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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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ノガミ一族とリオウ・リベリ

                   ・


「起きた?」


 目を開けるとエルフの女性が二人左右からこちらを見ている。ぼーっとしていたが倒れる前のことを思い出し、急いで上半身を起こそうとするも全く動かない。この世ならざる者(アンワールドリィマン)百体を確実に消し去るために、ありったけを三鈷剣(さんこけん)に注ぎ込んだからその反動かと思った。


イサミさんから同じことを言われマリアさんには無茶するのねと言われながら、瞳孔の確認と目の下の色や舌の状態を見てもらい問題無いと太鼓判を押される。どれくらいで動けますかと聞いてみたが、それは専門家に聞いて頂戴と言われ、マリアさんの視線の先であるイサミさんを見るも笑顔を作っただけだった。


 聞かない方が賢明だと判断し、イサミさんが良いタイミングで来てくれた件を聞くとイサミさんは渋い顔をする。答えないイサミさんに代わりマリアさんが説明してくれた。どうやら滝行の際にイザナさんから復気(リペア)を教える流れになっていたらしい。


イサミさんはブリッヂスとの交渉などで忙しく、イザナさんが出来ると言い張るので任せたようだ。古の賢者であるマギ・イザナでも復気(リペア)は一撃のショウからヤスヒサ・ノガミに直接伝わったものであり、修得者でもない者が教えられるわけがなかった。


旅立った後でイサミさんもひと段落し改めて考えた結果、イザナさんに疑問をぶつける。出来るわけがないと胸を張って言われ血の気が引いたイサミさんは、急いで追いかけて来てタイミング良くここに来れたという話だった。


ひょっとしたらイザナさんは、占いかなにかで見てこのタイミングで来れるよう仕向けたのではないか。二人にそう話したら呆れた顔をして視界の外へ移動してしまう。ヤスヒサ王と激戦を潜り抜け今も生きてるイザナさんなら、少し先をなんとなくわかっていてもおかしくない気がした。


親類縁者の二人があり得ないというならないんだろうなと思い、体も動かないしすることも無いので目を瞑り体を休める。結局体が動くまで寝続け、起き上がれるようになってからあの後の話を教えてもらった。


 百体いたこの世ならざる者(アンワールドリィマン)は綺麗さっぱりいなくなり、なぜか患者たちの病も消え去っていたという。なのでこの病院の入院患者は自分だけだと聞いて驚く他無い。あの力は一体何なのか。


イサミさんはこちらの考えを見透かしてか、恐らく別の世界からの干渉ではないかと言った。ヤスヒサ王も三鈷剣を持っており、イサミさんが聞いた限りでは元の世界の人間がこの世界の人間に迷惑をかけているので、御怒りになって力を貸してくれたんだと言っていたようだ。


具体的な正体は教えてもらえなかったが、また同じようなことが起こればきっと力を貸して下さるとも言っていたらしい。返す返すも自分の無教養さに頭を痛める。自分の国の文化だと思うがそれすら知らないとは恥ずかしいと、まさか異世界に来て思い知らされるとは思わなかった。


ヤスヒサ王は元の世界では無学で引きこもりのニートだと言っていたと言う。ただ呪術の素質があり且つ自分の肉体を硬化させる不思議なスキルがあった。あなたのあの姿は父より器が空に近いので注がれた量が多く、力も強いのかもしれないとイサミさんは慰めてくれた。


考えれば呪術の素質も肉体を硬化させる不思議なスキルも、元の世界では無用の長物だったがこの世界に来て開花したんだろう。いいなぁそういうものが自分にもあれば良いのになと思わずには居られない。


 相変わらず人を頼りにするばかりで、伝説の中で輝く異世界人の先輩には追い付けないでいる。悔しいなぁ……追いつけないまでも、もう少し味方を楽にさせられるよう強くなりたいと思った。体もようやく動くようになったので、イサミさんに復気(リペア)の習得をさせて欲しいとお願いする。


少し考えた後、時間的に厳しいのでこのままシャイネンに向かいながら鍛錬をしましょうと言われ、ヤーノの村は大丈夫なのかと問う。自前の地図を布団の上に広げ教えてくれた。ネオ・カイテンにもヤスヒサ王の血族が居てコウテンゲンを統治している。


イザナさんが残っているからなんとかしてくれると言われ、納得した。ノガミ一族は各地に必ず数名はおり連絡を取り合っているようだ。家臣も古参の者が多く直轄地に関してはトップになにかあった場合でもフォローして混乱を最小限に抑えられる仕組みだとイサミさんは語る。


話を聞いてリオウ・リベリが頭を過ぎった。一族と古参の家臣の中でリオウ・リベリはどれくらい強いのか聞いてみる。少しの沈黙の後、イサミさんは彼の表面的な力は一族や古参家臣の中でも下から数えた方が早いと言った。


年末年始の集まりでは武術大会が行われ、一年で鍛えた腕を競い合う。リオウ・リベリは何かにつけて参加したがらない上、指示されて参加するも真面目にやっているとは思えない戦い方だったので、実のところは誰にもわからないらしい。


敗れた時の実力が真面目にやっているとは思えないものだとしたら、さらにあの上の力があるんじゃないだろうか。そう考えるといてもたってもいられなくなる。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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