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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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決戦へ向けた準備

ギルド見学を終えて出ようとした時、ガイドさんからお土産は如何ですかと併設された売店を勧められる。パルヴァとクニウスは先に出ていると言って行ってしまった。個人的にもこれから生死を賭けた戦いをするのに、お土産を持って行かないだろうと思ってパスしようとしたが、エレミアとシシリーが売店に釘付けになっている。


お財布はエレミアが持っているが、二人を置いて行くのは忍びなくて付き合うことにした。観光施設の売店だからと侮っていたが、食べ物は無く野宿用の小物やデラウンの縫製品などが置かれていて驚く。鉱山を所有し採掘したものを輸出するだけでなく、デラウンでも加工を行っているとガイドさんが教えてくれる。


一撃のショウの義理の娘が市長に就任して以降、デラウンでは冒険者ギルドの他に職人ギルドが結成され、全国から職人が訪れるという。観光施設よりも住居や工房が多く、以前よりもデラウンの町の規模は大きくなっているそうだ。


この大陸一の技術力で多くの生産品を生み出している、とガイドさんは誇らし気に語った。たしかに野宿用の小物をじっくり見ても、雑な作りをしている部分が見当たらない。武器や防具も凄いんでしょうねと聞いてみたら、警備隊の装備も他の町よりも優れていると豪語する。


始まりのギルドを出て左に進んだところにある防具屋がおすすめだと聞いたので、あとで寄ってみようと思った。エレミアとシシリーになにか欲しいものはあるかとたずねたところ、商品を一つ一つ丁寧に見始める。


 迷った挙句、シシリーは子どもがおままごとをする時に使うであろう、小さなナイフやフォークのセットを選び、エレミアは月をモチーフにしたペンダントを選んだ。ガイドさんはエレミアに対して御目が高いと褒めた。


どういうことかとたずねてみたら、これはヤスヒサ王の妻であるルナ妃が書いた文字を模り、丁寧に削りこんだ一品らしい。じっくり見てみるとそこには月読命と書かれてた。ルナ妃なのに月読命とはどういうことなのだろうか。


きっとご加護がありますよと言われ、エレミアと目を見合わせたが逸らされてしまいお会計をさっさと済ませてしまう。会計が終わり商品を包むかと問われたので、ペンダントを付けようかとエレミアに聞くと頷いたのでその場で付ける。


シシリーが選んだものは小さな袋に入れてもらい、彼女自身が持ちたいというので持たせた。外に出るとパルヴァとクニウスが待っていたので、この先にある防具屋を見たいと言うと行こうと言ってくれたので皆で向かう。


「おいおいマジか」


 防具屋に辿り着き店の中を見ようとして視線を向けたところ、ガラス越しにまぎれもない不死鳥騎士団の盾が見え驚き声が出る。紛失したものが売り物にされているのは衝撃だったが、自分の物だと主張できるわけでもない。


ただあれはアグニスさんの形見でもあるので、いくらかかろうが取り戻さなければならないものだ。ドアを開け店の中に入り奥まで進む。カウンターにいた白髪白髭で毛量の多い人物に対し、あの盾はどこで仕入れたのかとたずねた。


カウンターからこちらに出てきてどれかというので盾のところまで案内し、再度たずねる。だいぶお年を召された方のようで、白髭の下に手を突っ込み眼鏡を取り出して見た結果、冒険者が売りに来たので買い取ったと言う。


これを売って欲しいと告げると、店主は本当ならタダでも良いが買い取った値段で三百ゴールドでどうかと言って来た。なぜタダでも良いのかたずねたところ、数人買ったが直ぐに返品しに来て困っていたからだと言われる。


なんでも夢の中に見たこともない騎士が現れ、持ち主に返せと迫ってくるらしい。聞いただけで吹き出してしまい、エレミアに頼んで三百ゴールドもらって支払った。折角神と戦うのだから、アグニスさんも共に戦いたいよなと思い、改めて不死鳥騎士団の盾を背負い店を出る。


時間も遅いため空いている定食屋さんで食事を済ませ、始まりのギルドの横にある冒険者ギルドの前にあった宿に宿泊した。野宿からようやく温かいお風呂にふかふかの布団というのもあって、あっという間に就寝する。


起床し宿で朝食を取り、五人で再度デラウンの中を見て回る。恐らくこれが最後ののんびりした観光の時間になるだろうからと、パルヴァが先導しあちこち歩いた。食事も堪能してから雑貨店により保存食や水などを買い込む。


ここから不可侵領域までは途中まで馬車に乗って移動し、近くで下ろしてもらった方が良いとクニウスが言う。デラウンの東口へ荷物を持って移動するとネオ・カイテン方面へ向けた馬車が出るところだった。クニウスが急いで駆け寄り声を掛け手招きをする。


あわてて馬車へ移動し荷台に乗ると行き先を聞かれたので、クニウスが不可侵領域近くまで頼むと伝えた。不可侵領域というからには入れないんじゃないかと思ったが、馭者さんは物好きだねと言って笑う。


他のお客さんからもあんなところに何の用があるのかと聞かれ、珍しくて見学にと誤魔化す。他のお客さんたち曰く、珍しい生物や植物がいるだけの場所だからめったに寄り付かないらしい。



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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