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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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恐竜退治

攻撃を加え続けていたが恐竜が暴れまわっている時に木に足が引っ掛かって躓き、下敷きになりそうになったので離れざるを得なかった。地面に倒れ込んだ恐竜の頭が丁度目の前に来る。こんなチャンスはないと思い、武器と盾を仕舞わず素早く風神拳の構えに入り放つ。


近距離から放った風神拳によって頭が下になったまま、地面を引きずるように恐竜は風に押される。皮も硬く重量もあるからだろうがまさか風神拳でも飛ばせないとは思わなかった。急いで距離を詰めて追撃を行おうと動き出したその時、風に押された恐竜が突然竜巻に包まれ姿が見えなくなる。


風が止むのを待っている間にシシリーたちも合流し、それに合わせたかのように風が止んだ。見れば恐竜はおらず皆で周囲を警戒する。しばらくしてなにかが落下して来る音がし、シシリーやエレミアにフルドラを連れてその場から離れた。


轟音を響かせて落下した衝撃で土煙と強風が起こり木の陰に身を隠す。若干煙いものの、風も無くなり森も静かになったところで落下地点に行ってみる。すると地面に頭を突っ込みながら腹を見せて倒れる恐竜がいた。


手も足も完全に力が抜けており死んでいると思われたが、クニウスは虫の息だとして刀を抜き皆に離れるよう指示した後で腹部を一突きする。一瞬体を跳ね上げたがそれ以降は動かなくなった。例え頭を出せて逃げたとしても、他の恐竜や獰猛な動物の餌になるだけだろうと言ってパルヴァは恐竜の遺体に近付く。


頭のところまで行くと地面をサッカーボール大の水晶が付いた杖で突いた。頭の周りの地面が砕け浮遊し杖を横に動かすとそれに続いて砕けた岩も移動する。こちらを見て恐竜を指さしたので頷き尻尾を引っ張りながら町へ戻った。


門の近くまで来ると恐ろしいのか自然と道を開けてくれる。町に入ろうとしたところでパルヴァからそっちじゃないと言われた。見ると門の右側の端の方に屋敷が見えた。屋敷になにかあるのかと聞くとそんなもの持って町に入れないでしょうと言われる。


たしかにこんな大きなものを引きずっては皆の邪魔になるが、それだと依頼達成にならないんじゃないかと思いながらパルヴァの後に続いて屋敷へ行く。目の前に来るとそこには”解体士セリナの家”と書かれた大きな看板があった。


解体士というのは聞いたことが無いのでたずねるも、クニウスたちは中に入れば分かると言いながら屋敷に入って行ってしまう。他の三人に視線を送ると頷いたので後に続いて屋敷に入る。


「あらいらっしゃい」


 タンクトップにショートパンツ、頭にゴーグルを掛け白衣を着た紫髪でショートカットの女性が眠そうな目をこすりながら扉を開けた。解体の依頼に来たのだけどとパルヴァが言うと、女性はこちらに視線を向ける。頭を下げながら恐竜を皆で指さすと二回頷いて中へ戻った。


少ししてから扉が開き、白衣を着た人間族にエルフ族、獣族の女性三人が道具を両手に持ってこちらに駆けよってくる。周囲に持ってきた道具を放り投げると、人間族の女性がメモを手に取り獣族の女性が白衣から白い縄を取り出して端を持ち、もう片方をエルフの女性が持って恐竜の頭と尻尾の先へ移動した。


「恐竜を解体せずに持って帰ってくるなんてやるじゃない。依頼書は?」


 ゆっくり現れた最初に出てきた女性にそう言われ依頼書を手渡す。二回頷き右手の人差し指を神に近付けた。一瞬光ったが直ぐに収まりこちらに紙を返して来る。皆で見るとサインが紙にされていて驚く。


女性曰く、日に解体の依頼が何度もあるので国の許可を得て魔法でサインを行っているという。初心者にしては凄いのねというので、シャイネン領で冒険者をしていてこちらに来ましたというと納得してくれた。


解体はこっちでしてギルドに報告するからもういいわよ、と言われクニウスたちを見ると頷いたので一礼してその場を後にする。今度から得物を確保できた場合はここに持ってくると追加で報酬が得られるとパルヴァが教えてくれ、シシリーたちと歓喜した。スケベ心を出して捕獲して帰ろうなんて考えると逆にやられるわよと釘を刺され、皆で首をすくめる。


ギルドに戻り依頼書を受付をしていたヨリネさんに提出した。報酬の確認のためラウンジでお待ちくださいと言われ、皆でラウンジに行き配膳場所に行きお茶を注文して席に座る。お茶を飲みながらのんびりしているとヨリネさんではなくアサダさんがやってきて、報酬の百ゴールドが入った革袋をテーブルに置いた。


追加があると聞いていたので戸惑う一同。察したアサダさんは追加があるのはわかってるが、その分に関してはセリナ嬢から直接貰ってくれと言われる。本来ならまとめて寄越すはずでしょと呟いたパルヴァに対し、アサダさんは獲物がデカくて新鮮だから直ぐに価格を出せないから無理と言われたという。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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