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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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駐屯地到着

この世ならざる者(アンワールドリィマン)が最近現れた者だとすれば、それはこの星が人々の成長を促すために呼び出したのではないかとなんとなく思った。マジックアイテムも以前に比べ見ることがあると聞いたが、あれもその一環だったりしないだろうか。


「先生!」


 先ほどまでと違い群れでこの世ならざる者(アンワールドリィマン)が現れ行く手を遮る。最初に見た地図を思い出し歩いた距離を考えれば、駐屯地が近くなっていてもおかしくは無い。師匠が対策をしてもまだ遠く、マジックアイテムが量産される保証もない現状ではまだまだ地道に倒す他無いのだろう。


剣を抜き切り掛かろうとしたところで、エレミアから待ってと声がかかった。振り返るとエレミアが右手をかかげている。白い光を放ち始め徐々にそれは強く大きくなる。六畳間くらいの大きさになったそれをトスするように押し、放物線を描きながら光は敵へ向かって飛んでいく。


敵の群れはその光に触れると体がサラサラと砂のようになり崩れ、風に流され消え去った。驚き光を追っていた視線をエレミアに戻すと、皆驚いて彼女を見ている。照れながらあれは魔力を多く使うので頻繁には出来ないと言う。


彼女の肩にいたシシリーが魔力を確認してみた結果、ゼロになっていると教えてくれた。駐屯地にまだ到着してないのにどうするのよ、とウィーゼルからツッコまれると後は任せたと肩をぽんぽんと叩く。


叩かれたウィーゼルは深く溜息を吐き、こちらに移動して来ると先導し始める。後方のエレミアからもう直ぐ駐屯地だ、と報告が入ると地面を踏み鳴らしながら歩き始めた。ノーブルからウィーゼルさんもやる気十分ですね、頼もしい! と煽ってると取られかねない声を受け、殴りかかろうとしたのでなんとか間に入り体を張って止める。


タイミング良く敵が襲って来ないものかと考えつつ、ウィーゼルが後ろへ行かないようマンツーマンディフェンスしながら進む。


「あれ……ジン、久し振りだな」


 草むらがガサガサし、木の陰から誰かが出て来たのでウィーゼルと共に身構えた。敵の数を確認しようと見てみたが、出て来たのはハイ・ブリッヂスの統治者でハユルさんの兄であるブキオで驚く。まるで町で偶然久し振りに会った知人のように挨拶をしてきたので、気の抜けた返事をしてしまう。


ハユルさんが後ろから駆けより事情を説明したところ、お前たちがあの化け物どもをけちらしてくれたのか助かったよとこれまた呑気に話す。イサミさんはどうしたのかと聞いてみたら、彼女のお陰で皆何事もなく過ごせたと言い、案内しようと言って先導する。


少し歩いたところにあった元ヤクヤ・モリたちの村にテントが複数建ち並び、真ん中では火を起こして食事を作っていた。連絡が途絶えたと聞いたから心配したと言うも、化け物に囲まれて出るに出れなかったから仕方ないと他人事のように言われる。


赤いテントの前に着くとブキオはイサミ様と声を掛けた。中からどうぞと言う声が聞こえてくるとテントの一部を上へ開け、中へ促す。失礼しますと断りながらテントの中に入ってみたら、イサミさんが赤いじゅうたんの上で横になりながら本を読んでいる。


こちらに気付いて急いで起き上がり姿勢を正しながら手櫛で髪を梳かす。改めて連絡を途絶えたので探しに来ましたと告げると首を傾げた。皆それを聞いて急いで来たんですけどとウィーゼルが話してもピンとこないらしい。


ブキオがイサミ様は連絡されていたと思うが、と言い出しこちらが驚きの声を上げる。イザナさんから救援にと言われたんですと再度言うとやっと理解したのか、ああと声を上げた。ピンとこなかった説明があるのかと思いきや、ブキオに視線を向け腹痛で倒れた兵士を国に返してあげてと命じる。


指示を出されたブキオはハユルさんにこっちに来いと告げテントを出て行く。今度はこちらがピンとこないでいると救援を頼みはしたが、病気の兵士の運搬と食料の補充でだと言い出す。ウィーゼルはそれを聞いてヒステリックになり地団太を踏み出した。


彼女はタクノ達に頼み、一体どういう状況なのか確認させて欲しいと頼む。イサミさん曰く、下ブリッヂス地方の安全確保に向けて派兵したのはこちらがクロウと戦っていた頃らしい。敵が多すぎてどうにもならなくなり一旦兵を下げたが、その際にこの森の南に妙なアイテムを発見したという。


ヤクヤ・モリたちの村に陣取っているのはそのアイテムの調査のためであり、イザナさんはそれを知っているし魔法で連絡を取っていると言われ声を出して驚く。


「存外遅かったな」


 イサミさんとの間の空間が歪み、そこから白いスラックスとサンダルを履いた足が出てくる。次に手が伸びてきて手招きした。恐らく引っ張れってことなんだろうなと理解し近付いて手を握り引っ張る。


「よい散歩になっただろう?」


 全身が出ると体の誇りを払いながら混乱を招いた人物はそう言った。


「どういうことですか?」

「ん? イサミが言った通りだが?」


 イサミさんたちが苦戦していると聞いたのにと抗議するも、苦戦しているのは間違いあるまい? と首を傾げながら言い出す。心配してきたからか疲れがどっと押し寄せてくる。



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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