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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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マギの名を持つ者

名前を聞こうとしたが先ずはこちらからと思い、名を名乗りあいさつをしたところ知らない人の方が珍しいと言って首をすくめた。こっちでもそんなに有名なのかと驚くも、私たち界隈は特にねと意味ありげに答える。


「丁寧に挨拶ありがとうね。私はマギ・ユーエキ、呼びづらいだろうからユーさんとでも呼んで頂戴。ちなみにさっきの私たちの界隈っていうのは、エルフの間ってことね」


 エルフの間でもヤスヒサ王の再来として話が広まっているらしい。なかでもイザナさんに師事していたことがその証拠として伝えられ、早いうちに協力した方が得だという話があるという。異世界から来たという点以外はだいぶ違いがあるのにな、と思いながらそんな得はないですよと否定しておいた。


ひとつの種族が敵にならないというだけで得だと思った方が良いと言われ、たしかに敵がひと種族減るならそれもありかと思いそうですねと答える。


「私はそれであなたに好意的になったりはしないけど、ゲンシの弟子でありミカボシの恩人というだけで好意的にならざるを得ないわ」

「師匠とミカボシさんとお知合いですか!?」


 こちらに問いに対し、苦笑いしながらゆーさんは教えてくれた。ヤスヒサ王が竜族との戦いを終えて協定を結び、ネオ・カイテンを統治し安定した政治体制を確立した頃、ユーさんはミカボシさんと竜人族の都近くで出会ったという。


ミカボシさんと交流するうちに彼がユーさんの知識に感服し、ネオ・カイビャクで教鞭をと乞われたそうだ。イザナさんが居るという理由で拒否したものの、長い間を掛けて何度も乞われ仕方なく応じたという。タイミング的にイザナさんはリベンを去っていて、しばらくしてミカボシさんも急逝してしまった。


彼の死に化粧やその保管を施したのもユーさんだと知り驚く。母であるラティ王妃から頼まれ、いつか蘇ることを願いそうしたそうだ。


「まさかアイツに使われるなんて思ってなかったわ。ラティもあの世で驚いてるでしょうね……」


 イザナさんとは魔法で連絡を取っており、クロウ戦のことも聞いていたという。クロウと共に吹き飛ばしてしまってすいませんと謝罪するも、あなたは最大限出来ることをしてくれたありがとうと感謝される。


あのまま誰も止めなければ、クロウはミカボシの体を使ってこの星の人々に酷い仕打ちを下に違いない、だから止めてくれたあなたは恩人だと言われた。吹き飛ばしただけでミカボシさんの体は戻ってこないので恩人ではないと伝えたが、それでも私からしたら恩人だから良いのよと言われる。


これ以上否定するのも気が引けたので、話しを変えるべくユーさんと師匠のかかわりを聞いてみた。ミカボシさんの生前から魔法による回復に関する知識をリベンの魔法学校で教え、生徒にはニコ様や師匠もいたようだ。


亡くなる前からミカボシさんに師匠を頼むと言われていたのもあり、二人の結婚や子どもの出産にも立ち会い、シャイネンに移り住む際も共に来たという。魔法学校で教鞭をとっている時にシンラとであったが、理解が早く何でもできたらしい。生徒の中でも群を抜いて凄かったものの、唯一回復だけはそうでもなかったとユーさん話す。


「アイツは何でも出来たけど、逆にそれが退屈にさせちゃったのかもね。次第に思想的な方面に傾いて行った」


 教師たちもシンラに対し、広くものを見るよう考えるよう諭したそうだが聞く耳持たず、マラニア崩壊事件を起こしてしまった。事件前まで肯定的な考えの人たちも態度を一変させ、表向きは賛同しながら裏では蔑んでいるそうだ。


魔法の普及の道を閉ざしてしまったのもシンラ自身、と言う結果になってしまったが彼は諦めていないだろう。どうやってその道を再度開こうとしているのかと思った時、回復というワードが引っ掛かる。ユーさんにここ最近病気が流行ったりはしていないかと聞くも、特にそういった報告はないという。


テオドールは人型花を作るようなマッドサイエンティストだ。クロウとも通じているし、疫病の類を作り流行らせたとしても不思議ではない。


「やりかねないけど、シンラは決して馬鹿ではない。人間族にも魔法を普及させるという、暗闇の夜明けのお題目を捨てるような真似を二度もやるかしら」


 たしかに今度同じことをすれば、人間族に魔法を普及させるのは危険であると見られてしまい、永遠にその道が閉ざされてしまいかねない。元々すべてに劣る人間族が今数を増やしているのは、皮肉にも異世界人であるヤスヒサ王の血筋のお陰だ。


いずれそれにも限界が来る。このままではエルフたちが人間を支配していた時代に逆戻りする可能性が高い。例えエルフに善人がいても、大衆は主流におもねるだろう。まさかそれも止めるために呼ばれたとすれば、中々荷が重いなと思った。


「まぁなんにしてもその体の状態じゃどうにもならないから、早く元気になってもらいたいわ。私も残念なことに魔力が無尽蔵では無いし、こっちの三人は回復は無理だし」


 ユーさんに言われシシリーやエレミアは苦笑いし、ウィーゼルはそっぽを向いている。サガたちの病状を改善するために役に立てるなら、一日も早く元気にならなければと思い頷いた。今やれることは寝ることだけだから頑張って寝なさいと言われ、目を閉じる。


ダメージを受けて倒れたわけではないので、二日ほど寝ると体力は元に戻った。ユーさんからも太鼓判を押され、さっそくなにを手伝えばいいかとたずねる。

読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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