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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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サラティ様の行方

話を聞いた限りではクロウがサラティ様をどうにかした感じではなかった。リオウに対して大人しく観念しろと言っていたし、サラティ様がどうなったかはリオウに聞けと言われたのを思い出す。クロウが与えた力を利用しサラティ様をリオウが封じたと考えるのが妥当だろう。


この魔法学校へ逃げ込んだのもリオウだと思われる。シシリーの話と合わせて考えれば、魔法によってここでサラティ様がいなくなった可能性が高い。魔法の痕跡がどこかにないかとシシリーに聞いてみたが、この施設自体が魔法の塊になっていて難しいと言われた。


木を隠すなら森を地で行ったのかと思いながら、どうにかして探せないかと気を広げてみる。変わらずリオウと闇サキ以外の反応が無い。ふと人が居ない状態でも魔法は発生し干渉するものなのか、と疑問に思ったのでシシリーに聞いてみた。


彼女に視線を向けるとじっと魔法学校の建物を見ている。しばらく見守っていると肩から立ち上がり、さっきまで居た丸い屋根の建物を指さしたあとリオウを指さした。彼女曰く、エレミアたちと行動している間に能力が上がったのか、集中すると見たい線が見れることがあると言う。今回ダメもとで魔法の痕跡を探そうと目を凝らしたところ、あの丸い屋根の建物とリオウが繋がっているのが見えたという。


見えた線というのを斬ればサラティ様は戻ってくるのかと問うも、斬っては絶対ダメだと言われる。詳細は不明だが二つの点は繋がっており、世界から隔離するほど強大な力を行使するために、彼が起動させて使ったのではないかと話す。


魔法学校が無人で動いていた件については、リオウが動かしたで確定だろう。膨大な魔力を消費してサラティ様を世界から隔離した。目的についてはあとで聞くとして、それだけ強大な技があればクロウを閉じ込めることも可能なのではないだろうか。


 視線をリオウたちに戻すとまだ勝負は決しておらず、能力が上だと言われたリオウに対し闇サキは善戦している。能力だけでなく怒りや憎しみをも力に変えている、その結果が善戦に繋がっているんだろう。


とはいえリオウは最初に対戦した時より強くなっているのは間違いないが、恐怖で身がすくむほどではないのが気になっている。恐らく点と線で繋がっていることや、技を使用したことによる弊害が出ているんじゃないか、と思った。


自分としてはこの先どうするか考えている。ミサキさんを倒すのがせめてもの慰めであるとは思ったが、リオウが外殻装着するのを見て少し考え方が変わった。元に戻れるのであれば、生かして法の裁きを受けさせるのもありなんじゃないかと思ったのだ。


求心力はもう元には戻らないだろうし、残党を集めるのにも使えるだろう。こちらにも恨みを持っているから戦う理由もある。見れば二人は泥仕合みたいになってきたし、リオウに提案してみるかと思い屋根から下へ降りた。


リオウの背後に移動し、お前がサラティ様を閉じ込めた技をこちらに教えれば、倒す順番を変えてもいいと声を掛けてみる。一瞬の隙を突いてこちらを向き剣圧による衝撃波を放ってきたが、余裕をもって三鈷剣(さんこけん)で斬り払う。


能力を落としてもサラティ様を隔離したい、涙ぐましい献身に心を打たれただけなのにと煽ると再度攻撃をして来た。先ほどよりも強い一撃だったので、やっとエンジンがかかってきたのかと呆れながら近くの壁に寄りかかる。


お互い消耗が激しく技の切れも無くなっていた。地力で言えばリオウが上なので、先に止めを刺せなければ闇サキがやられる。リオウは両手の篭手から伸びる得物が二振りあるが、闇サキは刀一振りのみで手数に差があった。


振り下ろしをリオウが側面から強打し、刀が大きく横へ逸らされたと同時に闇サキさんの体が少し泳いだ。リオウは勝機とみて脇腹を突かんと得物を突き出す。決まったか、と思った瞬間凄まじい殺気が闇サキから放たれる。


殺気に防衛本能が反応し少し遅れてしまったリオウの一撃を、闇サキは刀から離した左手で脇差を引き抜き弾き、弾かれた刀を強引に引き戻し振り下ろした。ついにリオウが倒れるかと思ったものの、剣を弾いた得物で刀を受けて防ぐ。


ミサキさんは外殻装着して強くなっただけでなく、戦っているうちに剣の腕が上がっている気がする。すべてをかなぐり捨てて戦うその姿に、今戦えばそう易々とはやれない相手だなと思った。互いに力任せに弾き合い距離を取る。


リオウが横に来たのでどうするかたずねた。なにがだと言われたので、そのまま倒れてサラティ様を安全に隔離できるのかと問いかけてみた。確実にそうだという証拠はなかったが、忌々しい奴だという素敵な答えを頂き鼻で笑う。


交渉について成立だなと聞いたがなにも答えず元の姿に戻る。成立ではあると思うが、あとで言ってないとか言われるのも面倒なのでどうなんだと重ねて聞く。息を切らしながら貴様に出来るかは保証しないぞ、と言ったのを聞き前に出た。


「今度はお前が相手か」

「本来であれば万全の態勢で戦いたいが、武人として昇華したあなたとこの場で戦ってみたくなった。お相手願えるか?」



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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