いておくとして説得は続けようとした。


「先生! こんにちは!」


 最悪のタイミングで最悪の声が聞こえる。幻聴であろうと考え無視しようとしたものの、イーシャさんが後ろを覗き込んだ後でこちらを見た。


「先生! 遅ればせながらこのノーブル、シャイネンより馳せ参じました!」


 聞こえないことにして説得の続きをしようとしたところ、イーシャさんに並ぶように前に立ち敬礼する。なんてタイミングで出て来たんだと思いつい手で顔を覆ってしまった。


「あなたはジン様の生徒ですか?」

「はい! 一番弟子のノーブルと申します! あなたは?」


「私はイーシャと申します。この町の町長であるシゲン・タチの娘で、今日から二番弟子になりました」

「それはよいタイミングで来れたようですね! これからどうぞよろしくお願いいたします!」


 ノーブルの声に耳がキーンてなるわと思いつつ、ちょっと黙っていてくれと告げるも無視され、先生に付いて行けば最強になれますよと無責任な発言をする。こっちからすれば最悪のタイミングでの発言だ。案の定イーシャさんは大袈裟に感激し、一日二日は無理でも一週間あれば見違えるでしょうね、と乗っかった。


そこからしばらくの間、先生の素晴らしさを語り出すノーブル君。相槌を打ちつつ、なんとか一、二週間でも問題無く強くなれる、という自分の意見に賛同させようと話しの合間に挟むイーシャさん。


「まぁ一、二週間なんとかならなければ、生徒の方の才能がないんですけどね!」


 散々話を聞かされた挙句、心臓を一突きするような発言をされイーシャさんは崩れ落ちる。平然と話を聞いてくれた相手をバッサリやるノーブル君に感心しつつ、地道地道と声を掛けながらイーシャさんの肩を叩く。


黙って立ち上がり、イーシャさんは嗚咽しながら屋敷の中へと走り去って行った。先生も隅に置けませんね! とか見当違いなことを馬鹿でかい声で言われ殺意を覚える。だけどまぁこれがノーブルだよなと思い笑うと彼も声を上げて笑った。


「相変わらずだなノーブル」

「お元気そうで何よりです! なにやら難破船の救出もされたと聞き及びましたが、あまり仲間外れにせんでください!」


「ここから先はこれまでの敵とは訳が違うぞ?」

「望むところです! その為にここまで来たんですから!」


「久し振りにやるか?」

「はい! 是非ともお願いします!」


 ノーブルと相対したが、師匠に稽古を付けてもらっていたのか前よりも頼もしく感じる。弟子一号を卒業できそうだなというも、冗談にしては質が悪いですねと返された。さっき極悪濃度の高い返しをした人間の発言とは思えず笑ってしまう。


凝縮された気を剣に纏わせ、鋭い一撃をノーブルは放ってくる。やはり以前よりも研ぎ澄まされた剣筋で、これなら吉綱公にも引けを取らないだろう。師匠は流石だなと思いながら捌いていると急に剣を振るのを止めてしまった。


どうしたのかと聞くと強くなりあっと言わせる予定だったという。稽古を始めて数分で足元にも及ばないことを思い知らされ落胆したらしい。そんなことはないと言いそうになったが、それでは彼を傷つけてしまうと考え、一応これでも先生だからいつでもお前の先を歩いているよと諭す。


「先生も成長していたら追いつけないじゃないですか」

「そんなにすぐに追いつかれてしまうような、弱い先生の方が嬉しいのか?」


 ノーブルはこちらに言葉に首を横に振ると、もう一回お願いしますと気合を入れ直し構える。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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