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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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氷の魔法使い

魔法使いはもっと非力で近接が苦手じゃないのかと思ったが、以前魔法使いと一度だけ戦ったことがあるのを思い出す。ヨシズミ国で暗闇の夜明け所属の変な魔法使いだったが、あっちは近接がここまで強くなかった気がする。


やはり魔法の本場の魔法使いとは違うと言うことなのだろうか。ひょっとすると名前を聞いてあとでパルヴァに確認すれば、誰もが知っている高名な魔法使いだと言われるかもしれない。現時点で確定していることは近接が苦手ではないことだけだ。


 このまま離さず攻防を繰り返すのはリスクが高いと判断し、手を離して距離を取った。魔法使いも当然逃げる気はないようで、ゆっくりと地面に着地しベレー帽や白いローブについたほこりを払う。なにか話でもするのかと思いきや、にこりと微笑みながら水晶を光らせる。


間違いなく魔法が来ると考え風神剣を打つべく構えた。こちらがなにをしようと問題無いくらい自信があるのか、動きを気にせずに杖を振り上げ素早く振り下ろし、地面を強打した。強打された部分から地面が凍りだし、こちらへ向かって広がってくる。


飛び退いたところで先ほどの風のように追って来そうな気がした。ならば地面ごと吹き飛ばしてみようと考え、風神剣を地面に妖精の宝(ニーベルング)を突き刺し放つ。突き刺した場所から地割れが発生し、それは氷を吹き飛ばしながら相手へ向かっていく。


迎撃するためか再度杖の先を光らせ地面を強打したものの、地割れをふさいだだけに留まる。こちらはチャンスを逃すまいと剣を引き抜き、羽を羽ばたかせ素早く凍っていない部分を通り相手の側面を突くべく移動を開始した。


相手も黙って見過ごすわけはなく、杖を光らせ薙ぐと多数の氷柱が出現しこちらに向かって飛んでくる。地面にかかとを付け強引に速度を落として止まり、風神剣を放って氷柱を相手に押し返す。氷柱と風を消そうとしたのか杖を光らせバトンを回す様に回転させたが、氷柱は消えても風は消えない。


パルヴァが言ったように対魔法使いようの技だけあって、消去できないようだ。慌てて横へ飛び退き転がりながら移動する魔法使い。こちらとしてはそれを見逃すはずもなく一気に距離を詰めた。


「舐めるな!」


 剣腹を向けて振り下ろし、剣圧を押し当てて気を失わせようと襲い掛かる。こちらの攻撃を避けるため、杖をこちらに放り投げ防ぐか避けるか選択を迫ってきた。普通の鈍器であってもぶつかれば危険だし、魔法道具であれば何が起こるか分からない。


掴んでも危ないと考え避けることを選択し、そのまま追撃を試みる。魔法使いはこちらが避けている間に回転しながら体を跳ね上げて飛び上がり、着地して体勢を立て直していた。杖が無いなら魔法を使用できないか威力が落ちるはず、と踏んで距離を詰める。


両掌をこちらへ向けて突き出し


氷結(フリージング)!」


 と叫んだ。掌から先の景色が雪化粧へと変わり始めた。妖精の宝(ニーベルング)も景色や対象を変化させたことがあったが、あれも魔法の一種なのだろうか。同じような魔法であればこちらの動きを鈍らせてくる可能性がある。


前回は顕現不動(けんげんふどう)状態だったが今は別の形態だ。この状態で三鈷剣(さんこけん)が出せるかどうか試してみるかと右手を剣から離して突き出す。空間は割れ炎が噴き出し、雪化粧がすべて蒸発させられ消えていった。


三鈷剣が出てくるかと思いきや出てこず、炎も景色を蒸発させるとそのまま消えてしまう。いつもと違う状況に驚いていると、魔法使いは魔法を消されて驚いたようで目を丸くし止まっている。お互いに驚いて止まっていたが、はっとなり行動を再開した。


彼女は杖を拾うべく走り、それに気付いて妨害しようと走ったが間に合わず拾われてしまう。


「不味ったわね……最初の攻撃はもうちょっとしおらしい突き上げにしておくべきだったわ」


 苦笑いしながら杖を両手で持つと、こちらに突きを繰り出してくる。棒術の心得があるようで、鋭い突きが繰り出され容易に近付けない。最初の攻撃が無ければ油断して二、三発貰っていたと思うから、魔法使いの言う通りだろう。


突きは隙が無く、当たっても仕方ないと考え前に出た。肩に当たりそうになり剣腹で受けてみる。たしかに突きのスピードも速く急所を狙う精度も高いが、受けた限りではこちらの方が力は上だと感じ、強引に剣腹で杖を弾く。


「あの女、遊んでいたわけじゃなかったってことか!」


 二度三度と弾いている内に、徐々に体が泳ぎ始め片足も浮きかけた。こっちは時間が無い。急いで馬車に追いつかないと、戻るのを待っていてくれている間に中からミサキさんの部隊かリオウの部隊が出てきたら不味い。


一気に押し切るべく素早く弾いていたが、突然相手の持つ杖の水晶が光り出し杖を持つ手ごと氷漬けにする。凍ったことによって重さが増え強度が上がり、相手の体勢も持ち直してしまった。魔法ではなくこっちが本職なのではと疑うほど強い。


一進一退の攻防を繰り返し、互いに決めるべく大きな動作を取って薙ぎ払いをするも弾き合い飛び退く。リオウ戦前にとんでもない手練れに当たってしまったようだ。



読んで下さり有難うございます。感想や評価を頂けると嬉しいのですが、

悪い点のみや良い点1に対して悪い点9のような批評や批判は遠慮します。

また誤字脱字報告に関しましては誤字報告にお願い致します。

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