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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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シャイネンへの帰還

「ノーブル、ジンも言っていたと思うが、お前が行く先はこっちと違い戦地だ。残酷なことも悪意も当たり前のように点在していて、お前のオヤジもいないどころか身内もほぼいない。目を背けたくなることもあるだろうし、命の保証なんて誰もしてくれない。それでも行くのか?」

「ゲンシ様!」


「叔父上!?」


 ナビール氏は驚きつつも少し笑みがこぼれた。これまで甘やかしてきたから行って来いと言い辛いのか、良いとは言わない。さすがにそれをアシストするのも違う気がしたので、黙って見ていることにする。師匠はこちらの動きを見て頷き、少し待った後でナビール氏に対して父親として息子を送り出してみてはどうか、と提案した。


ナビール氏は息子のこととなると優れた統治者の面影が無くなるようで、こちらや師匠それに息子を往復して見てあたふたしている。


「わ、わかった……だが、だが必ず生きて帰ってくるのだぞ……! お前が勇者となって立派に帰ってくるまでに、ノガミの信頼を回復し盤石にしておくからな!」


 師匠が目の前にいるにも拘らず、次の王様はお前だと言わんばかりの言葉に苦笑いした。息子溺愛しすぎだろと思いながらニコ様にお待たせしましたと告げる。地面に現れていた魔法陣が強く輝き出し、目が開けていられず瞑るとスッと吸い込まれるような感覚がした。


階段の数段先を飛び降りるような感じがすると同時になにかが胸に当たる。驚いて目を開いてみたら目の前には久々に見るニコ様だけでなく、なんとDr.ヘレナまでいて困惑した。クロウとの決戦の時に力を貸してくれ、妖精王やフルドラと共に去ってしまったはずだ。


記憶をさかのぼっていると激痛が走る。何だと思い見てみたら強く抱き着かれ圧迫されていた。鎧は着てないがそれなりに鍛えているはずなのにどういうことだと思い、目線を下に向けてみると黒いベールに修道服を着ている人物がいる。


なるほどこの人なら余裕で押しつぶすことも可能だなと納得したが、そんな場合じゃない。シスターギブアップだとはっきり伝えたのに、なぜか余計力を入れてきた。肩をタップしても無視されこのままでは死んでしまうと思っていたところに、エレミアから名前を言いなさいと耳打ちされる。


「シスター・ティアナ、久し振り」


 生死の境を彷徨いつつも笑顔で優しく言った。力が緩まりこれで開放されると思いきや、そのまま放り投げられる。理解がいまいち出来ないが、なんとか解放されたので着地を図りながら復気(リペア)を発動した。


直接木などの生命から頂くのと違い、大気中に漂う放出された気を掻き集めるので量は少ないがないよりはマシだ。シスターは母親であるニコ様に抱き着き、ニコ様はそれを慰めている。なにかこちらであったのではと心配になり、Dr.ヘレナに問うもそういう問題ではないと言われた。


困惑に次ぐ困惑で混乱しそうになるも、ここは踏ん張って現状を確認したいと告げる。


「ジン、この度は我が一族のことでだいぶ世話をかけてしまいましたね」

「いえ、こちらこそ不在の間はヨシズミ国を気にかけて頂き感謝しています」


 師匠の弟子であるから自分も無関係ではないので、あまり気にしないで欲しいと話す。ニコ様からもヨシズミ国はシャイネンだけでなく竜神教と同盟を結んでいるため、当然のことをしたまでですよと言われた。


Dr.ヘレナにフルドラはどこにいるのかとたずねるも、教えてもいいがあなたは今それを気にしている場合じゃないと思うと言われ、再度ニコ様を見た。帰って来て早々悪いけどと前置きがあった後で、ヨシズミ国周辺が緊迫状態になっていると教えてくれる。


元々ギルド長を通せんぼしたり嫌がらせをしていたが、ここのところ露骨に妨害をし始めたらしい。幸いシャイネン方面との取引が出来るため、経済方面は問題ないが安全面で問題が生じているようだ。


「わかりました。さっそくヨシズミ国へ戻り周辺国の対応をゲマジューニ陛下たちと協議します」


 ニコ様もそうしてくださいと言ってくれたので、早速ヨシズミ国へ帰る準備をしようと思いシスターに一緒に国に帰ろう、と声を掛けた。ニコ様から離れなかったものの、しばらくしてからうつむきながらこちらに走ってくる。


また抱き着いて来そうになったので避ける準備をしたが、エレミアが間に入ってくれた。シスターは足を止めエレミアとにらみ合う。以前暗闇の夜明けにエレミアが所属していたことから、あまり仲が良くない。


悪口の応酬が始まったものの、そこにイサミさんが入り両者をなだめてくれる。ウィーゼルとタクノも協力してくれ、なんとか収まり旅立ちの準備をするべく下へ降りた。


「随分と楽しそうだね」

「久し振りだ」


 城を出たところで、暗闇の夜明けのトレードマークであるワインレッドのローブを着た人物が二人立ち塞がる。一人はとても背が高く、そういう人物は暗闇の夜明けの中で一人しかいない。


「お出迎えありがとう。久し振りだなウソウにムソウ」


 こちらが名を言うと同時にローブを取り姿を現した。赤い軽鎧に身を包んだ顔中紋様だらけで釣り目、身長差以外は全てが同じという女性二人組でシンラの妹である。

 

読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

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