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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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フィールドオンエネミー?

座禅に組手、復気(リペア)習得の鍛錬をこなしていく日々が続いた。魚だけでなく森に生息する動植物からも命を頂きながら感謝しつつ生きている。徐々に座禅中に叩かれる回数も減り、組手でも安定して攻防を繰り返せるようになった。


復気(リペア)に関しても仮免許くらいまで行けてほっとする。イサミさんには、元々ノガミ一族でも最強の使い手であり伝道師でもある、ゲンシ・ノガミ様にならっているのだから遅いくらいだとたしなめられた。


森の中で過ごしていく中で、全体の強化というか自分の中の芯が太くなった気がする。組手で不意打ちを喰らってもダメージを受けようとも、それに慌てず最善手を打つ為に動けるようになった。本来ならこれでいけると思うところだろうが、徐々にリオウ・リベリの隠しているであろう強さをなんとなく感じて不安はぬぐえずにいる。


 夜寝る前に型を繰り返している時、何度もあの負けた場面が蘇っていた。最初は負けた恐怖で型が崩れたけど今は崩れはしない。なぜ不安がぬぐえないのかというと、イメージトレーニングでその時のリオウ・リベリと対戦して続けているうちに、段々あれが本物のリオウ・リベリなのかという疑問を感じていたからだ。


疑問が生まれた原因の一つが顕現不動(けんげんふどう)にある。自分は先生によってこの世界に送って貰った人間だ。チートと思しきものは、力が元の世界よりも上がっていることだけだと思っていたが、人に恵まれ続けるというチートもあったのではないかと今は思っている。


顕現不動は三鈷剣(さんこけん)を貸してくれた人物によるさらなる協力を得られた証だろうと今は考えていた。あの姿を見たイサミさんは驚いていないのが気になり、こういう変化する能力を持っている人は多いのかとたずねる。


すると多くは無いにしてもいると答えた。誰がそうなのか聞くと具体的に見たわけではないが、ノガミに連なるものの中にも旧臣たちの中にも、特異体質の者がいるという話をサラティ様から聞いたと教えてくれる。


確証はないが自分の勘がリオウ・リベリもそうではないかと言っていた。ならば鍛えてより強くならなければ勝ち目がない。生身の状態で五分にまで持ち込まなければと考え、筋トレも合間に取り入れ一週間が経った日の朝、川へ顔を洗いに移動するとくすんだ緑色の鎧に身を包んだ人物が川の上に立っているのが見える。


まだ寝ぼけているのかと目を擦ってみたがそれはそのままそこにいた。顔も兜で全て隠れ、鎧は肩や篭手そして腰に脛と言う部分に剣身が付いていて、触れれば確実に怪我をするような初めて見る形で見覚えが無い。


近付くのを躊躇っているとそれはこちらに顔を向けて手招きをする。気を探ってみたが感覚が麻痺するレベルの気を持っていた。リオウ・リベリに匹敵すると言っても過言ではない。こんな何の変哲もない川にそんなレベルの敵がいるなんて、ゲームではありえるのだろうか。


相手はこちらを見逃す気はないようなので覚悟を決め三鈷剣を呼び出す。炎はくすんだ緑鎧を包んだが、左手を薙いだだけで掻き消されてしまった。どういう手合いなのか分からないが、強敵には違いない。


「顕現不動!」


 向こうの出方を伺う気持ちでいけば秒で終わる気がしたので、万全を期するべく最初から力を呼び出す。変身が完了したのを体を見て確認し、青白い炎を掌に呼び出してそれをくすんだ緑鎧へ投げつける。


直撃するかと思いきや相手も何処からともなく剣を呼び出し青白い炎へ向け振り下ろして掻き消した。剣もボロボロになり砕けたのを見て今がチャンスと地面を蹴りくすんだ緑鎧へ斬り掛かる。三鈷剣の間合いに入り一撃加えられると思った瞬間、左右に剣を呼び出し斬り上げてきた。


振り被る前だったので飛び退いて避けられたが相手に即間合いを潰される。流れるような太刀筋にまだこんなに強い人が居るなんてと驚愕した。青白い炎を纏い剣を潰しても即座に呼び出し斬りつけくる。


顕現不動を初っ端から出し惜しみしないで正解だった。青白い炎が無ければ間違いなく斬り刻まれている。三鈷剣を握りしめ気合を入れ直し、タイミングを見計らい足を止めて斬りつけた。片方でそれを弾き残った方で突きを放ってくる。


避けたところでそのまま斬り下ろしてくるのは間違いない。気を張り青白い炎を全開で纏い剣を溶かして防いだ。再度剣を呼び出すまでの隙に一撃をと思ったらなんとショルダータックルを繰り出して来る。


手に剣が無くとも身にあると言いたげな攻撃に対して溶かそうかと思ったが、勘が距離を取るべきと告げていたので横へ飛んで回避した。それで逃がす筈もなく向きを変えて突っ込んでくる。


不用意な攻撃は不利になるだけだと思いジグザグに飛び退きながら避け続け距離を保つ。ふとこの状態で風神拳を打つとどうなるのか興味がわき、着地した瞬間構えを取り


「風神拳!」


 くすんだ緑鎧へ向けて拳を突き出す。青白い炎を纏っているため風にそれが乗り、焔祓風神拳(ぜんふつふうじんけん)と同じ感じになった。威力の方はどうかと思い見ていたが、くすんだ緑鎧は青白い炎を受けることなく横へ飛び退いてしまう。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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