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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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シャイネン魔法学校へ

 城の受付で師匠への面会を求めると、急な面会には応じられないという。決まりなので仕方がないと考え、面会を求めた旨を必ず師匠に伝えて欲しいとお願いし、城を後にする。このあとどうしたものかと考えながら歩き、門を出たすぐのところで声がかかる。見るとシシリーたちで三人は待っていたようだ。


お茶でもしようかとエレミアが言ったが、ミアハはどうせすぐ出てくるから待っていようと言ったので待っていたという。なぜかとたずねるとそれは直接聞くのが良いと意味深に答える。敢えて直接が良いと言うならそうしようと考え、依頼でも受けに行こうかと言うとミアハから魔法学校の見学に来ないかと誘われた。


シシリーとエレミアはとても興味があるようで行こうと言うのでそうすることにする。魔法学校はお城の丁度裏手、町の北側半分が竜神教と学校の敷地になっていた。ここに師匠の家や重要な書籍が集まった図書館、竜神教の施設に竜騎士団(セフィロト)の兵舎もあるようだ。


北側の入口にある案内板を見ると町を囲う塀の近くは学生寮などが並び、城に近付くにつれ重要な施設になっていく形の作りになっている。襲撃があっても重要なものを守れるような体制が整っているようにみえた。


かいくぐって外へ持ち出せるとしたら、やはり内部の協力があってこそだろう。マテウスさんの急な動きが気になってしまうが今は考えても答えが出ないことなので一旦置いておくしかない。もやもやした気持ちのまま歩くには勿体ないほど綺麗で整備された歩道を歩きながら、ミアハがいつも学んでいるという校舎へ向かう。


 東側へ歩いたところにあった、真っ白で丸い屋根が三つ並んだ珍しい建物がその校舎だという。受付で警備している兵士に止められたが、ミアハがゲンジ・ノガミ様の弟子だと言うと別の兵士が出て来て俺を見た瞬間敬礼された。どこかで会ったらしくチェックされずに通される。


中には色々な種族の学生が修得レベルに別れ各教室で魔法の理論から実践を学んでいて、皆粛々と勉強しているのが印象的だった。見学しているこちらに授業中は目もくれずしっかり集中していたが、授業が終了し教室から出て来ると挨拶してくれる。


ミアハ曰く生活態度も魔法使いには大事らしい。エレミアにミアハとの初めての出会いの話をされるとスルーして次の場所の紹介に移った。色々知って今当時を思い返すと、ミアハは果たして本当に人間族に対して差別的な考えを持ってこちらに突っかかって来たのか疑問がある。


考えながら後に続き、建物の上の方に移動し”Dr.ヘレナの部屋”という表札が付いている扉の前でミアハは立ち止まり名乗ってからノックした。少し間があってからどうぞ、という女性の声が聞こえミアハは失礼しますと告げてからドアノブを回し扉を押す。


「あら、こんにちは。私に何か御用かしら?」


 大きく立派な机に向かいペンをくるくる回していた女性を見て驚く。手芸専門店で会った女性だった。あの時と違い黒くつばの広い帽子をかぶっておらず、右肩が出て胸元が大きく開いている黒のドレスも着ていない。


ストレートの綺麗な金髪に眼鏡をかけ、胸元は少し開いていたが仕立てのいいスーツを着ている。切れ長な目に右目の下の泣きぼくろ、すらっと高い鼻に熱い唇と恰好は違うが妖艶で引き付けられる魅力のある女性だ。


別の角度からの咳払いに驚き背筋を伸ばし姿勢を正し挨拶をした。女性はそれを見て口に手を当てくすくすと笑う。手芸専門店であった時と違う温和な感じで別人な気がして来た。ミアハが先に中に入りお客人を連れて来たと告げ中に入れても良いかと確認する。


構わないと言われたので俺たちを招き入れ机の前に移動し向かい合うと、ミアハが俺たちの説明をする。説明の中で不可侵領域について調べているので専門家であるDr.ヘレナの知恵をお借り出来ればと言った。


どうやらミアハは俺たちの行く先について知識のある目の前に居る美女、Dr.ヘレナに会わせたくて魔法学校に連れて来たらしい。Dr.ヘレナは魔法の歴史や魔女の歴史の研究をしている人物で、不可侵領域についても知識がある、とミアハは俺たちに説明してくれた。


「改めて自己紹介を。私はヘレナ・グッドフェロー。魔法学校の歴史科の教授をしています。以後宜しく」


 握手を求められたので篭手を外して握手を交わす。静電気のせいか握手しようとした瞬間、バチッと音を立て痛みが手に走ったので驚き引っ込める。Dr.ヘレナは間をおいてから笑顔でこちらの手を追い握った。


エレミアとも握手をしたが普通で、シシリーとはDr.ヘレナが小指を差し出し握ったがなにもない。申し訳ない静電気がと言うと気にしないでと言われ、部屋の中にある革のソファに座るよう促される。


「ミアハがあなたたちをここに連れて来たのはわかるわ。私も今朝通達があって知ったけど、私のところに来るしかないからね不可侵領域について知りたいなら」


 ソファの背もたれにもたれ掛かりながらため息を吐くDr.ヘレナ。ミアハはお疲れ様ですとDr.ヘレナに言うと問題ないわと返す。なにがあったのかたずねると例のニコ様の図書館が全面閉鎖になり暫く誰も入れなくなったと聞き、俺たち三人は驚きの声を上げた。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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