表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/616

命が集まる町、去る町

依頼書を受け取りラウンジに戻るも皆居なくなっていた。窓を見ると皆外に出ていて慌てて合流する。依頼書にある場所をパルヴァとクニウスに伝えようとするも要らないと言って先を行く。不安を抱きながらも後を追って進んだ先に大きな門が見えてくる。


なにも準備しないで外へ出ても大丈夫なのかと問いかけるも、そんな時間をかけるようなものではないと振り返りもせず言われた。詳しい情報がなにもなく恐竜タイプの敵と戦うのも初めてなので全く想像が付かない。


とは言えクロウと戦う場合も初見で相手を退けるまで行けなければ死ぬ他無いので、今回よりも条件は格段に厳しくなる。対応して退けて当たり前ってことか。


 門を出る時に検問もなくそのまま他の人たちと共に町を出る。検問をしないで入れてしまうのは凄いわねとエレミアが言うのを聞いてクニウスは言った。英雄の町で悪さをして二日も逃げられないのは有名なのさ、と。


町中で子どものスリに遭いそうになった話をすると、擦られなくて良かったとクニウスは少しほっとした感じで言った。ネオ・カイビャク領を竜神教が仕切っているように見えるがその実、人々の心には一人の英雄が未だ鎮座している。



それは宗教よりも重く、だからこそ町を国を汚すような者は誰であろうと許されないらしいわよ、とパルヴァは呆れたように言う。そこで初めてクニウスがなぜ少しほっとした感じで言ったのか分かった。


子どもが仮にスリに成功していたとしたら、お金は戻ってくる。だが盗んだ者たちは無事では済まないだろう。特に外から来た人間だと知れば尚更厳しい。やはりあの町の裏にも暗闇があるんだなぁと思い溜息を吐く。


話題を変えようとシャイネン領で存在する人間教の話を振ってみたら二人は足を急に止めこちらを向いてゲンナリした顔をした。恐らく入って数時間持たずに消滅するだろうと言って歩くのを再開する。


 町から離れ草原へ出ると森の先に山がある左の方へ向かう。他の多くの人々は真っ直ぐ進む人が多いので、気になったシシリーが真っ直ぐ行くとどんな街があるのかと聞く。アルタというネオ・カイビャク領で原料の生産が主に行われている町で、さらに先のカーマという町では洋服などの生産が行われているとクニウスが教えてくれた。


いつかカーマに行って生産現場を見てみたいと沸くシシリーとエレミア。森に入るべくなるべく通りやすい場所を探し入りながら手招きしつつ、呑気なもんねとパルヴァは呆れたようにつぶやく。自分の趣味のものなら見てみたいもんだろう? 俺たちとは違って何もかもが新鮮なんだからとクニウスがなだめるように話す。


わざとらしく大きな溜息を吐くと同時にパルヴァは足を止めた。またさっきの攻防が始まるのかと身構えたがゆっくりと木の陰に隠れてこちらに視線を向けた後で前を見る。別の木に同じように身を隠して前の方を窺う。


この場所からは見えないが、甲高い鳴き声と血の匂いがした。気を張って相手を捕捉しようとするもクニウスに肩を掴まれ止められる。なぜ止めたのか抗議しようとしたがそれに反応するようにガサガサと音がし始めた。


「まぁ仕方ない。早速実践だぜ? あの子たちのことは任せておけよ」


 前方から物凄い勢いで肌色の恐竜が口にシカらしきものをくわえながら突っ込んでくる。身を屈めて走ってきているが、立てば森から頭が出るんじゃないかってくらいでかい。こんなのが百ゴールドとか価格破壊もいいところだ。


ぼやきたいところだがそんなことをしてるとエレミアたちに危険が及ぶ。覆気(マスキング)を全力で素早く行い木の陰から飛び出した。恐竜はぎろりとこちらを見て迷わず追ってくる。どうやら気に反応して追って来てくれたらしい。


口にくわえたシカらしきものを嚙み砕き血しぶきと臭いを恐竜はまき散らす。あまり町に近付きすぎるとまずいと考え攻勢に出るべく反転し身構えた。くわえていたシカだけでは満足できなかったようで唾をまき散らしながら突っ込んでくる。


見れば顔と胴体それに尻尾はデカいが手が小さく足は短いが太い。手に気を付けつつあの口に掴まらないよう攻撃を加えて行こう。作戦が決まったところで気を広げタイミングを計る。なんとなく不死鳥騎士団の盾を左手に持ち、なぜか例の斬れない剣まで右手に現れた。


恐れてはいないつもりだったがやはり実際に間近で見た迫力は凄まじいものがある。恐怖心をねじ伏せ歯を食いしばり飛び込んで行く。案の定噛もうと口が迫ってきたがスライディングして通り過ぎ、尻尾にギリギリ掴まった。


恐竜は急ブレーキをかけて止まろうとし、尻尾も流される。尻尾ごと噛もうとして来たが手を離し飛び降りて地面に着地したが、直ぐに飛び上がり背中のでこぼこした部分にしがみ付く。毛ではなく硬いのでここを叩けばダメージを与えられるのではと考え斬れない剣でガンガン叩いてみた。


どうやらダメージが通るようで叫び声を上げながら暴れはじめる。振り落とされないようしがみ付きながら攻撃も継続していく。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ