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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第一章 営生を探して

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襲われるおじさん

一旦冒険者ギルドに戻ってラウンジでお茶をしていると、ベアトリスたちが通りかかったので外へ出る。町の案内は終わったと言うので皆を連れて甘味処へ向かう。特にイーシャさんは町長からの指示で俺たちに時間を割いてくれているので、何かお礼でもと思ったからだ。


「とても美味しいですこのデザート」

「でしょ! 私もお気に入りなの!」


「私も大好き!」


 女性陣にも好評なようで良かった。この町には娯楽施設なんてのは無いしこういう食べ物屋もあまりない。美味しさもあって料金は安くはないし俺たちも大きな稼ぎが無いと食べられない。しっかり味わいながら頂き食べ終えると、イーシャさんに礼を言ってを町長の家まで送る。


サガとカノンたちも懐きベアトリスとも仲良くなったようで、また遊ぶ約束をして別れた。宿に二人を預けお手伝いを頼んでから俺たちはギルドへ赴く。二人ともう少し会話をしていたいが、貯金はあるけど潤沢では無いので働かないと減る一方だから仕方ない。


丁度午後から出来る依頼が舞い込んで来た。どうやらこないだの護衛任務はそこそこ良かったようで、それを聞いた商人さんの別の仲間が俺たちを指名してくれたので請け負う。だが行き先を聞いて少し訝しむ。


「どうする?」


 ミレーユさんも何か感じたのかそう尋ねて来たが、折角指名料まで払って指名してくれたのだから受けると言うと依頼書を出してくれた。但しベアトリスには御留守番を頼む。サガとカノンが心配と言う理由を付けて。


勿論理由はそれでは無い。こないだ町長と村へ行った時の反応が妙だったので、今回ただ行って帰ってくるだけでは済まないだろうと思っていたからだ。ベアトリスは察してくれたようで了承してくれた。


商人は一人減ったのを渋々承知したが割引されてしまい、四十ゴールドプラス出来高になる。距離的にはそう遠くは無いし、急げば夜には戻れるので早速護衛の任務にあたった。


天気は曇りだったが生温い気温が雨が降ると伝えているような感じの気候だ。なるべく急いだ方が良いと伝えるも、依頼主は大丈夫だと良い馬車はのんびり進む。荷物を載せているのに濡れたら大変だろうにと思いつつ、のんびり行きたいと言うのは変だ。


商人は一ゴールドでも多く儲けたい人種だろうから、濡れて商品が少しでも駄目になったり見た目が悪くなるのは避けたい筈。それを構わないとなるとそれ以上の儲けがあるか目的があるか。


「そこの馬車、止まれ……何!?」


 見た目がボロい服に皮の鎧、そして盾も無くいきなり剣を抜いているので兵士やまともな冒険者ではない。俺は盗賊と認識し構わず荷台から飛び降りて蹴り倒す。一人だけと言う訳も無く脇道から更に二人追加で現れた。向こうが体勢を立て直す前に攻撃に出しかない。


左の盗賊はこちらをしっかり見ているが、右の盗賊はやられた仲間を見ていた。となるとここは


「強すぎる! こんなの聞いて無いぞ!」


 盾を下ろして構えながら間合いを詰めるべくダッシュする。完全に間合いを潰す前に体の中心を狙って盾を投げつけた。相手は面を喰らって動けず腹で受けて倒れ、残りは一人。その残ったのは右側の奴だ。警戒している奴より警戒していない方を残した方が捕まえ易いと踏んだ。


右側の奴はすっかり怯えて逃げ出そうと俺に背を向けたので、素早く盾を回収して即投げつける。直撃し地面に倒れたところを駆け寄り腕を捻って動きを封じた。


「誰の差し金だ? 狙いは俺だろう?」

「な、何の話だよ」


「こんなの聞いて無いって言ったじゃないか。何を言われて来た?」

「そ、それは……え!? ぎゃっ!」


 何か言いかけたが馬が嘶いたので振り向くと、馬車がこちらに向かって突進して来た。急いで飛び退いたが盗賊は逃げ遅れ馬車の車輪に轢かれてしまう。まさかここまでするとは……俺が呆れていると何かがヒュン! と逃げて行く馬車に飛んで行き馬の尻に刺さって転倒。荷台も倒れて商人は遠くへ投げ出された。


商人を追い掛ける前に矢が飛んで来た方向を見ると、スキンヘッドに赤い鉢巻をした厳つい顔の人が木の上に居る。皮の軽鎧に布の服を着ていて、背中に矢筒を背負い右手に弓左手に矢を持っていた。


ブーツは何かの毛皮の飾り付けがしてあったので猟師の人かな。敵では無いだろうけど警戒して見ていると、右手を上げてから木を下りこちらに近付いて来る。


「やはり罠だったか。ミレーユから様子が変だと連絡を受けて警戒していたんだが」

「ミレーユさんから?」


「ああ。俺はギルドの守護兵士(ディフェンダー)ヤマナン。ここから少し離れたところにある猟師の村出身だ。宜しく」


 ヤマナンさんは笑顔で握手を求めて来たので応じると、とても嬉しそうに頷いた。何故嬉しそうなのか尋ねると昨日の件を聞いてとても感激し、会ってみたいと思っていたからだと言う。俺は知り合いだから助けただけだというと、ヤマナンさんはそれでも尊敬に値すると言ってくれた。


「ここに長く居ると、色々なしがらみを考えて困っている子供を助けるのにも躊躇してしまいがちだ。俺からすれば生きていればしがらみなんて勝手に付くのだから気にしても仕方が無い。お前は新参者だが勇気がある。讃えられるべき男だ」

「ど、どうも……」


「取り合えず先ずはこの盗賊たちを連れて町へ戻ろう。あの商人に関しては手配をすれば良い。二人でこのまま追うと二兎を追う者は一兎をも得ずになりそうだ。ここから先は盗賊や他のが出てくる危険性が高いからな」


 縄を借りて盗賊三人を縛り上げ、ヤマナンさんの指示に従い町へ戻る。これまでなら村の誰かの仕業だろうと考えられるが、盗賊と事を構えた今はどちらかとは容易に判断できない。何にしても俺にターゲットを絞って来たとなるとより一層気を付けて行かないと。







読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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