生徒は面倒臭い
あまりにも圧が凄くて体を少し後ろに逸らせ顔を背けてしまう。ゆっくり足も引いて距離を置き手を突き出し近寄らないようにしたうえで、先生の言うことを理由もなく拒否する生徒とはやっていけない、と改めて断った。
考えてみればこっちでノーブルが勇者と讃えられれば、あっさり記憶の彼方で居たことすら忘れられるに違いない。どこの誰だか分らんおっさんよりも、ノガミの血統で若くて二枚目の勇者の方が盛り上げたくなるものだ。
へたに指導してずっと先生として慕われても面倒臭い。自分から断ったらそれ以上付きまとうことも無いだろう。ハイ・ブリッヂスへの救援を依頼する役を誰にするか決めようと皆を見たところ、視線が来た道を向いている。
見てもそこには誰もおらずどうしたのかたずねたところ、ノーブルが走って行ったと言われた。こっちで話していた内容を聞いていたのか疑問を抱きながらも、わからなかったら戻ってくるだろうと考え、皆でこの世ならざる者を避けながら探索する。
沼地周辺には居らず橋の近くには近付いてこない。相変わらずよくわからない生態をしているなと思いつつ、そろそろ誰か来るんじゃないかと橋の近くへ移動した。見るとイザナさんが兵士を数人連れて立っていて、こちらを見つけると手を上げる。
急いで駆け寄り、先ほど皆で話した内容と調べてわかっている範囲のことを伝えた。腕を組んで頷き改めて敵を視認してもらった結果、一旦戻り食料などを準備して再度駐屯地を目指そうとなり引き上げる。
使いに出したノーブルはどうしたかとたずねると、自らハイ・ブリッヂスへの使者の役目を買って出たらしい。ノガミが伝令に来たとなれば向こうも急いで用意しよう、いい采配だと言われ実はと切り出し経緯を説明した。
話を聞き終えると上手く生徒をコントロール出来たようだなと言われ、そんなつもりは無かったというも今後は考えてやれと言われる。指揮官が考え無しだったり迷ったりあやふやな指示を出せば、現場が困るのはお前もわかっているだろう? と問われた。
たしかに元の世界でも上司が変わったばかりの時、出す指示がふわふわしていて現場が混乱したのを思い出す。先生だって神ではないから間違うこともあるだろうが、それでも生徒のことを考えて迷わぬよう指示を出せと言われ頷く。
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