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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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ヨシズミ国への帰国と動乱と

港に船をつけた瞬間、近くにいた者がガシャガシャと音を鳴らしてこちら駆け寄ってくる。松明の灯りを当てながら何をしているのか、と問いかけてきたので見ると兵士だった。幸い無くさず持っていた冒険者証を提示したが、見たまま動かなくなる。


申し訳ないがこの小舟を預かっていて欲しい、と告げると体をびくっと跳ね上げた。今直ぐ人を呼ぶのでと言われたが急ぐから不審な点が無いなら行かせてもらうと断る。船長が魚とり用の網も用意していてくれたので、食料を入れて抱え港を出るべく船から上がり歩き出す。


正直なところもうどれだけ経過しているのかもわからない。今からヨシズミ国へ戻っても皆が無事かどうか。ライデンのお陰で自分が出来ることはやり切れたと思う。今生きているのも不思議なレベルの修行だったので、正直もう二度としたくない。


少し歩いてから小腹が空いたので、網の中からパンと干し肉を取り出し一気に食べ尽くす。久し振りに普通の食べ物を口にしたからか、とても美味しくて涙ぐんでしまう。水も入っていたので口に含みまた歩き出す。


街の中に入ると奇異の目で見られたが、お構いなしに南門まで歩いて行く。幸いまだシャイネンの出入り口は空いていたので、検問の兵士に冒険者証を見せ反応を見ずに外に出る。町の外に出ると同時にクラウチングスタートの姿勢を取った。


明日の朝くらいまでヨシズミ国へ着けばいい。食料も水もまだ余裕があるし、体力に至ってはまるで消耗しておらず、余裕をもって辿り着けるはずだ。


「行くぞ!」


 自らに気合を入れて走り出す。遮るものは全て薙ぎ倒して行く覚悟で大地を蹴る。木を薙ぎ倒し岩を破壊し水の上を走りモンスターを吹っ飛ばして進む。いよいよ暗闇の夜明けと司祭、両方との決着をつける時が来た。


それが出来ればこの星最強かもと思ったものの、ライデンみたいなのが居る以上それはないと知り安心する。最強になればまた追い回されるが、さらに上がいるなら今度こそのんびりアリーザさんと暮らせるはずだ。


「どけぇえええええ!」


 気合を入れて飛ばし過ぎたのか、元アリーザさんが隠れていた村が見えてきた。墓地になっているはずだが、そこに見慣れない鎧を着た兵士が隊列を成して進んでいるのが見える。かなり距離がある場所から警告したので、ぶつかる前に振り向いた兵士が次々道を開けてくれた。


ヨシズミ国の塀が見えて来たが、その前には兵士がたむろしている。面倒なのでそのまま城壁を駆け上がり塀の上に立った。


「おや、お早い御帰りで」


 大きな羽を広げ、月を背にゆっくりと誰かが横へ下りて来る。見ればティーオ司祭だったのであまりにも驚いてしまい、一瞬固まってしまった。しばらくして一呼吸した後でどうしてここにと問いかけると


「僕は君を倒すことに興味があるだけだからね。邪魔になりそうなものは排除しておかないとと思って、君が留守の間ここを護っていたんだよ」


 にっこり微笑みながら答える。さらにこちらを上下左右見た後で護っていたのは無駄ではなかったみたいだと頷いた。状況の説明を求めるとどうやら見立て通り、兵士の中に他国のスパイがおりジン・サガラが居なくなったとして攻めて来たという。


相手に対して同情を禁じ得ない。警戒していたジン・サガラよりもさらに強く、手加減も慈悲も無い相手がここに君臨していようとは、夢にも思わなかっただろうな。ぶっ飛ばして良いのかと確認すると勿論と司祭は答える。


一対一にこだわってヨシズミ国を護ってきたのだから、この期に及んで嘘はつかないだろうと考え再度門の前へ下りた。


「ジン・サガラが帰ってきたぞ! 覚悟しろ!」


 不憫に思ったので大きな声で叫び、自分が誰なのかお知らせしてみる。大きな声過ぎたのかしばらく兵士たちは固まっていた。後ろの方からかかれ! という号令がかかると同時に動き出す。


「風神拳!」


 数が多いので取り合えず減らすべく風神拳を放つ。以前なら放った真っ直ぐ方向の兵士を吹き飛ばし、半数怪我くらいで済むはずだった。


「うあああああ!」

「助けてくれぇええええ!」


 割と広い範囲の兵士たちを吹き飛ばしてしまい、がっつり減っている。やってしまったものは仕方ないので、面倒だけど全部吹き飛ばすことにした。結局町の前には誰も居なくなり、塀から降りてきた司祭にやり過ぎじゃないか? と咎められる。


こちとらモンスターたちと命を懸けた修行をして来たんだ。手加減のての字も出来るような状況ではなかったので、今それを求められても対応不可能だと抗議した。司祭はそれでこそだよととても喜び、対戦は君が落ち着くまで待つと言い出す。


こっちとしては会ったらすぐ戦闘開始だと思ったので拍子抜けする。


「悪いけどやろうと言われてもやらないよ? 君はまだまだ強くなる。そのための餌はまだ残ってるからね」


 地獄の修行を思いながらこれ以上は無理じゃね? と反論するも、笑顔でスルーされた。あと数日ここの護りを受け持つから、その間に各所と連携を取るよう勧められる。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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