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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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デラウン到着と御爺さん

質問を試みようと口を開きかけたが、遮るように警備の交代を告げられた。仕方なくテントに入り眠りに就く。あっという間に起床時間らしく声を掛けられる。テントの外に出ると、昨日の雨も騒ぎもなかったかのように、気持ちのいい静かな朝を迎えていた。


川で顔を洗ってから食事を済ませ、テントを片付けてデラウンへ向かう。前日と違い、デラウンへ向かう道では多くの人たちとすれ違う。何度もカーマは今どうなっているかと聞かれ、閉鎖していると答えると中には引き返す人もいる。


カーマに着いてもなにも出来ず、そこからアルタという町かリベンへ行かなければ休めない。町まで一日以上かかり食料が足りなければ現地調達しかないが、乱の直後では野宿だけでも危険なので避けたいところではあるだろう。


 交流する中で、何人かの商人たちに護衛に付いてもらえないかと声を掛けられた。各地で乱があろうとも、各町の人々の生活がかかっているため流通を止めれられない。特にリベンやアルタは食料が人口に対して現地生産が不足しているので、確実に届けなければならないという。


どれだけ護衛がいても安心できないと言われるが、デラウンへ向けて急いでいると断り謝罪して先に進む。度々行きかう人々と普通に交流が出来ていることで、この辺りは安全だと思いほっとする。野宿とはいえやっとゆっくり眠れたのに、また昨日のような強敵が出たらと考えるだけで気が重くなってしまう。


せめてデラウンでは何事もなく準備が出来たらいいなと祈らずにはいられない。前日までグロッキーだったエレミアは、寝たことで疲れが取れたのか今日はとても元気だった。他の旅人への対応も積極的に行い、だいぶ調子を取り戻してきた感じがする。


 夜近くになってようやくデラウンまであと少しと言う立札が出た。野宿するにも中途半端な位置と時間なので、閉まっているかもしれないが向かってみる。森を進んでいたところ、前の方から灯りが漏れてきた。


さらに進んでみたら人だかりが出来ていて、これは門が閉じているかもしれないと思いながら近付いてみる。門がはっきりと見える位置まで来た時、奥の方から慌てずに並んでくださいと叫ぶ声が聞こえてきた。


大人しく順番が来るのを待っているとなんとか門までたどり着く。兵士に荷物を検査してもらい、オッケーがでたので中へ入る。運良くデラウンの中に入れたことに皆で喜び、ハイタッチした。デラウンの町は夜でもとても賑やかで、リベンよりも活気にあふれているように見える。


町の至る所に兵士が後ろで手を組んで立っており、道案内だけでなく酔っ払いの対応もしていてとても治安も良いように見えた。どこかに案内所みたいなものは無いかと思い、兵士の一人に話し掛けてみる。


するとパンフレットを一つ渡してくれ、冒険者ギルドの近くにある宿が値段は高いものの、安全性も高くお勧めだと言う。さらにその冒険者ギルドはヤスヒサ王が冒険者としてスタートした場所でもあり、一撃のショウがギルド長を務めていた場所でもあると教えてくれた。


パルヴァとクニウスは興味なさそうだったが、エレミアは初めて来たので見てみたいということになり、兵士に感謝を述べてギルドへ向かう。噴水広場を目指して移動した後、そこから東に向かって進んでいくと”始まりのギルドへようこそ”と書かれた看板が見える。


看板の前に立つと、ヨシズミ国のギルドと似た作りになっていて驚いた。デラウンのギルドを基準としてギルドが建てられているとしたら、始まりのギルドっていう看板に偽りなしだなと思う。


「ようやっとここまで来たな」


 賑やかな声を潜り抜け、久し振りに聞く声がした。驚いて振り向くと行きかう人たちの足がびたっと止まり、風も止まっているように感じる。いったい何が起こってるんだ? まさかまたクロウの仕業かと思いながら辺りを見回したが、誰も動いていない。


「こっちじゃよこっち」


 再度声が聞こえたので、止まった人々の間を掻い潜りながら聞こえた方向へ進む。


「久し振りじゃのぉ」


 そこに居たのは、丸メガネに高い鼻そして白い顎鬚を蓄え、緑色のローブにとんがり帽子を身に着けた御爺さんだった。一瞬誰かと思って記憶を探った時、ヨシズミ国で以前も似たような現象に出くわし、初期にこちらの事情を知った感じで話しかけてくれたお爺さんだと思い出す。


「凄い御久し振りです」

「ほんにのぅ……ワシのことはすっかり忘れていたのでこのまま忘れてもらっておこうかと思ったが、忘れ物を渡さにゃならんくて来てしもうた」


 御爺さんはローブの両方の袖から以前奥様から貰い、リオウに斬られて海に流された際に無くした篭手を取り出し、こちらに渡してきたので受け取る。


「どうしてこれを?」

「どうしてもなにもこれはワシの物だからじゃよ。必要な時に必要な者に渡るように、康久の時からしていたんじゃ」


 そういえば奥様が、妙な露店の御爺さんからこれを買ったと言っていた気がした。まさかこの人がその売っていた人なのか?



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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