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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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シンラの妹たち

「なんの話か知らないが、こちらは要件を済まさせてもらおう……おい、あの二人はどこだ?」


 あの二人とはンデロ兄弟のことだろうなと思い辺りを見回すと確かに居なくなっている。馬もないのにどうやってこの場から消えたのか。


「質問に答えたら教えてあげるわ」


 横にいるエレミアが不敵な笑みを浮かべながらいったので、恐らく魔法でンデロ兄弟を隠したに違いない。ウソウとムソウはこちらに向けて殺気を放つ。


「エレミアの質問に答えられるものはないと思うけど」

「あなたたちなら知っているはずよ? シンラが人間を捨てた方法を」


 ヨシズミ国にあった他国から逃げて来た者たちだけの集落で戦った際に、司祭も言っていたようにシンラは人ではない姿をしていた。組織の人間だから知っているのかと思ったが、ウソウとムソウは目を丸くして驚いている顔をしている。


「な、なにを言っているのわからないが」

「……アンタたち境遇もあって兄妹の仲はいい筈だって思ってたけど案外そうでもないのね。ジン・サガラが勇名を馳せているのも、シンラが人ならざる姿をしていた状態で倒したからよ。風聞では”ヨシズミ国の冒険者であるジン・サガラが、暗闇の夜明けのボスであるシンラを倒した”だけでしょうけど」


 風聞がどんなものかは知らないが、細かいところまでは言わないだろうし聞かないだろう。魔法の天才として知られる巨大組織のボスを一冒険者が倒した。聞く方とすればそれだけで十分インパクトがあるし酒の肴にもなる。


エレミアやウィーゼル、シグマリンが警戒したのも通常状態のシンラを倒したというだけでなく、恐らく彼らも初めて知ったであろう”人外のシンラ”を倒したからに違いない。状況も詳しく知っているはずだから、俺一人の力でもないというのも知ってると思うけど。


深い溜息を吐き元来た道を戻ろうとするエレミア。こちらが新しい情報を得られるかと思いきや、一方的に相手に多く情報を渡してしまった。ウソウとムソウの様子からしてこちらの欲しい情報は得られないと判断したのだろう。


待てと言うウソウとムソウに対し、雑魚を構うより身内の方が大事でしょと返すエレミアの後を追ってその場を去る。追ってくるかと思ったが、轟音と共に地面が揺れた後気配も消えた。そりゃあ身内が人外になったと聞けばこんなところにいる場合じゃない。


「そう言えばンデロ兄弟はどこに? 美しき女神(ディオサ)に捕らえてあるのか?」

「そんなわけないでしょ? 普通の人間を包み込んで姿を消したら窒息して死ぬわ」


「じゃああの答えたら教えるってのは」

「はったりに決まってるじゃない。急いで探すわよ!」


 答えに唖然としてしまい足を止める。恐ろしいことするなぁと思って呆れていると、ぼけっとするなと檄を飛ばされ急いで追いつきンデロ兄弟の捜索をする。命懸けで逃げているだろうから今ごろかなりの距離を移動しているはずだ、となりエレミアは美しき女神(ディオサ)を出して移動を開始し、こちらは覆気(マスキング)をして体を強化し飛ばす。


シシリーが森の木々たちに人間が逃げてこなかったか問いかけると、風も無いのに木々や茂みが右側に揺れる。動きに従い森を進んで行くと、ンデロ兄弟を発見した。走りつかれたのか転んでけがをしたのか肩を貸して二人で並んで歩いている。


こちらの音ではなく、森が揺れたのを不審に思った二人が周りを見回していて見つかってしまった。距離的には少し離れているがこちらは強化して追っているのであっさり追いつき取り囲む。戦闘になるかと思いきやそれもなく、情けに訴えかけることもなくンデロ兄弟は大人しく降参した。


なぜかたずねると、ウソウとムソウを見てあんなのを相手に逃げ回れる気がしないからだという。二人の言葉に納得し、常備している縄を腰から取って腕に巻き馬を置いて来た場所まで戻ってから二人を一つの馬に乗せて集落のギルドまで移動する。対象を確保したのに言わずに通過しては、他の冒険者にも迷惑が掛かると考えて寄ることにした。


スロートのギルドからの捕縛ミッションがあり、その対象を確保したので連絡のために寄ったと告げると、元気な受付嬢は驚き事務所に駆け込んだ。その後集落のギルドにも連絡が来ていたようで、人相を確認した後お手数ですがスロートの方に直接お願いしますと言われたのでその通りにする。


これで他の冒険者も余計なことをせずに済むだろうと考えながらゆっくりスロートを目指す。その際に母親に会いたいだろうが我慢しろよ、生きていれば会えるだろう? と先手を打って言うとがっくり項垂れた。


 丁度二度目に襲撃された場所で他の襲撃者二人にも遭遇する。よくこの辺りをうろうろで来たなと感心しながらも問答無用で攻撃を開始し、あっさり気絶させて空いていたエレミアの馬に乗せて運ぶ。


見掛けた襲撃者は以上だが、これから尋問を受ければもっと大きな組織があるかもしれない。周囲を警戒しながらスロートを目指したが、何事もなくスロートに到着。ギルドへ直接出向き、エレミアに中に伝えて欲しいと頼んで外で待っていると、ギルドの中から大慌てでジャックギルド長たちが出て来た。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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