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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第六章 負けない力を探して

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リベンでの日常

徐々に景色は戻っていき、恐竜が息絶えると同時に完全に元通りになった。剣の修行のために依頼を受けたが、思いがけず凄い力を手に入れてしまい驚いて立ち尽くしてしまう。しばらくぼーっとしてしまったが、そうしていても仕方がないので依頼は完了したし、先ずは解体屋さんにこれを運んでギルドに報告に行こうと思い恐竜の遺体に近付く。


尻尾を引いて行こうとした時に剣を見るとそのまま手にあり三鈷剣のように消えずに残っている。三鈷剣の時のように空に投げたが消えなかったので、落下してきた剣を取りながらこのまま貸してくれるみたいだと思った。


ただ抜き身のまま歩くのは不味いので鞘買おうと考えていると、また景色の一部がカーテンのようになりそこから手が出て来る。緑色で金色の装飾が施された鞘を投げて寄越して消えた。


雑過ぎると思いながらも有難く鞘を受け取るべく近付き、しゃがんだところ頭をはたかれる。顔を上げると手がまた出ていて握りこぶしを作りながら引っ込んで行った。どうやら考えを読まれたらしい。すいませんと言いながら鞘を持って立ち上がり剣を収める。


シシリーにあの手の人はこの世界のどっかにいるのかな、シシリーの故郷とかにと聞いたが分からないと言う。世界は広くまだ未開の地は多いと聞く。ひょっとしたら妖精の土地と言うのもあるかもしれないねと話すと、いつか行けたら良いねと言った彼女に同意した。


素材を探しにあちこち行けば可能性はなくはないなと考えながら、恐竜の尻尾を持って引きずり解体屋を目指して森を後にする。


「あら時の人こんにちは」


 リベンの町を囲む塀の外にある、解体士のセリナさんの屋敷に到着した。セリナさんと助手の女性三人は別の依頼で運ばれてきた獲物の解体を行っていたが、門の前に立つと視線を一斉にこちらに向けてくる。


たじろいでいるとセリナさんに時の人と言われたので、それはどういうことなのかたずねた。するとノーブル君がわざわざ町の霧を解いた件を触れて回っていると言われ、卒倒しそうになる。うるさくて憎めない感じの生き物だから、怒る気にはならないが困ったものだ。


それを察したのかセリナさんにも、あの子は悪気はないから仕方ないって思うしかないのよねと言われ豪快に笑い飛ばされた。彼のことをよく知っているような口ぶりだったので知り合いなのかたずねたところ、親戚だと聞いて驚く。血筋的には元を辿れば一撃のショウに繋がるようだ。


ノガミの血を引いてたりしますかと聞いたが答えてくれず、三人に指示を出し持ってきた恐竜を屋敷の庭の橋へ移動させる。腰のポシェットから紙を取り出し、助手たちが計測したサイズと状態を書き込んで渡してくれた。


後日また寄ってと言われ解体作業をするために助手の三人のところへ行ってしまう。ヤスヒサ王の血を引いているとなると色々大変なことがあるんだろうなと思い、不躾だったなと反省して四人に向かって一礼してから屋敷を後にする。


町に入ってギルドに報告し今回も報酬の百ゴールドを頂いた。右肩に座っているシシリーになにか食べたい物があるかと聞くと甘いものが食べたいと言うので、観光通りにあるスイーツ専門店に初めて入ってみる。


 ウェイトレスさんに窓際の席に案内されメニューを渡されたので、どんな真新しいメニューがあるのかわくわくしながら二人で開いてみた。すると大きく一番人気の商品と書かれていたのは、ヨシズミ国の甘味処が懐かしくなるようなフルーツタルトだった。


望郷の念に駆られ迷わず二人分注文する。少ししんみりした空気が流れたが、それを振り払うように元気な声でシシリーが空いている時間を使って調査した、この町の手芸専門店の話をしてくれる。


チェックしたところ明確なシャイネンの手芸専門店との違いは種類の豊富さだそうだ。特に糸が特徴的で動物繊維の糸がシャイネンでは三種類、こちらは九種類と三倍もある。三倍も差があるのはヨシズミシープの存在が大きいらしい。


シャイネンがある大陸で見つかっている中でもヨシズミシープの毛によって作られた糸は、強度も扱いやすさもそして何より生産体制もしっかりしていて強い。こちらではさすがに国の直営で生産しているものはないようだ。


リベン周辺にリベンカイコという昆虫モンスターが生息しており、餌である野菜と物々交換で糸を得ているので九つの種類の中では比較的供給が早いらしい。近隣のネオ・カイテン周辺にはカイテンアヒルが周辺に生息していて、その羽根を拾って加工していた。


シン・ナギナミでは染物が発達しており、店の中に着物が飾ってあったようだ。リベンのヤスヒサ王の生誕祭ではそれを着て出店を回ったりするようで、着物とか出店はヤスヒサ王が布教したものなのかなと思った。元々の竜神祭ではドレスなどを着飾るなど、元々の文化は残しながらも新しい文化も取り入れている。


リベンの多様さは楽しいところにも反映されていて、祭りは増えたところで困るのは為政者くらいのものだろうし、国民は喜ぶので良い傾向だなと思った。ヨシズミ国もゲマジューニ陛下の世なら同じようになる気がする。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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