表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/616

地の底から現れしもの

「無事だったか」


 村長と初めて会った地点に向けて走っているとすぐにシンラに会えた。聞けばシンラも襲われたが、相手はシンラが人間だと思い込んでヤマナンさんの件もあり、簡単に捕らえられると甘く見ていたようだ。お陰で魔法が使えなくとも変身もせず楽に倒せたと語る。事情を聞いている途中で地震が起きてこちらと同じ状況になったらしい。


一人でも確保しようとしたが間に合わず、とりあえず合流するべく同じように考えて移動して来たそうだ。こちらの状況を全て伝えるとシンラは大きなため息を吐く。ネオ・カイビャク方面の汚泥がこちらに流れ込んでいるのかとも言った。


暗闇の夜明けもこちらでは問題だが、思った以上にエルフたちの動向が気になってくる。魔術粒子(エーテル )が復活したことで自分たちの特権も回復すると思っているのが厄介だ。魔法が世界に溢れるとそういう弊害もあるのかもしれないな、と思ったままつぶやいたが隣にいたシンラは苦い顔をして空を見た。


 考えればシンラにとっては嫌な現実を繰り返し突き付けられている。便利で生きやすくなると考え人に魔法を教えたが、その結果二度にわたり国が滅び多くの人がこの世から消えた。さらに今エルフたちの狂気の実験の復活を目の当たりにしようとしている。


正直なところ、シンラが今やっているやり方は本当に彼が望んだことなのだろうか。クロウ・フォン・ラファエルやティーオ司祭の思惑が入り交じってはいないのか。気になってしまいそのまま問うとシンラは思い切り地面を強打し、こちらを睨み付ける。


「まぁ俺はアリーザさんのためにもクロウ・フォン・ラファエルをなんとかしなきゃならない。不可侵領域にあいつの望みのものがあるかは知らんが、気が済んだらどっかに行くだろう」

「気楽だな」


「他に方法があるか? 言いたくはないがお前もそう思ったから連中の口車に乗ったんじゃないのか?」

「黙れ……!」


 黒い気を纏い立ち上がるシンラ。どうやら思い当たる節があるらしい。さらに突っ込んで色々聞いてみようとしたが、地面が大きく揺れ出した。しばらくして岩を砕くような音がしたのでその方向を見る。すると白い光の巨人が屋敷のあったところに現れていた。


「0qjおpr6qーおr9^お0h4wh4!!」


 何語かわからない叫び声を上げた直後、顔の辺りに穴が開きそこへ光が吸い込まれてる。危険を感じ距離を取ろうとシンラと共に移動した。顔に出来た穴はこちらを確実に追っていてしばらくするとその穴からビームが放たれる。


覆気(マスキング)をして身体能力を強化し加速する。シンラを見ると体を変化させた反応なのか紋様が光っていた。ビームは地面をも砕きこちらを追ってくる。あんなもの直撃されたらひとたまりもない。


これは村長たちの実験の結果なのだろうかと考えながら、シンラと共にあの巨人の真下を目指し走る。ビームは無尽蔵に撃てるわけではなくチャージタイムが必要らしい。一気に間合いを詰めて巨人の真下付近まで到着した。


見るとその巨人に足があり浮いていて、その下には施設がある。臭いはどうかと思って嗅いでみるが、最初に二人で怪しい部屋の地下室を見つけた時に嗅いだものと同じだった。声がするかとシンラに問うと首を横に振る。


気を探ってみても少なくとも二メートル以内に生命反応はなかった。村で何があったのか、それを詳しく知る人間が居なくなってしまい、さらに霧を晴らす方法もわからなくなる。途方に暮れていたがシンラがこの化け物を先ずは倒すぞと檄を飛ばしたので頷き気を入れ直す。


「風神拳!」


 けん制するため魔法が使えないシンラに変わり遠距離攻撃を受け持ち、シンラは直接攻撃を試みる。光の巨人は実態があるようでシンラの攻撃はヒットし体が揺れた。いけるかと思ったが揺れるだけでダメージを受けていないのかチャージを続けている。


ビームを討たせまいと腹部や顔を攻撃するも、チャージは止まらない。このままでは下も崩れているし危ないと考え一旦距離を取ることにした。少し走ったところでまた妙な叫び声を上げる。ビームが来ると思い速度を上げようとした瞬間、横道から誰かが出て来て避けようとジャンプした。


着地に失敗し転がりながら見るとそこにはエルフの子どもがいて、すぐにその位置へ戻り抱きかかえながら全速力でその場を離れる。さっき気を探った時に近くに反応はなかったはずなのにどこにいたのか。たずねようとすると子どもが後ろと言うので見るとビームが迫って来ていた。


二手に分かれるぞとシンラから提案があり左右に分かれて走り出す。ビームは何故かこちらを追って来てさらに巨人がこっちに移動して来た。一人ならおとりになるのもいいが今は子どもを抱えている。


この状況ではどこかに下ろすこともままならない。エルフの子にこのまま走り続けるけど大丈夫か? と問うと下ろしてもいいよというので笑って返す。なぜ笑うのかと聞かれたのでおじさんは子どもを守るおじさんだからだよと答えた。


 大見えを切ったからにはなんとかしなければならない。追って来たビームが止まり足を止めて後ろを見ると村はほぼ荒れ地になっていた。遮蔽物も無くなり霧で限られた範囲の中を逃げつつダメージを与えて行こう。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ