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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第七章 この星の未来を探して

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アルブラムの剣の行方

「すいません心配かけてばかりで」

「心配させるのが子どもの仕事だし、承知で引き取ったのだから気にしないで。喜んではいけないのだけど、こうして再会しあなたが成長しているところを直接見れたのは嬉しいわ」


 微笑みながら大先生(おおせんせい)にそう言われ、気恥ずかしくて後頭部を擦りながら俯く。成長していると言われたが、天使(あまつか)先生が与えてくれたチート能力があってこそ、という部分も大きいので素直に喜べない。もっと鍛えて強くなっていれば、妖精王モードも顕現不動(けんげんふどう)モードも強かったはずだ。


天使先生のお陰で戦い抜いてこれましたが、残念ながらあまり成長はしていませんと吐露する。大先生は苦笑いしながら、自分を卑下しすぎだと言った。自分の子どもでもあるし、ある意味あなたの兄でもあるから高く評価して自慢したいところだが、お世辞にもチートと呼べる能力を授けているとは言えないとその理由の一端を説明してくれる。


 ギルドの運営に携わっている大先生が冷静にランキングを見ても、能力値(ステータス)的には単体でランキング上位にはギリギリ入るかどうからしい。ギルドでは実績だけでなく魔法でその能力値を見ていると言い、緊急依頼などを出す際に参考にしているようだ。


実績はあっても能力値(ステータス)的にランキング上位ギリギリ、だからこそ広く警戒されることはなくそれが功を奏した部分もあると言った。具体的には直近のミサキの乱がそれであり、ミサキさんは一撃のショウの血筋からギルドの情報を得ていたと教えてくれる。


師匠が鍛え弟子にしてくれた点や妖精を従えている点、さらには身に着けている防具の特殊さやコネクションなどが評価されてのゴールドランクらしい。リベンは別大陸になるのでコネクションは無くなるし、防具はヤスヒサ王の遺品に比べれば下で師匠はこの大陸には居なかった。


相手からすると厳重に警戒しなくてもいいランクになったという。クロウもその辺りを参考にしていたようで、天使先生のチートがすべてならとっくに高頻度で接触されていたと大先生は語る。


これまでもこの世界に異世界人は何人も招かれ、クロウによって呼ばれた者やミシュッドガルドさんによって呼ばれた者がいたようだ。例外なく皆チート能力を有していたし、クロウの接触を受け先導されていった。中には世界を手中に収めたものもいるし、勇者と呼ばれた後でクロウの小間使いになった者もいる。


最後の方は寂しそう言う。恐らくだが、大先生は自分の時と同じように冒険者ギルドの受付として、異世界人と接してきたんじゃないかと思った。世界を移っても母親代わりお姉さん代わりをやってるんだな、と思うと自然と笑みがこぼれる。


「ちょっと、そろそろ昔話は御終いにしてもらっていいかしら?」


 声が聞こえて来た方向へ視線を向けてみたら、茂みがガサガサと音を立てて動く。少ししてから出て来たのはパルヴァとエレミアにシシリーだった。三人に会えて微笑んだが、フルドラのことを思い出しなんと説明して良いものか迷う。


「ええ、お待たせしたみたいだけどそちらも良いのかしら?」

「問題無いわ。この子の聖刻をなんとか利用して起動準備は出来たから」


 何の話かと聞くと、アルブラムの剣を見つけて出そうとしているとパルヴァは話す。この先にある別の窪みを見つけ探ったところ、昔空洞だった場所があったらしい。怪しいとみて魔法で掘っていったら、以前誰かが実験を行っていた施設を発見した。


中には記録が残されており、外殻装着の資料だけでなくアルブラムの捜索に関する資料もあったようだ。施設にいた人々はアルブラムの剣を発見し、その使用を目論み実験を繰り返していたという記録があったと言う。


パルヴァが昔を思い出した時、この一帯に以前月読命が仲間を引き連れて住んでいたと聞いたことがあったらしい。月読命というのはエレミアが着けているペンダントにも彫られていた名前だ。ヤスヒサ王の王妃の一人だと聞いていたが、そんな怪しい研究をしていたのかと驚く。


「康久と出会う前は色々あったのよ彼女にも。クロウと康久の姉に利用されて力はほとんど取られたけど、ある意味それでよかったのかもしれないわ。力を失った彼女は一人の人間族として康久と共にその後の時代を生きたのだから」

「まさかアルブラムの剣の研究もしていたなんてね」


「クロウに対して一矢報いようとしていたのかもしれない」


 なにかがありその施設は埋められ、何者かによって発見されにくいようになっていたという。クロウが分からないレベルに隠せる者なんているのか? と聞くと一同押し黙る。ミシュッドガルドさんはアルブラムの剣が施設にあるとは言ってくれなかったし、大先生までわからないとなると誰が仕掛けたのか知りたいような怖いような気がした。


「まぁ何にしてもこっちに有利なのは間違いないわ。なんのつもりでエレミアに聖刻を刻み付けたのかは知らないけど、これ自体にあっちに有利な仕掛けはないようだし」


 個人的にその聖刻というのはなんなのかと質問すると、クロウがエレミアに右肩に刻み付けた葉っぱを模ったマークで、その効果によって寿命が止まっているらしい。



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

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