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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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カーマへ

距離が取れたので改めて仕切り直しで仕掛けてくるかと思いきや、少し間が空いた後でくすんだ緑鎧は大きく後ろへ飛び退き森の中へ消えていく。追いかけようとしたがいつの間にか起きていたイサミさんに止められる。


くすんだ緑鎧について聞いてみるも知らないと言われた。桁外れに強い動物やモンスターが時々出てくるので、輸送ルートとしてここは通常使われないとイサミさんは教えてくれる。不可侵領域付近は特に獣族が居る関係もあって、動物やモンスターは近寄らないらしい。


ああいうのをあっさり退けないと勝ち目はないと言われ気を引き締める。同じメニューをこなして日々が過ぎていくうちに、くすんだ緑鎧以外にも巨大な熊や象が襲って来たり青く巨大な狼に襲われたりと実戦の経験も積んで行く。


二週間を過ぎた頃、ようやくイサミさんからカーマに向けてのゴーサインが出た。復気(リペア)も無事修得を終え、気のコントロールも出来たからもう大丈夫だろうと太鼓判を押してくれる。テントなどを片付けに入り出発準備が完了すると、イサミさんはヤーノの村に帰ると言った。


ここまで来たのだから一緒にリベンへと勧めたが、あまりにも不在が長くなると仕事が滞り過ぎて困ると言われ断られる。あまりにもここからだと距離があるので心配だなと思っていたところに、ガラガラと音が聞こえてきて見ると川下から馬車が近付いてきた。


なんとそれにはイザナさんが乗っており、イサミさんとは居場所を伝書鳩を使ってやり取りしていたらしく、頃合いと思って来たらしい。今日までの感謝を伝えようと思ったらイサミさんはさっさと馬車のイサミさんの隣に座ってしまう。


イザナさんはそれを見てなぜかニヤニヤしている。よくわからない空気が流れる中、必ずまた会いに来い感謝はその時になと言って馬車は走り出した。風のように去っていく二人に唖然としながら立ち尽くす。


感謝を伝えるにはすべてを終えて挨拶しに行くしかない、必ず成し遂げろと言う激励だと考え大きく深呼吸した後で二人が去って行った方向へ向けて頭を下げる。荷物は大分軽くなり移動もし易くなったものの、それは食料の蓄えがなくなったことを意味していた。


じっくり鍛えた成果を試そうと山の上から見た景色を思い出し、それを頼りにリュックを背負って走り出す。正直まだ必ず勝てる自信はない、だがそれでも戦う覚悟は完了している。やるだけのことはやったので全て出して必ず勝つ。リベンに一刻も早く着けるよう、先ずはカーマを目指して飛ばしていく。


フィールドオンエネミーが出てくるかと思ったが、特に遭遇せずに森を駆け抜け草原へ出た。先の方に門が見えたので、このまま町に入れるかなと思ったが門の前には誰もおらず小さな張り紙で通行禁止と書かれている。


やはりこちらのルートは使われていないようだ。塀に沿って東に進んで行くと開いている門と並んでいる人の列を見つけた。最後尾に回り並んで順番が来ると荷物検査を受ける。特に危ない物は持っていないのですんなり通れた。


取り合えず本屋を探しこの辺りの地図を購入する。見れば次の町アルタへはカーマとの間に山が一つあるくらいで、夜までには飛ばせば行けるかもしれない位置にあった。ならばと腹ごしらえをするべくレストランを探して入店する。


とにかく量があれば良いと思い、席に案内されメニューを出された時にそのように注文した。しばらく待っていると愛の昼食という名前の体育会系御用達、肉や魚にフルーツそして穀物全てが山盛りの定食が出てくる。これなら明日の朝まで余裕で持つだろうと思い、全力で胃の中に押し込んで行く。


「チッ……」


 食べては水を飲みを繰り返していた時、テーブルの椅子を蹴られたので横を見た。ストレートヘアで金髪の人間族の子どもがこちらを見下す様にして見ている。ここに長居はしないし、絡まないのが賢明だろうと考えて視線を戻し食事に集中した。


食べ終えて支払いをしようと席を立ち手を上げるとウェイトレスさんが来てくれる。伝票を見て御代を請求されたので支払ったが、その際にどこに行くのかと聞かれたのでリベンに帰ると答えた。すると眉をひそめる。


なにかあったのか聞こうとすると彼女の後ろにさっきの人間族の子どもが居た。服装からして金持ちの子どもっぽいがなにか用だろうか。


「お前、リベンに何をしに行く気だ?」


 明らかに年下の子どもにお前呼ばわりされる覚えはないけどなぁと思いつつ、元々リベンにいたから帰るだけだと笑顔で告げ立ち去る。店を出た瞬間、三鈷剣(さんこけん)が空間を割って背後に現れた。


振り返ると氷柱が数本お店の入口に落ちている。なにがあったのかと中を見たらさっきの子どもが両手を突き出してこちらに向けていた。よくわからないが子どもの相手をしている暇はないので苦笑いしながら三鈷剣を手に取り前に向き直って店を後にする。


地図で見るとこの町の北門から出てそのまま北北北西に向かうとアルタに着くらしい。腹ごなしにランニングしながら北門へ向かう。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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