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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第五章 取り戻す道を探して

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ネオ・カイビャク到着!

「では皆さん目を閉じて心穏やかにしていてください」

「あの、これなにかの加護を頂けるとかいう感じでしょうか」


「すぐにわかりますよ。さぁ目を閉じて」


 戸惑いながらも言われた通りに目を閉じ深呼吸をする。余計な雑音も無くしーんとした室内に、急に台風でも来たかのようなゴォっという強い風の鳴る音がした。風を感じず音だけが鳴り続けている。目を開けていいのかもわからず戸惑いながらたっているとやがて風の音が止んだ。


「いらっしゃい。もう目を開けて大丈夫ですよ」


 ゆっくり目を開け見えたのは天井も壁もガラス張りの室内で、明らかにシャイネンの城ではない。辺りを見回してみたが、シャイネンの城の上から見えた景色と違い先の方まで山が無い初めて見る風景だ。ガラス越しに中央にはサラティ様が立っている。なにが起こったのかわからずきょとんとしてしまう。


問いかけようとした時、背後から白いフルプレートアーマーを着て槍を持った人たちがサラティ様に向かって走っていく。何事かと思ってみていたら全員が横に一列に並んでこちらを見ている。しばらくしてDr.ヘレナから説明が始まった。


 行われたのは空間転移の魔法で最大五人までが限界だという。さらに代償として多くの魔法力が必要となる他、向こうにも依り代を用意しておかなければならないらしい。今回なぜ船旅ではなくこの方法が選ばれたかという話もしてくれた。


師匠たちと協議した結果、クロウがなにか企んでいるのは間違いないという結論に至ったそうだ。書籍も奪われなにか解明されている可能性がある。長旅をしている間に相手に不可侵領域を荒らされないように、現地にいち早くつく為だという。


サラティ様は生前父親から”ノガミの者は近付かないように”とも言われているので同行できないと話し、それでシスターがダメだったんだと理解した。同行すれば必ず不可侵領域に入るのは間違いない。魔法と聞いてワルプルギスの夜を思い出し質問してみたが反応がない。


聞こえていなかったかのようにサラティ様は横にいたフルプレートアーマーへ俺たちを入口まで案内するように告げる。再度問いかけようとするもDr.ヘレナに遮られてしまい、そのままフルプレートアーマーたちに先導されながら部屋の奥にある緑の円の中に立つ。


アーマーたちが槍の柄で地面をトンと突いたのが合図なのか、円がゆっくりと下へ下がっていく。あっという間にサラティ様とお別れになってしまった。自由行動出来るようになったら色々調べようと考えているうちに一階に到着し城の入口と思われる場所まで移動する。


シャイネンの城と違い、生物の気が感じられないほど静かだった。受付と書いてある場所に辿り着いたので見ればカウンターにいる兵士もフルプレートアーマーを着ている。微動だにしないので中に人がいるのかと思いながら横切った瞬間、答えるかのように敬礼してくれて驚いた。外にエレミアたちと出ると後ろでギギギッという音が鳴る。


見ればさっきまで先導してくれていた兵士たちは城の中に留まっていて扉が閉まりだしていた。敬礼してこちらを見ていたので、こちらも敬礼しながら閉まるのを見届ける。Dr.ヘレナに先導され城下町に移動した。


 城下町はシャイネンよりも魔法が日常に浸透しているのが散見される。自動ドアのように開く店舗の扉、魔法のほうきに跨り配達をする少女にレストランの軒先では指から炎を出して肉を焼いているおじさんもいた。


これはシンラが望んでいた風景ではないのかとエレミアに聞くが、首を横に振られた。あくまでも施設や仕事に携わる者が魔法を使えるだけで、全ての住民が使用しているわけではないという。ここは魔法の中心地であり、シャイネンよりも魔法が使える人口が多いらしい。


魔法の仕様に関しても法令が整備されていて、みだりに魔法を使用すれば剥奪されるようだ。それを聞いてシンラの顔が頭を過ぎる。こちらにもシンラのような男がいるかもしれないな、そう思いながらDr.ヘレナの後ろをついていく。


エリート宿屋と書かれ派手なデコレーションがされた看板がついた宿の前で、先導してくれた彼女は足を止めた。どうやらここが今日の宿らしい。受付には三角巾を付けたブロンド髪のおさげの女性が立っていて、元気よくいらっしゃいと声を掛けられる。


この女性とDr.ヘレナは知り合いらしく、こちらの紹介もしてくれてた。紹介し終えるとしばらく慣れるまでこの町に滞在した方が良いと言って彼女は去っていく。エレミアやシシリー、それにフルドラと目を合わせる。


皆もやはり彼女が色々案内してくれると思っていたようで固まってしまった。気にしない! エリートに任せなさい! と言って胸を叩くとむせ始める宿の受付の人。気にするところしかなくて不安だ。


宿の受付ことサラさんはこのエリート宿の娘さんだという。この町生まれこの町育ちのエリート宿娘だと胸を張って言う彼女の圧が凄い。町の人々は出身地に誇りを持っていて、街の美化や犯罪防止に余念が無いらしい。


観光客や他所からきた者が孤立しないようにしているので、困ったら誰でも構わないから聞くといいと言われ少し安心した。確かに誰も助けてくれず言葉もわからないなら孤立し国や町は荒れていくなと思い感心する。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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