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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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ミサキさんを追え

「高貴なる血と才と人望ある私がお前などに負けるものか!」


 人望があると自分で言うのはどうなんだとツッコミたいところだが、さっきから多すぎてツッコんだら終わらなくなりそうなので止めた。相手は自分の言葉でノリに乗ってるらしく、分身を増やしてきた。笑い声を上げながら攻撃してくる姿に悪夢を見ている気分になる。


会話したことで、彼の発する言葉がデバフになるとは思ってもみなかった。斬っても斬って現れる姿に頭痛がしそうになるが、無尽蔵ではないのだからとただ斬るのみに集中する。斬っていくうちにやっと数が減りだし、体勢を立て直すためか相手は距離を取った。


見れば増える前に立っていた場所を囲むようにして集まっている。気を分散させている分身なので、元の気は減っていくはずだ。一緒に交じって攻撃するよりは、分身に攻撃させて自分は休みつつ気を増やせば長く持つ。


本体はそこにいるのではと考えこちらから先に動き出す。一気に本体に迫ろうと突っ込んだところ、彼らは慌てて飛び掛かって来た。どうやら当たりらしく、分身同士を盾にしながら何としてでも止めようと重なってくる。


先に見える一人が刀を輝かせながら脂汗を掻いているのが見えた。ここが勝負所だと考え偽・火焔光背(ぎかえんこうはい)の炎も三鈷剣にくべ、鍔を口の高さまで上げて構える。


降魔火焔斬(ごうまかえんざん)!」


 残りの分身ごと消滅させるべく思い切り振り下ろした。青白い炎をまとった巨大な衝撃波が飛び、彼らは逃げだす。なんとか弾き返そうとした正面の複数の者たちが、触れた瞬間炎に包まれあっという間に消滅する。


刀が触れただけでは消せず本体が危険と判断したのか、勢いを殺すため分身たちは体を投げだしていく。分身が幾つ重なろうがそれで潰せるほど軽い技ではない。次々と消滅していき、残り一人になったところで衝撃波の下をスライディングし潜り抜けた。運が良いなと思いながら見るも、青白い炎がかすったようで体に炎が燃え広がる。


床を転がりながら消そうともがいている彼を見ていたが、またいきなり現れるのではないかとシシリーと共に周囲を見回し警戒した。


「おぼえていろ!」


 先ほどまで近くでもがいていた彼は、窓際に移動し捨て台詞を吐きつつ衝撃波によって割られた窓から下へ落ちる。こんな高さから落ちたら普通は命はないだろうが、ひょっとしてと思い急いで窓際まで行く。


見ると池が下にあり、彼は再度自分の分身を生み出しクッションとして利用し着水した。水に入ったところで消せはしないだろうと思ったが、池から這い出て衣服を脱ぎ捨てた彼は大やけどをしていたが、辛うじて生きている。


ゴキブリ並みの生命力に呆れながら、彼の悪心が消えたのか確かめるべく急いで窓の外へ飛び出た。池へ着水してみたがかなり深い池で、これを知って自分の技を使い飛び込んだとしたら侮れない。逃がせばまた面倒になると考え、池から飛び上がって出て追いかける。


「ジン!」


 正面門に着くとイザナさんたちがいて、町の人にも協力してもらい兵士たちの治療をしていた。ミサキさんに逃げられたと告げると周囲に声を掛ける。外に近い場所で悲鳴が上がり、誰かが外へ駆けていくのが見えた。


自分が恐怖に陥れた住民から治療を受けようとしていたのか、と彼に心底呆れる。これまで以上に迷いなく斬れそうで安心したと思いつつ追撃に出た。町は相変わらず警戒して人々は外に出ていない。気を広げてミサキさんの気を探る。


シシリーが肩から飛び立ち、先導すると言ってくれたので後に続く。逃走した先は富裕層が済み魔法学校がある北エリアで、なにか回復する目処があるのかと考えながら追いかけた。北エリアも不穏な空気を感じてか閑散としている。


入り組んだ路地を入り辿り着いた先は教会だった。今度は竜神教を頼りにするのかとげんなりする。教会のドアをノックすると暫くして司祭の格好をした御爺さんが出てきた。事情を説明し協力を求めるも、竜神教徒かどうかたずねてくる。


ゲンシ様の弟子ですというが、竜神教徒かどうか聞いているんだと語気を強めて来た。ここで押し問答するのも面倒なので、一旦引き下がり素早く塀を超えて中に入る。庭を走り窓から中を覗き込むと、礼拝堂の柱にもたれ掛かったミサキさんを見つけた。


一気に取り押さえようと思ったが、彼はサラティ様やクロウそしてミカボシがどこへ行ったか知っているのではないか、と思い始める。自分が裏切られたと思っているだろうし、仲間のところに行くとは考えにくい。


彼が頼りにするのは乱を起こすきっかけになったミカボシとクロウしかないだろう。ここは飛び込むよりもこちらの存在を見つけさせ、逃げてもらった方が良いのではないかと思い始める。肩に座ったシシリーにどうするかたずねられたので、考えていることを話す。


良いかもと言ってもらった瞬間、さっきの司祭が庭に来て怒鳴ってきた。中を見るとミサキさんと目が合い逃げ出し始める。司祭に謝りながら後を追うべく窓を割り、中に入って後を追う。



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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