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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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修行が始まる

 山籠もりのための買い出しなどの準備をしていると時間はあっという間に過ぎ、午後を迎えシャイネン近くのコウキ山というところへ向かう。師匠曰く、コウキ山はこの辺りでも縄張り争いが激しく人間が入ろうものなら即座に襲い掛かり骨も残らないらしい。


山へ行くのはノガミ一家とシシリーと自分だけで、あとは御留守番だ。リベリさんに後のことは任せておいてくださいと言われ、師匠とニコ様がリベリさんと抱擁を交わし修行を行うコウキ山へと出発する。


 荷物を全員で背負いコウキ山まで鍛錬も兼ねて走った。自分もそれなりに速いつもりだったが、ノガミ一家の速さはその倍以上あるように見える。シシリーが笛を吹くかと聞いて来たが断った。変身することに頼ってしまっては、先生がこちらに送る際にくれたと思われるアドバンテージが無くなるのを取り戻す今回の修行の意味がない。


全力で師匠たちに着いていく。息が上がり心臓が破裂しそうになったところでようやくコウキ山のふもとまで来た。気を広げるとやはり近くに幾つもの強力な生き物の気を感じる。一刻も早く回復しようとシシリーに頼んで元気な木を探してもらい、近くの木を案内してくれたので吸気(インヘル)を行い回復をした。吸気(インヘル)を見た師匠とニコ様から、それは誰から教わったのかとたずねられ司祭だと答える。


すると二人は難しい顔をしてそうかとだけ言った。使用は不味いですか? と今度はこちらからたずねると加減しているから問題ないと答える。なぜ難しい顔をしたのかと問うとそれは秘技に等しい危険度も技量も高い技だからと言い辛そうに言う。


司祭は何をもって教えてくれたのかと考えていると師匠は言う。異世界人である祖父の偉大さを求めていたのかもしれないと。吸気(インヘル)を使いこなし祖父と同じように変身する能力を身に付けたのを知って、ティーオは狂喜しているかもしれないとも言った。


自分と匹敵する、もしくはそれ以上の存在になるのをじっと待っているとも言われ、あまりに過大評価されている状況にドン引きする。ニコ様は師匠と俺の間に立ち、例の力を見せて欲しいと言った。シシリーに視線を送ると鎧の指定席から出て笛を吹く。


 鎧からローブへそして背中に粒子の羽を生やし変身は完了する。こないだ流れた夜の夢開演はなかった。あれはどういう状況でなるのかとか謎の部分が多い。ニコ様は細かい装飾の為された縦長の帽子とローブを脱ぎ、白いシャツにスラックスそしてブーツという姿に変わる。


そして長い髪をシスターが縛ると構えた。女性に対して殴りかかるのは気が引けるが、目の前の人が恐ろしく強いのがわかる。全力で殴りかかったところでどうにもならないとわかっていてもやり辛い。


素早い動作で気を溜めずに風神拳を放ってみる。まるでハエでも追い払うように手を振り掻き消されてしまった。理屈がよくわからないが、効果が無いのは理解したので間合いを詰めて蹴りを放つ。ニコ様が腕で受けたのを見たがこちらが弾かれる。


変身しているのにまったく攻撃が通らないとかでたらめもいいところだ。今度は飛び掛かり力比べを挑む。ニコ様は笑顔でそれに応えてくれて手を組み押し合う。こうしてみると司祭は母親似だなぁとか思っているとあっさり押し返えされる。


踏ん張り出したところで背中の羽が強く羽ばたき出し、ニコ様を押し返し最初の位置まで戻りさらに押していく。


「ジン!」


 シシリーが呼ぶので視線を向けると近くの木の陰に光の粒子で出来た人が出現していた。辺りを見回すと幾つもいて困惑する。一体なにがおこってるんだ!? この森には幽霊がいるのか!? 


「よそ見をしてはいけませんよ?」


 あっと思った頃には巴投げの体勢に入っていて反対側に投げ飛ばされる。素早く浮遊しゆっくり地面に着地すると、ニコ様はいつもの服装に戻っていた。それを見てこちらも気が抜けてしまい変身も解ける。


見ればさっきまで居た光の粒子で出来た人々も消えていた。心配したシシリーがこちらにきて元気な木まで案内してくれる。吸気(インヘル)をして気を回復すると師匠がもう少し奥まで行こうと言うので移動を開始した。


ニコ様に変身した力を見てなにかわかりましたかと聞いてみると笑顔で頷くだけでなにも教えてくれない。当の本人にはまったくわからないが他から見るとわかることもあるのだろうし、ニコ様なら知らなくてはならないことなら教えてくれるだろう。


気になっているのはシスターだ。以前なら強いっ! って騒いで抱き着いてきそうな人物だったが、今はなにか怯えているような顔をして距離を取られてしまっていた。改めて考えればそもそもおっさんに抱き着くのが間違いなので正しい行動だなと納得する。


 しばらく山道を登ると、広く切り開かれた場所にに出た。師匠とニコ様は懐かしそうにここは秘密の鍛錬場として以前はよく利用していたと語る。今日から二週間弱、ここでテントを張りながら修行を行うと言われ気合を入れ直す。


メニューとしては朝昼夜ともに食事前に持久力を鍛えるために集落まで行きついでに買い物をする。食事終わりに朝は筋トレ昼は組手夜は型を教えると言われた。型とはいろんな場面に対応するための動きが凝縮されているものらしい。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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