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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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復力の習得へ

「さすがに不眠による脳の蓄積ダメージは解消できないけど、無駄に消費した体力は多少回復できるわ」

復気(リペア)ですか」


 復気(リペア)は基本は細胞の活性化を促すものなので、無機質だったりたんぱく質が著しく足りないなど効果が薄い場合もあるので完璧ではないという。魔術と同等で魔法以下の効果だといわれたが、魔法を使えない人間としてはそれだけでも有難い。


戦うだけではなく人を癒せる可能性があるなら是非とも習得しておきたい能力だ。なにしろこれからこの世界の神に挑むのだから、他人だけでなく自分の傷も即座に修復できればそれだけ勝率も上がる。早速教えて欲しいイサミさんにお願いし、修得の為の講義と鍛錬が始まった。


通常時は最小限しか発生していない生命力である気を、丹田へ集中し開放し増幅させその気と漏れ出てる気を身に留め、まさに気で覆う状態が覆気(マスキング)である。覆気(マスキング)状態で攻撃を受けると通常時よりダメージを軽減する、修練レベルが高ければ高いほどその効果は上がっていく。


風神拳は拳に集中させ覆気(マスキング)によって出来た気を放気(イミット)する。吸気(インヘル)は他者の気を自らの気に変換し補充するもので、復気(リペア)はその逆つまり自分の気を相手の気へ変換、負傷箇所へ充填だけでなく気が不足していれば補うものだと教えてくれた。


マリアさんとイサミさんが見た限り、覆気(マスキング)にも無駄が多くて修練レベルが低いので通常時も生産過多な上に漏れている気も多い。コントロールが出来ていないから吸気(インヘル)を嫌うのだろうと思ったようだ。


怪我の功名で風神拳を打つ際の放気(イミット)がフルパワー状態で、他の人が打つ風神拳とは初速とそこに宿る力が別物になり、誰かの風神拳を受けたことのある者なら確実に戸惑うだろうと言う。


コントロール出来ていないことを褒められても嬉しくはないが、イサミさんはゲンシ様がそれを良しとしているのなら私は直すつもりはないと言い切る。一から教えているなら直るまで永遠に型をやらせるが、途中から教えるのであればそこだけを教えると言った。


理由として師匠なら習得の順番など計画しているだろうし、サラティ様に引き継いだのであればいずれ教える予定だっただろうから、邪魔したくないそうだ。


「本来だったらリベンのサラティ様に連絡を取って許可を頂きたかったけど、不味いでしょ? 今は」


 苦笑いしながら頷く。今サラティ様に生存が知られると言うことは、リオウ・リベリにも知られると言うことになる。それだけは何としても避けたかった。口にはしないが今再戦しても勝てる気が全くしないからだ。


一分でも良い、勝てる自信を持ちたくてて鍛錬しながら移動している。顕現不動(けんげんふどう)に頼るだけでなく、通常状態でも強くなりたい。


「病院の件も手柄を横取りするようだけどマリアさんと私で治めたことにしておいたわ」

「ありがとうございます。それで充分です」


「そのお詫びと言ってはなんだけど復気(リペア)だけじゃなく座禅も組手もビシビシ厳しく手解きするから期待しなさい」


 笑顔で言うイサミさんに空笑いしかでない。自分が知る限り、師匠にしろサラティ様にしろヤスヒサ王の直系は化け物ばかりなので、イサミさんも例にもれず強いんだろうなと思った。ビシビシ厳しく行くと言う言葉が怖くもあり頼もしくもある。


講義が終わり組手が始まった。イサミさんは白のワンピースの下に短パンを履いていて、蹴り技も出せると蹴りを放ちながら自慢して来る。組手を始めると言われて一瞬不安になったが安心した。数分後、自慢の蹴りで川に沈められるとは思わなかったが。


サラティ様より劣る点があるとすればパワーだけで、素早さは上回っていると言っても過言ではない。途切れず綺麗に繋がる攻撃はとても勉強になる。防御していても見えるのだからかなり手加減はしてくれているのだろう。

 

せっかくなのでこちらも攻撃のリズムを計り、合間に拳を突き出してみた。あっさりと腕を掴まれ投げ飛ばされるも体を捻り着地する。途中で覆気(マスキング)を全力でするよう言われ、防御しつつ気を練り覆気(マスキング)を開始した。


イサミさんも覆気(マスキング)してこちらに攻撃をしてくる。防ぎながらじっと見ているが、攻撃する瞬間、拳や足の気の厚みが増し終える頃には均等になっていた。素早く出来ているのがコントロールで来ている証拠だと見せつけられる。


次に風神拳の打ち合いも始まり、こちらの方が出始めは押していたものの徐々に押し返されやがて掻き消されてしまった。正直イサミさんたちが敵じゃなくて本当に良かったと思わずには居られない。難易度ヘルレベルどころの騒ぎじゃないし、パワーが少し強いだけのチートじゃ勝ち目がないのは明白である。


敵になっても構わないと考えて行動しているリオウ・リベリは、この人たちを相手取っても勝てると自信があるのだろう。一息入れましょうと言われ組手が終わり、イサミさんにそこのところを聞いてみた。


少し考えた後でイサミさんは言う。恐らく計算違いじゃないか、と。何故そう思ったのか聞いたところ三鈷剣(さんこけん)だと言われる。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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