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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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若き勇者の決意

「さぁ行きましょう!」


 食事を済ませた後も張り切って片付けを頼りも頑張ったノーブルに促され、リベンを目指して歩きだした。向こうに帰ればアリーザさんに久し振りに会えるが、国の事情で仕方なく結婚したから別れようと言われたらどうしようか、といまさら考え始めうろたえる。


いやいや最初は便宜上の結婚で、彼女の方が若いし美人だし誰か良い人が現れた時は、身を引く覚悟をしていたはずだ。うろたえている場合じゃない。仮にもしそういう人が現れたら祝福して送り出すべきだろう。


「先生!」


 良くないことがぐるぐると頭を駆け巡り、答えのない迷路に迷い込みながら歩いているとノーブルに呼ばれる。見ればいつの間にかリベンの町が目の前に現れていて、ワープしたような心境に陥った。ノーブル曰く何度も話し掛けたが上の空で心配したという。


駐屯地から昨日までの彼のような状態になってしまったようで、パーティリーダーとしてしっかり舵取りしないといけないと反省し、皆に謝罪して回る。やっと帰れるところまで来たのにブルーになっている場合じゃない。


久し振りに歩くリベンは以前と同じくらい盛況さを取り戻しており、エリート宿屋も繁盛していて一安心した。サラティ様の退陣に伴い、現在はノガミによる直接統治となっているがこれなら問題ないだろう。


城の前に着くと門兵たちはこちらに気付いて敬礼した後、慌てて城内へ戻って行く。しばらく待っていると戻って来て中へどうぞと促される。久し振りに師匠と再会出来ると思うと緊張してきた。もうかなり長い間会っていないが、少しは成長したと思ってもらえるといいなと考えながら、受付の近くの椅子に座り待つ。


「待たせてすまない」


 奥の方から以前と変わらないラフな格好をした師匠が現れる。後ろに数名の兵士を引き連れ、書類を見ながらこちらに向かって来た。急いで立ち上がり駆け寄ろうとするも、書類を兵士に渡してこちらを見つけた師匠が手で押し留めて来たので、その場で待つことにした。目の前まで来ると突然深々と頭を下げられたので、慌てて横へ行き肩を抱いて頭を上げて貰おうとしたが、首を横に振る。


姉が起こした不始末をさせてすまない言われ驚く。あれは誰にも予見出来なかったしサラティ様のせいというか、色々な思惑が交差しクロウに利用された事件だった。一瞬師匠の苦労を弟子が背負えるなんて光栄です、とノーブルみたいに言いそうになる。


「そこにいた者が自分の住む国を守るために全力を出して守っただけです。自分もその一人にすぎません。師匠には出来れば謝罪より、お帰りと言って欲しいです」


 笑顔でそう話すとエレミアとイサミさんが笑顔で肘で突いてきた。どういうことなのか戸惑っていると師匠がようやく頭を上げてくれ、お帰りよくやってくれたと褒めてくれる。難題続きでなんとなく戦いから日常に戻ったが、師匠の言葉でやっとしっかり一区切り付いた気がした。


さっそく元サラティ様の部屋まで移動し、ニコ様と水晶玉を使用して連絡を取ってくれる。急いで魔法の道を開いてくれるというが、師匠は引継ぎを終えるまではこちらに留まるらしい。マテウスさんもこちらに残り手伝うと言うことで、こちらのメンツだけで戻ることになった。


ニコ様から準備が完了したと言われ、部屋の中央に移動する。魔法陣が下に現れ移送の準備が始まった。


「ノーブル、お前はこっちだ」


 師匠がそういうので見ればノーブルがこちら側に紛れ込んで立っている。笑って誤魔化すのかと思ったら首を横に振った。冗談は止せという師匠に対して冗談ではありませんと言い返す。こういう展開を予想していなかったわけではないが、ノガミのトップの一人である師匠にはっきりと言い返したので、驚きを隠せないでいる。


「なにをしているのだノーブル! こちらに戻れ!」


 下から誰か上がってきたと思ったら、デラウンに居るはずのノーブルの父親であるナビール氏が現れ再度驚く。ゲンシ様に口答えするなどと咎めるナビール氏に対し、ノーブルは毅然と僕は僕の意思を伝えたまでですと言い放った。


水晶玉に映るニコ様からも、ノーブルにそこから退くように言われたが頑として聞かない。


「僕は成長したいんです。このまま自分の故郷で皆におだてられ、勘違いした強さのまま統治者になって生きていきたくはない。本当に強い戦士になりたい。だからいかせてください!」


 涙なしで拳を握りながら真っ直ぐ父親を見つめ、彼は自分の想いを口にする。ぶつけられた父であるナビール氏は視線が泳ぎ始め、こちらをチラチラ見始めた。任せろと言ってもよかったが、ハユルさんにもイサミさんにも責任を持てないと言った手前、そうもいかずに苦笑いしか出来ない。


「なんだ、ジンがノーブルを指導しているのか?」

「指導なんて凄いものじゃないですよ。ただ手合わせしたりアドバイスしたり……師匠のようなことはまだ出来ていません」


 返答に対し顎に手を当て師匠は考え込む。ニコ様から早くしてと催促されたが、結論は出ないままだ。


読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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