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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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斬れない剣

「そんなにショックな顔するな。その為に俺たちが来たんだからよ」

「このアホ!」


 パルヴァはクニウスの頭をかっ飛ばしラウンジの壁を突き破って外へ行った。周りも騒然としたが、直ぐに壁を魔法で補修し愛想笑いを振りまくパルヴァに対し、触らぬ神に祟りなしといった感じで皆愛想笑いをしながらラウンジを離れていく。


一緒に離れようと自然な感じで移動したが見事に腕を掴まれた。振り返るのも怖いが仕方なく振り返ると口だけ笑っている。スルーして逃げれば祟られる気がしたので大人しく皆で席に戻るとパルヴァも近くの席から椅子を持ってきて座った。


改めて自己紹介を始めるパルヴァ。なんでも竜神教の司祭の一人で決まった町に教会は持たず放浪の旅をしているそうだ。今回偶々リベンに立ち寄ってギルドを覗いたらしい。クニウスが俺たちが来たって言っていたけど、とエレミアが聞きかけるも食い気味に話を変えた。


 今時期的にこの大陸では恐竜が暴れまわっていて冒険者の仕事は多いという。恐竜と聞いて驚きの声を上げる俺たちに対し、にやりとするパルヴァ。さっきのクニウスの発言は引っ掛かるが、それ以上に恐竜が暴れまわっているという話の方が大事だ。


どれくらいのサイズなのかと問うとスカートのポケットから紙を取り出し、ポシェットから墨壺と筆を出してテーブルの上で描き始める。巨大なクラスだと三メートル以上あるが少人数での依頼として出るのは二メートルクラスが多いという。


動きが俊敏で噛む力に優れている種類が群れとして襲ってくる場合が多く、討伐依頼は集団で募集が掛かるようだ。今の俺の実力ではかみ殺されるかもしれないとパルヴァ言われ絶句した。だが落ち込むだけでなく闘志も沸いて来る。


クロウと戦い勝てないまでも退けるためにここまで来たんだ。せめて恐竜くらい倒せなければクロウを退けるなど夢のまた夢だろう。気落ちしている場合じゃないとパルヴァに言われたがそう言って返すと感心された。


壁を壊さず入口から戻ってきたクニウスに素晴らしいと言われる。今の俺で駄目ならどうすればいい? と二人に問うと依頼を受けながら修行をしていくのが一番いいと言われた。その理由としてパルヴァもクニウスも武術を指導出来ないからだと言われ納得する。


 せめて剣をもってりゃなぁとクニウスが腕を組みながら言った瞬間、右手が光始めた。なんとなくテーブルの上に右手を置こうとし触れる寸前でゴトン、と音を立てていきなりなにもないところから幅の広い剣が現れる。


皆それに視線が集まった後でこちらを見たが首を横に振ることしか出来ない。パルヴァとクニウスに聞いてみてもわかるわけがないと返された。試しにクニウスが持とうとするも持ち上げられない。他の誰も持ち上げられず、最後に柄を握り持ち上げようとするとあっさり持ち上がった。


まじまじと剣を見ていたフルドラがこの剣は斬れないと指を差して言う。刃の部分に触れてみたら確かに丸まっていて斬れないようだ。柄や柄頭に爪のようなものが付いていて普通のショートソードとは違うのがわかる。


これは一体なんのための剣なのか撫でていると急に消えてしまった。試しに剣が欲しいと思って右手を突き出してみると同じように現れ撫でると消える。斬れないにしても剣があるなら稽古のしようがあるかもなとクニウスは言い、パルヴァも殴るよりもリーチがあった方が便利よねと稽古を付けることを同意した。


 あまり詳しくは言えないが行くところがあるので長居はする予定はないと言うが、その腕で行っても死ぬだけよどこ行くか知らないけどと言い切られてしまう。どこへ行くかは聞かないが、しばらく同行してもいいかと聞かれたのでエレミアとシシリーそれにフルドラに視線を送る。三人が頷いたので構わないと告げると何処に泊まっているのかと聞かれた。


エリート宿だと言うと二人揃って同時にゲンナリした顔をする。知り合いかと聞くも、知り合いではないがあの派手な看板は苦手だとパルヴァが言いクニウスも頷く。サラさんは良い人だから大丈夫だというが二人は唸る。


結局宿を同じにするかは後回しで、早速なにか依頼を受けてここの現状を知った方がいいとなり受付に移動する。冒険者証を提示し依頼書の束を受け取ってラウンジに戻った。物価が高い代わりに依頼料も高い。


パルヴァ曰く命の危険もそれだけ高いという。シャイネン領は開拓地だがネオ・カイビャク領はヤスヒサ・ノガミによって開拓され、人間族が多く仕事も多種多様で冒険者が占めているわけではないようだ。


最近では雇用されない人間が主に冒険者になると聞いて、ちょっと悲しい気持ちになる。命の危険が無くて安定して稼げるのが一番なのは仕方がない。自分も縁や先生による補助が無ければ死んでいたかもしれないし。


手始めにこれが良いかもとパルヴァが指を差したのは、リベン近くの山で草食動物を襲う恐竜の退治だった。報酬は百ゴールドで申し分はない。早速カウンターへ行き依頼を受けることにする。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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