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異世界営生物語~サラリーマンおじさんは冒険者おじさんになりました~  作者: 田島久護
第四章 光を探して

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集落のギルド

「は、はい!」


 胸元から飛び出したシシリーがおでこに手を当てた。直ぐに飛び退こうとするも何故か身動き一つ取れなくなる。一体なにが起こったんだと思っているうちに、徐々に力が落ちて行くのを感じさらに疲労が襲って来た。


「よーしもういいぞシシリー。それ以上やると危険だ」

「はーい」


 シシリーが手を離すとやっと動けるようになったが尻餅をついてしまう。見上げるとシシリーの前に不思議な白い笛が浮かんでいて、それにシシリーが触れると彼女が持てるサイズに変わった。


「これなんだろう」

「さぁな。だがジンの力を吸いだした後出て来たんだから、あの力を呼ぶアイテムなのかもしれない。今はお前さんが持ってた方が良いだろう」


 よくわからないうちに謎の笛の所有権が決まりめでたしめでたしみたいになっているが、こっちの用が済んでない。襲い来る疲労に瞼が閉じかけているが踏ん張って立ち上がる。


「反動が凄いだろうによく踏ん張るな。余程そのけじめに拘ってるんだろうが」


 師匠の言葉を最後まで聞けないうちに瞼が閉じ意識も遠のいて行き、目を開けた時には見覚えのある宿の天井が移っていた。なにかお知らせみたいな夢でも見たんじゃないかと必死に思い出そうとしても出来ずため息を吐く。


上半身を起こし窓を開けて空を見ると、空は明るくなりかけで星が幾つか残業していた。籠を見るとシシリーが寝ていて起こしては悪いと思い戸を閉めて静かに部屋を出る。丁度宿の親父さんも起きて宿を開ける準備をしていたので手伝う。


「良かったよ昨日担ぎ込まれた時は冷や冷やしたが元気そうで」

「すいませんご心配をおかけして」


 親父さんが教えてくれたが宿には師匠が運んでくれたようで、まさか王様と知り合いが泊ってるとは思わなかったと驚いていた。竜騎士団(セフィロト)の話とかしたのは黙っておいてくれと言われたのでもちろん言わないでおくと約束する。


ただ親父さんとしてもなんの条件も無く内緒にしてもらうよりは、重くはない対価があった方が安心だろうと考えた。そして代わりと言ってはなんだがこれからもなにかあったら情報をくれるよう頼むと、快く応じてくれる。


 宿も開店し食堂も開いた頃にシシリーとエレミアが起きて来た。昨日の件で御詫びをすると、別になにもしてないから気にするなと言われ感謝する。昨日二人は時間があるので国の外にある集落を散策していたようで色々教えてくれた。


国の中にギルドがあるものの、竜騎士団(セフィロト)との件があってギルドは集落の方にもギルドを作ってこの国の冒険者はそちらをメインに使用しており、国の中には住んでいないらしい。国に住んでいるのはほぼ竜神教や竜騎士団(セフィロト)の関係者のようだ。


今後もいつ図書館への入館が可能になるかわからないし貯金にも限界があるので、早速稽古が終わった後にでも集落のギルドへ顔を出そうとなり食事を終えて宿を出る。マテウスさんとミアハが迎えに来てくれたのでそのまま鍛錬ルームに向かう。


「なにやら昨日は大変だったようで御座るな」

「師匠から聞きましたか?」


「ええ。まさか竜騎士団(セフィロト)と接触し喧嘩を売られていたとは……。拙者たちに迷惑を掛けたくないと思ったので御座ろうが、出来れば相談して欲しかったで御座る……っとその話はまた後日。稽古の時間が無くなってしまうで御座る」

「今日も宜しくお願いします!」


 昨日の疲れが影響しないか心配したが、察したシシリーが全然問題ないと思うと言うのでその言葉を信じて稽古を開始した。するとシシリーの言う通り疲れの影響はないばかりか、今日は草原駆ける鳥(メドウ・テバチャ)の動きがよく見える。


そしてシシリーも先読みしたような指示を出してくれ、マテウスさんと 草原駆ける鳥(メドウ・テバチャ)を翻弄し続けた。稽古を終えると 草原駆ける鳥(メドウ・テバチャ)は怒りを露にし鍛錬ルームを破壊せんばかりに暴れ始める。


なんとかなだめようとしても収まらず、昨日の自分の件を思い出してシシリーに笛を吹いてみてはどうかと提案。懐にしまっていた真っ白な笛をシシリーが吹くと、草原駆ける鳥(メドウ・テバチャ)は気が抜けて行き最後には眠ってしまった。


「これはまた珍妙なアイテムを手に入れたようで御座るな……そのお陰で助かったで御座るが」

「いやぁこれがなんなのか自分たちもまだわかってなくて」


「魔法の笛ね!」

「安直過ぎじゃない?」


 草原駆ける鳥(メドウ・テバチャ)をマテウスさんが仕舞ってから皆で鍛錬ルームを後にする。マテウスさんは仕事でミアハは魔法学校があるので解散となり、俺たちは朝食の時話していた集落にあるギルドを目指す。


門兵に冒険者証を提示するとビクッとされて他の門兵とひそひそ話をされてから通された。やはり師匠に背負われて帰って来たのがだいぶ注目されたんだろうなと思いながら集落を進んで行く。塀の中とは違うものの、ヨシズミ国の城下町と同じレベルの建築物があり道も舗装されているので汚くはない。


集落のギルドは目立つ大きな看板を掲げていて直ぐにわかった。例の地主の家から丁度南下した場所にあり、塀の中のギルドと違い活気がとてもある。



読んで下さって有難うございます。宜しければ感想や評価を頂ければ嬉しいです。

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